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第二十七話、無双なんて目じゃない簡単なお仕事で すか?(4)

「スキル、シャドウウォーク……ジェイル……後……任せる……」

「リィントゥース!? クレイ、グレンを回収したら急いで距離を! ほらハイポーションだ!」

「影移動ですか? その自己犠牲の精神……好感が持てますね」


 今の状況は、リィントゥースが魔王アンリマンユの漆黒の大剣に貫かれている。


 必殺技のデメリットで動けないグレンをアンリマンユから救うため、リィントゥースがグレンの影へ移動して身代わりになったのだ。


「これは……適材適所……私は……アナタにダメージ……与えられない」

「属性的な相性の問題ですか……そうは思っても、身代わりなど簡単には出来ないのが人間ですよ……お疲れさまでした。ゆっくりお休みなさい」

 

 ダメージなど、耐えられる訳なく、その一撃でリィントゥースは戦闘不能になってしまう。


「皆さん面白いですね。流石、私の前に立つだけのことはあります……」

「ジェイル、グレンの回復を頼むな」

「ガラティーン……行くのか。わかった、クレイは任せとけ。だが、どうする?」

「リィントゥース……ジェイル、僕もガラティーンのパーティーに戻るね」

 

 仲間がやられて黙ってられないみたいで、ペインキラーは元のパーティーに戻り、ガラティーンもお怒りの御様子。


 俺はこれで一人。ヒゲのおじさんを介抱しながら、アンリマンユにクレイゴーレムを差し向けることになった。


 そしてこちらの現戦力は、ガラティーン、フェイルノート、ペインキラー、クレイゴーレムである。


「今度はあなた達ですか? では改めてご挨拶を……私は魔王アンリマンユ。深淵より現れし、破滅を喚ぶ存在」

「そうか……俺達は閃光の旅人亭のガラティーンだ、守護騎士」

「俺はフェイルノート、狼槍士」

「同じく、閃光の旅人亭、大泥棒のペインキラーだよ。リィントゥースの仇……」


 いやぁ、仲良くて羨ましいな。でも、ペインキラー。ブリュウナクもその中に入れてやれや。


「俺達では初めから敵わなだろう。だスキル、水流付与。から……」


 ガラティーンの大剣が水を灯す。


「初めから全開でいかせてもらう! スキル、パラジウムガリバー!」

「固有スキル、神狼……」

「僕には固有スキルはないけど……出来ることは沢山あるよ。スキル、投擲爆破」


 フェイルノートの固有スキルか……体を限界まで低くして、槍を持って飛び出していく。

 早い。グレンのように見えないとかじゃないけど、視認するのが精一杯だ。


 ガラティーンはその場から水属性のビームを出してるし、ペインキラーは剣以外にも爆発する石を投げたり、四方八方から誘導性を持った短剣やチャクラムのようなものを投擲してる。


 俺もそれに付随するように、クレイを差し向け強スロウを狙おうとするが……美玲にとってもやはり随分面倒だっんだろう。


 戦闘しながらも、視界が必ずクレイをおさめている。

 

 これでは近づいただけで瞬殺されるだろう。


 まだ何個かあるので、同時進行でハイポーションをガンガンぶつけてグレンのHPを回復させていく。


「グレン、行動不能って、後どの位ある?」

「あいつ等に聞いたのか……多分まだ4~5分位あるだろうな」

「それまでフェイルノート達が持つかな?」

「…………そりゃあ、あの魔王次第じゃねぇか?」


 確かにそうだな。


 アンリマンユは、後列を全滅させた黒い流星群以外は、大剣と手からビーム位しか使ってない。


 これじゃあ、魔王のすごさはわかりにくいよな。


 相手が一人無双や閃光の旅人亭だから、対比で恐ろしさは伝わるだろうけど。


「恐らく残るのはお前だ。ジェイル」

「は? 何でさ? グレン、あんたがいるだろ! あれか、俺をストレイシープにしようってことか?」

「馬鹿言うな。この中で力を全くだしてねぇのはお前だけ。そして、魔王が一番興味を持ってるのもお前だけだ」


 アンリマンユ……が? そりゃあれは美玲なんだから当然そうだろうけど、事こんな記録に残されるような戦闘では、俺あまり戦えないぜ。


「お前、本当はあいつ等より強いだろ?」

「何いってんだ?」

「俺にはわかんだよ。ま、それをここで出すわけにもいかねぇだろうがよ。一発位かましてやれよ……俺達プレイヤー1500人が全滅だぞ?」


 一発ねぇ。召喚士としてなら、まあ、出来ることはあるかな。

 グレンに言われるとそれも良いような気がしてくる。


「グレンは……「俺は気にすんなよ。それに俺の出番は終わったんだよ。まあ、折角もらった機会だからもう少し足掻くがな」……わかった」

 て出来ることは少ないけど、美玲も相手な事だし一寸がんばるか。


「クレイ、一寸無茶なことを頼んでもいいか?」


 返事はない。しかし、どんとこい! と、言わんばかりに力強い了承をもらったような気がする。


「じゃあ、俺達召喚士の戦いを始めようか?」


 俺はとりあえず、熾烈を尽くす戦いの視界にはいらなそうな場所。探して移動を始めた。













「善戦……でしょうが、私を満足させられるようなものではありませんでしたね」

「く、ここまでか……」

「武器のストックがもうないよ」

「全く……なんて奴だ。神狼の効果時間ぴったりで愛想つかれたってか」


 当たったらアウトのため、ダメージは無さそうだが、取れる手段が思いつかないようだ。


「ここには私を満足させられる人は……無駄ですよ」


 駆け寄るクレイを右手から出したレーザーで消し去る。

 しかし、その前にクレイの背後にいた俺は掴まれてアンリマンユに向かって放り投げられる。


「勿論、俺が来るのも想定済みだよな」

「…………貴方が来て何が出来るのです」


 その状態から、更に石を投擲する。タイミングを合わせて、今度はロックゴーレムを召喚。


「あっという間にロックゴーレムってな」

「目の前!! こっちが本命ですか!」

「スキル、パージ! レイムノント!!」


 ロックの体が弾けて身軽になる。当然この弾けた石つぶてにもダメージ判定はある。

 しかし、一番の目的はパージしないと使えないスキル、気孔波、レイムノントの発動。

 大威力スキルなので、レベルが低くても多少はましだろう。


「意表を突いたつもりでしょうが……この程度!」

「だろうね、知ってるよ」


 マシ程度なのは自分が一番わかってる。だからこれは囮。


「消えなさ……え、うそっ! まだ私……まさかこれも!?」

「勿論! 今だ、自爆!」


 アンリマンユの大剣の振りより早く、レイムノントの発動直後に送還して、クレイゴーレムを再召喚。呼び出して即爆発させる。


「……私にも入る強スロウ……これが目的でしたか」

「違うよ、まだまだまだ甘い……」


 強スロウは本命じゃない。俺が本当に欲しかったのはこの土煙だ。


「フェイルノート! 俺に出来ることはここまでだ。やれよ」

「全く……お前はいつも……ガラティーン! やるぞ! スキル、双竜連牙戟!」

「この一瞬で更に活路を見いだすなんて……皆、俺に続け! スキル、セントラインクロス!」

「任せて、これが僕のマックス! スキル、フルバースト!」


 俺の作った隙を活かすよう促す。フェイルノートを起点に、ガラティーン、ペインキラーが己の持てる限りのスキルを接近から叩き込む。



 そして、一番のダメージソースを横目で確認した後に、俺は最後呼びだしていた召喚獣に指示を出す。


「さぁ、行くぞ。ドライ、スキル、リーフストーム!!」

 

 土煙冷めぬままに、ドライの葉の嵐はアンリマンユ毎全てを飲み込んでいった。


 おいおい、エフェクト激しくなりすぎだろ。


「当然まだ、終わらない。いけるよね? 最強?」

「はっ! そこまでお膳立てして止められるか!  ブーストは出来ねぇが、これでいくぞ!! スキル、天地創造おぉぉぉおぉ!!」


 俺を凄い早さで越えていった最強、グレンの天を斬る一撃。


 直後に巻き起こる爆発的な光の奔流。


 それは魔王、アンリマンユを中心に全てを飲み込んでいった。

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