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第二十二話、街の治安を守るのは自警団の役目ですか? (2)

「……ペインキラー、またか?」

「まあまあ、いいじゃない。今回も後悔はさせないよ。彼、ジェイル君って言うんだけど、なんと……あの筋肉脳筋馬鹿ダルマ2014夏の陣のリアフレなんだよ」


 ペインキラーのパーティー、ギルド内での集まりらしいから、閃光の旅人亭の面子が集まるホームへやってきた。


 そしたら、開口一番に長身のダンディーが疲れたような顔で言ったのが今の言葉だった。


 しかし、筋肉脳筋馬鹿ダルマ2014夏の陣って……ロマノフの事なんだろうか。まだそれ引っ張ってたんだ? 酷い呼び名だな。段々長くなってきてるし。 


「おい、ペインキラー。また、とは一体どういう事だ?」

「ああ、あの人の言うことは気にしないでいいよ。あの人はね、僕が見込みあるプレイヤーを連れてくるのを嫉妬してるんだよ」

「ペインキラー、パーティー内で決めたろ。フェイルノートの抜けた穴は補充しないでやるって。フェイルノートの知り合いなら、彼に見込みあるのはわかるが、レベルは? ジョブは? 確か別キャラ作ってやってるって言ってた人だろ?」


 今度は、こちらもヒューマンっぽい若めの兄ちゃんが俺を探ってくる。

 まずは自己紹介からとか思わないんだろうか?


「……俺の名はジェイル。あのなぁ、疑って不信感を露わにするのは構わんが、まずは互いの自己紹介が先なんじゃないか?」


 俺がロマノフの知り合いって言って尚この対応は、いくらネットだからって最低限のマナーは守らなきゃいけないんじゃないのか?


「確かに、ジェイル君の言う通りだと僕も思うよ。今のブリュウナクの言葉なんて、リアルでいきなり知らない人に言われたら、つかみかかられてもおかしくないような暴言だしね」


 いや、そんなに酷くはないけど……まあ、いらっとするが。


「そうだな。自己紹介は確かに大切だな。私はこの閃光の旅人亭のリーダーをしている……「ガラティーンだよ。生真面目すぎて堅物なのが偶に傷の24歳」……ペインキラー……まあいい。レベルは88でジョブは守護騎士をしている。ブリュウナク、お前もしっかり挨拶しておけ。わかるだろ?」

「あ、ああ……あの、すまないな。俺も考えが足りなかったわ……俺は……「ブリュウナク……なんでも自分の名前を伝説の武器から取りたかったんだけど、既に殆どが存在してるから一寸文字の配列を変えた中二病の26歳、レベルは87の剣聖だよ。それなら、まだフェイルノートの方がマシだよね?」……俺は中二病じゃない! 一寸夢見がちなだけだ! それに言うこと無くなったじゃないか!」


 彼等は5人パーティーらしく、もう一人は今はまだ来てないらしい。


「で、お前が連れてきたんだ、ジェイルはフェイルノートの知り合いなだけじゃなくて、何か俺達が意表を突かれる何かがあるんだろう?」


 ブリュウナクの言葉にニヤリと笑うペインキラー。

 こいつ、会話から予想は付いていたが、よくよくこんな事をしてやがるな。

 初犯じゃなく、しかも他の参加したプレイヤーは皆成長してるときたら……無駄なプレッシャーかけるなよ。


「勿論だよ。それだけだと思ってたなら、ブリュウナクは筋肉脳筋馬鹿ダルマ2014夏の陣馬鹿蝶と一緒に外で見学してるか、一回ログアウトして退会手続きを取った方がいいよ?」

「おまっ! だから聞いてるんじゃないか! 口の減らない盗賊だな……」

「大泥棒だよ……相変わらず頭弱い人だね。なんと彼はね……「少しは落ち着け、ペインキラー。それは俺が言う、話してあったろ?」……ふむふむ。そうだったね。じゃあ、ジェイル君、任せるよ」


 俺はペインキラーの目を見てから、事前に話し合って決めたことを口に出す。


「俺のジョブは、召喚士なんだ。レベル25。呼び出せる幻獣には良不可効果があるから、そこそこは役に立つと思う」

「へぇ、あの召喚士か。未だ、掲示板には条件すら出てきてないあの……しかも、専用のスキルも既にある、と……」

「マジか!? 今までお前が連れてきた中で一番なんじゃないか!? こんな希有なジョブのプレイヤー」

「へへん! どうだ、驚いたか凡人ども! 僕に頭を下げて崇め奉るがいい!」


 お前が調子に乗ってどうする。敵レベルが不明な今、どれだけクレイのスロウがはいるかわからないのに……全く、スロウ化しなかったり、敵レベルが彼等に合わせた物だったら、俺役立たずだぞ。


「よし、いいだろう。ジェイル、私達のパーティーに入ってくれるか?」

「あ、ああ。元々そのつもり出来たんだ。了承してもらえるなら有り難い」

「いいんですか、ガラティーンさん!? まだ、リィントゥースさんに確認取ってないですけど……」


 リィントゥース? プレイヤーか。その人が最後の一人か?


「何言ってるんだ? リィントゥースならお前の後ろにいるじゃないか?」

「えっ!? いやいや、そんな冗談……って、うおっ!? リ、リィントゥースさん! 急に背後取らないで下さいよ! 心臓に悪いし、その内HPとか減っちゃいますから!」

「…………まだ減ってない…………大丈夫」


 そこには全身黒ずくめの女性がいた。これで最後?


「ジェイル…………召喚士…………本当?」

「ええと、リィントゥースさん? でいいんだっけ? この状況で嘘を付く必要ないでしょ?」

「確かに…………私、閃光の旅人亭の副リーダー…………レベルは…………いくつだっけ?」


 何、ボケてるの? マジなの?


「88だよ。ジョブはアサシン」

「そう…………それで、私とガラティーンは姉弟…………よろしく…………後、さん付けは…………いらない」

「そうか。じゃあ、リィントゥース、改めてよろしく。で、きょうだい? え、それマジ話? 設定? それともそう言ったシステムがあるのか?」

「いや、姉さんの言う通りだよ。私は弟に当たる」

「そうなんだ。いや、俺もロマノフとやってるし、ミリンダだってアイリーンとやってるんだ。身近で一緒にゲームも珍しくないのか? まあ、いいが……じゃあ、よろしく頼む」


 なんだかんだで、皆に了解してもらって野良? パーティーに入ることになった。

 後は本番だな。作戦は、移動しながら高レベルのモンスターだけを狩っていくから、レベルが違いすぎる俺は後衛で幻獣の指示のみ。

 このギルド持ちの仲間の中に入っても、邪魔になるだけだから後で起こるだろう問題は差し置いても、召喚士にしてよかった。


 要は俺の立場は遊撃隊って事だな。4人でやろうとしてたから、いてもいなくてもいい立ち位置。


 ペインキラーは一寸残念そうだったが……だがな。サイドジョブはお前の想像をはるかに越える成長を果たしてるんだ。

 これを今、この状況で明かすことが出来るか? いや、出来ない。


 時間まで俺達(+テルでの参加のロマノフ)は、和気藹々とただだべって過ごしていた。


 つまり、俺達……いや、俺やこの閃光の旅人亭意外にも、ほぼ全てのプレイヤーは、今回のクエストを甘く見ていたのだ。


 最終的な参加プレイヤーは659人。それが少ないのか多いのか……俺にはわからない。












「来たぞーーー!! モンスターだ!!」


 全員に聞こえるように、NPCの叫び声が聞こえる。


「いよいよか。腕が鳴るぜ!」

「さて、何が来るやら……」

「…………例え何がこようと…………斬る」

「僕らの相手が出来る奴はいるかな?」


 ガラティーンが片手で両手剣か、ってくらいデカい剣とこれまたびっくりするほどデカい盾。

 リィントゥースが刃が真っ黒な刀。

 ブリュウナクはなんかレアっぽい両手剣。

 ペインキラーは短剣の二刀流。


 既に臨戦態勢は整っている。しかしこのパーティー。脳筋過ぎじゃね?


 魔法系が少ないのはわかるが……皆、こんな感じの編成なんだろうか?


 まあ、俺は農具を出すわけにも行かないので、銀の短剣を装備している。


 まだ、召喚はしていない。


 状況に応じた幻獣を呼び出さないと、MPが超高いことも誤魔化さないといけないから。


「く、これはまさか!?」

「どうしたんすか? って、マジすか!」


 二人は即座にその異変に気が付いたが、他のプレイヤー。俺やリィントゥース、ペインキラーもすぐにその異変に気がつく……。


「魔法陣……これは……」

「迂闊…………ここが戦闘地帯なら…………この可能性も考慮すべきだった…………」

「通達無くやるなんて……運営は僕達を余程負かしたいみたいだね……」


 俺には何か何だかわからないまま、魔法陣は街全体を包み込む。

 プレイヤー達の怒号だけがこだました。


 そして、戦闘フィールド(見た感じ同じ街の中なのは何も変わってない)に移動した俺達。

 ここで、俺も高レベルプレイヤー達の怒号の意味を知る。


 そして流れるアナウンス。




 クエスト、英霊への道行き(2)


 が開始されます。


 その為、プレイヤー達のレベルは30に制限されます。


 

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