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第二十二話、街の治安を守るのは自警団の役目 ですか? (1)

 今日いつものようにログイン。


 すると、何だかそのいつもと全然違っていて街中がプレイヤーでごった返していた。


「なぁ、そこのあんた……これは一体なんの騒ぎなんだ? イベント通知だって無かったよな?」


 その辺にいたプレイヤーAに話しかける。


「ん? ああ、ログインしたばっかか? どうやらOO内だけのクエスト通知みたいでな。何でもここにモンスターが襲ってくるらしい」

「モンスター? 街にか? 今ままでそんな事無かっただろ」


 俺がインしてから聞いたこと無いが。


「そうだな。俺もよくわかんないことが多いんだが……通知開始からまだ30分も経ってないせいだろうが、情報が外に漏れにくい理由があるんだ。何でもログアウトしたらクエスト参加除外扱いされるみたいなんだ。今なら交流掲示板とか祭りなんじゃないか? 見に行けないからわからんが。で、それを知らん初期から準備してた熟練プレイヤーが大量に、外されちまって規模こそわからんが一寸ヤバい事になってる……」


 そう言われれば、大声で何か言ってる奴がいるな。


「クエスト開始通知中です!! ログアウトしたら参加出来なくなります!! 掲示板の情報は皆こうやって伝えてください!! ここがモンスターに襲撃されます!! 敗北したらかなりのマイナスがあると思います!! アナウンスをよく聞いて参加者はログアウトしないで下さい!!」

「ふむ、これか……」

「そういう事……クエストの情報もアナウンスされるから、それもしっかり聞いた方がいいぜ。やるなら、アンタもしっかりパーティー組めよ。じゃあ、俺も作戦会議に入るから……」

「ああ、有り難う……助かった……」


 他のメンバーの元へ去っていくプレイヤーAに礼を言って、俺は取りあえずそのクエストのアナウンスとやらを待つ。


「回復出来る方、パーティー如何ですか!! レベルは問いません!! 50以上回復出来る方お願いします!!」

「槍系アタッカー募集中です!!」

「レベル78裁縫士です。パペットできます! 誘って下さい!」

「レベル20~25の後衛募集中!!」

「詩人か歌手、パーティーステータスを底上げできるスキルを持つ方募集してます!」


 必死だな……むう……。


「ご報告いたします。本日、14時からメインクエスト、「英霊への道行き(2)侵略」が発生いたします。モンスターが各都市に侵攻してきます。皆様方プレイヤー以外にも、NPCキャラクターも戦闘に参加します。撃破された場合は、一定期間該当の店舗利用やクエスト受注が行えなくなります。総合侵略度で侵略度が高い場合も様々なマイナスがあります。皆様振るって都市の防衛にご参加ください。注意点としまして、現段階で一度でもログアウトされたプレイヤーとクエスト中に死亡扱いになったプレイヤーはクエスト失敗と判断され、クエスト参加は出来なくなり、都市からは強制的に移動されます。ご注意下さい。今後ともオンラインオンラインをよろしくお願いいたします」


 これか……成る程確かに言ってるな。


 メインクエストって……俺が終わらせた翌日に発生した……じゃあ、またトリガーが俺か。


 しかも名称も俺が終わらせた英霊への道行き(1)の続きだろうし。


 このクエスト、随分急だな。まるで、準備なしにこの状況を作って、街を使えなくしたいみたいだ。


「まあ、どちらにせよ……俺が参加しない理由はないよな。さ、皆に連絡を取ってみるか」


 まずは……ミリンダ達かな?


 テルで話しかけてみる。


 ……が、反応はない。インしてないのか。


 アイリーンも同様。二人とも、まだ今回の超絶レベル上げの報告もしてないし……結構な時間会ってない気がする。


 仕方ないのでロマノフに連絡。


(かぁ~!! やっちまったよ!)

(どうした、急に気持ち悪い)


 俺とのテルが繋がった筈なのに、開口一番に訳の分からない事を言ってくる馬鹿一人。


(俺は参加出来ないんだよ!)

(参加……ああ、ログアウトしたのか……)

(そうだよ! こんな参加条件あるとおもわねぇだろ?)


 アナウンスで言ってたが……こいつには耳がついてないんだろうか。


(お前、参加するんだろ? ミリンダさん達も居ないみたいだし、どうするんだ?)

(パーティーか。そうだな……お前達の誰とも組めないなら、野良で組んでみるか……)


 この無茶苦茶な俺の性能を隠してやれば、なんとかならないかな?


 だが、近接系はすぐにバレる。魔法系も、魔法を覚えてないから結局殴る羽目になってすぐにバレる。

 いや、召喚士なら、どうだ? 幻獣に全てを任せるオンリーサマナーをロールすれば……行けるか?


(おお、ついに独り立ちか? だが、気をつけろよ? お前は……(わかってる、上手くやるさ)……そうだな、お前なら心配いらないか……)

「お、君は……」


 テル中に俺に話しかけてくる奴がいる。


「………………」

「あれ? ジェイル君じゃん? 元気だった?」


 ああ、あのサイドジョブ取得の時の……。


「ああ、そうだ……が、なぁ?」

「やっぱり君も参加なんだ? 見知った顔が増えるのはうれしいもんだね……あの筋肉ダルマは今回不参加になったから」


 会話が続くのはいい。おかしな事は全然無い。


 だが……誰だ?


 ぶっちゃけ名前がわからん。


 この知ってるけど知らない人を早くあしらって、俺は誰かとパーティーを組まねば。


「そうですね。その節はお世話になりました。では、某はこれで……」

「ええ~!? 一寸、何その反応……まさか僕のこと忘れちゃったの? 僕だよ僕? ペインキラーだよ!? 本当に忘れてるの! 一寸、ジェイル君!?」

「いやいや、大丈夫だ、問題ない」

「それ、大丈夫じゃないやつだよね? うわぁ、マジか……ショックが地中海を超えそう……」


 ああ、ペインキラーか。名前き聞けばわかるわ。よし、俺の疑問も解決したし、よきかなよきかな。


「って、ジェイル君、本当に行っちゃうの!? 一寸待ってよ! 折角こんな場所で感動の再開を果たしたんだから、少しお話ししようよ」

「感動でもないし、そんな時間もない。俺は、今からパーティーを組んでこの突飛なクエストに参加せねばならん。お前と遊んでる暇はない」


 なんせ、俺の仲間は誰もいないんだ。早めに動かないと、野良を探すにも限度があるだろ?


「ジェイル君まだだったんだ。じゃあ、うちのパーティーに入らない? ほら、あの筋肉脳筋だるま馬鹿が抜けちゃったから1人空きがあるんだ」

「何言ってんだ? 俺なんてレベルが違いすぎるだろ。役立たずをパーティーに入れてどうする」


 このホビットが急におかしな事を言い出したので、時間は勿体ないが少しだけ相手をしてやる。


「いいんだよ。どの道メンバーの補充はしないでやろうって話をしてたから、誰が入っても。それにジェイル君ならそれ以上のメリットがあるだろうし」

「メリット? あれの事か? まさかお前……」


 本心は俺のサイドジョブの性能をみたいって事か?


「いやいや、当然誰にも言ってないよ。この世界は信頼が一番の繋がりだからね。でも、誰かとパーティー組もうとしてたんでしょ? なら、秘密を知ってる僕の方が、都合がいいと思わない?」

「必死だな、お前……はぁ……わかった。それでいいよ。召喚士レベル25だ。よろしく頼む」

「本当!? よし! これでまたあの筋肉脳筋馬鹿ダルマ2014に地団駄踏ませることが出来る上に、君と一緒に戦闘が出来る! 楽しみ……」


 しかし、他のメンバーは、こんなレベルの低いプレイヤーがやってきて迷惑じゃないんだろうか?


 こいつは何を聞いても大丈夫しか言わないし……むぅ……しかし、もう今からパーティー探すのも面倒くさい……駄目なら1人でやればいいか。


 とりあえず、俺は嬉しそうなペインキラーに手を引かれながら集合場所とならに連行されていった。

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