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第十九話、男らしいってなんですか?(1)

 予想通り起こったバージョンアップ。


 その後すぐにログインした俺は、早速サイドジョブの設定をしていた 。


 サイドジョブ、俺は新しく手に入れたこの特性に話に聞いた以上の恐ろしさを感じていた。


「ステータスが異常に上がってるんだが?」


 サポートとして二つ目のジョブ…………どうも、サポート分のステータスも増量されてるみたいだ。


「 今までのステータスはええと、装備の効果も含めると、HP26、MP46、 攻撃30、防御7、 功魔8、 防魔8 。レベルを考えると、改めて農民の貧弱性が浮き彫りになるな。で、今は……HP41、MP66、攻撃38、防御16、攻魔24、防魔28……有り得ないだろ。しかも、スキルスロットも倍になってるし……」


 設定出来るジョブが増えた為か、装備出来るスキルが10個になっている。


 俺の取得スキルじゃ、空きが出来るな。  


(よお、ロマノフ。実はサイドジョブなんだが……)


 テルでロマノフに今わかった事を報告する。


(なんだそりゃ!? そんなのありか! すぐ行く、一寸待ってろ!)


 切られた。しゃくだな。農耕と採集だけして、すぐ移動しよう。


 取って、耕して、水をあげて、植える。


 リピート。


 取って、耕して、水をあげて、植える。


 リピート。


「おお、待っててくれたのか! てっきり、今日も街中散策が必要かと思ったぜ」

「…………」


 く、あまりにいつもの日課すぎて逃走を忘れてたわい。


 今日は薬草236個、せいしん草132個、ゴールデンアップル12個、ソーマの実12個。


 レアアイテムが収穫されすぎだろ? それにレアアイテムは12個が限界なのか?


「で、マジか!? サイドジョブのスキル数の増加やステータスの大量アップって」

「ああ、俺も近接が出来そうな位上がったし」


 数値を伝えてみる。


「高っ!? まさか、サイドに設定したジョブのステータスがそのままプラスされてんのか!?」

「だろうな。これで、農民も戦闘可能になるな。メインはやっぱり変えられないみたいだし」

「ん? そうなのか? 好きに付け替えられるんじゃないのか?」

「サイドジョブ、だからな。メインジョブは転職、と言うシステムを使わなきゃ行けないみたいだぞ?」


 そう、メインジョブは変更できない。あくまでサイドジョブがスキル名だから。

 つまり、未だ実装されてない農民は、今後も変更はしないって事だ。


「じゃあ基礎が低いなら、そんなに無双出来ないじゃないか」

「ネットゲームで無双出来たら破綻してるだろ」

「……ジェイル、俺も転職する。手伝ってくれ」


 急だが、ミリンダもまだレベル低いし前々から考えてたのか?


「構わないが何になるんだ? 僧侶か?」

「いや、回復を覚えるのも修羅の道だし、既にお前やミリンダさんがいる。ロマノフはお前と遊ぶ為に作ったんだから、もう回復はいらないだろう? 俺は物理攻撃にアホ程特化するよ」


 バランスを取ってか。成る程な。じゃあ、何になるんだ? ヤバい、どんなジョブなのか、さっぱり判らない。


「盗賊とかか?」

「いや、それもあるが、一寸手間がかかる。昨日のクエスト報酬は、俺は転職クエストの解放だったんだ。だからそれになろうと思う」


 スキルではなく、転職クエスト解放? なんかそんなによくない気がする。


「そうでもない。このジョブのクエストは開始条件が毎回変わるから、今まででも転職出来た奴はあまりいないことで有名なんだ」

「そんなマゾいジョブがあるのか? なら、余程いいやつなんだな」

「まあな。皆の憧れ、男の希望…………双剣士だ」










「敵が多すぎるだろ!?」

「報告に上がってる中なら楽な方だ。パーティー合わせてでの撃破数で、しかも敵はまだ全部格下、なんとかなるだろ?」


 クエスト内容は、イベントフィールドで無限に湧く(と言う設定の)リザードマンを50体倒し続けるもの。

 特殊なフィールドなので、自身のレベルは10に制限される(当然、10以下の場合はその自身のレベルになる)。

 因みに一度に複数体現れ、敵のレベルは1から始まり、最終的には同レベルの10まで上昇する。


「しかも、クエストが二人制限って……」

「まあ、楽とはいえ成功率40%のクエストだからな」


 石斧で、未だレベル3のリザードマン軽装兵を一撃の下に粉砕しながら話しかけてくる。


 一番始めにレベル1のリザードマン見習い戦士が7匹出てきたから、一巡毎にレベルが上がって行くとレベル10のリザードマンを3体を相手にしないといけないのか。


「なんで、そんなに成功率が低いんだ? ドライ、前に出過ぎなくていい、露払いは俺がやる」


 ランクアップで大きくなった岩を鎌を使って、農具スキル分のダメージを追加させながら投擲。召喚獣ドライアードに指示をとばす。


 ツタの剣(と、いう名の鈍器)を持ち、リザードマンを叩き潰す豪快な木の幻獣。

 切れ味がない方が、敵にとっては不幸だよな。


「そりゃ、こんな長期戦になるんだ。回復手段が足りないのさ。後半になると近いレベルばかりなんだ。しかもレベル制限10だとMPも、ステータスも覚束ない。更には魔法職の現存数……後は……わかるな?」


 フェイントを入れて、リザードマン軽装兵を蹴り飛ばしながら石斧の本命をたたき込むのを見ながら、投擲を繰り返す。


「三人ならバランス取れるのにな。今みたいに……そ~れよ! っと! さて、次はレベル4。まだまだ、余裕あるな」

「実際、キツくなるのはレベル6以降らしい。召喚獣の存在が、今後この手のクエストの成功率を上げるさ。特にドライアードは回復まで使えるんだ。期待してるぞ、ジェイル」

「OK、俺の仲間の力を存分に堪能するがいい」


 格下だから、きっと効果的だろう。そう思い、現れたレベル4のリザードマン軽装兵達出現と同時にリーフストームを発動させた。





「……強すぎだろ、ドライアードのリーフストーム。レベル8までのリザードマンが殆ど一撃なんて……」

「消費もでかいし、ウェイトタイムがあるから連射は出来ないがな」


 あの後、リーフストームと共に一斉に消えるリザードマンを見続けた俺達。


 威力高すぎ。


 現在レベル9のリザードマン戦士を相手にしてるが、流石にキツい。


 今まで複数体相手取っていたロマノフも、単体戦闘が精一杯だ。ドライアードもダメージはたいしてないが同じような状況だ。


 だから、俺に出来る事といえば……。


「投擲。そして、戦線離脱! と見せかけて……更にアタック! 隙を見て、鎌斬りアタック!」


 残った3匹に対して、回避と投擲更に、戦えるようになった近接も含めながら、蝶の様に戦っていた。


 ピロリン! って、何だ? スキル……を拾得しました? メニューバーなんてみる暇あるか! 後だ後!


「まさか、お前が3匹倒すなんて……」

「当たらなければどうとでも……ってことだな。しかも、俺のステータスは今回の戦闘で更にうなぎ登りなんだぜ? 被弾が激しいな、お前。ドライ、癒しを」


 ドライアードの精霊の癒しでほぼ満タンまで回復するHP。


 そういえば、何かスキル覚えたな。

何々……回避レベル1か。俺にはぴったりだな。


 早速装備して……と。


「ドライもレベル上がったな。何か覚えたか?」


 コクコク。


 確認してみるか。


 ツタの剣を差し出すドライ。ツタウエポンの項目に空きが一つある。


「どんな武器でも設定出来るって事?」


 コクコク。


 何その万能性。


「じゃあ、斧……はいらんか。銃……はキャラ的に似合わないな。じゃあ、森の民的に弓、ん、弓型で! そして次のリザードマンが接近するまで射撃だ。その後は、今の敵の感じからすると鞭の形態に戻して戦え」


 コクコク。


 変形するツタ。身の丈位の大弓になりましたが?


「デカすぎないか? そういえば、矢は?」

「ジェイル、来るぞ!」


 現れたのは3体のリザードマン戦士。レベルは自分達と同じ10だ。


「物は試し、ドライ、今! 撃ち方始め!」


 小岩を撃ち出しつつ、ドライアードに連射指示を出す。


 ドライの矢は大弓同様、硬質化させたツタを撃ち出しているみたいだ。


 そして撃つ度にMPが減少する。まあ、想定内だな。消費は……一発3。ありだ。次弾装填は俺ほどは早くないが、ダメージは俺の通常の投擲と同じ位なんだが。


 より俺の立場が危うくなった。


「おおお? なんだ、その威力……おまえ形なしじゃん。剣の半分位ダメージあるな。万能にも程がある」

「確かにダメージ高いな。俺が霞んでしまうよ、チクショウ! お前等のせいだ! このトカゲ人間!」


 俺も同一の敵を狙って投擲をしていた為、同レベルのリザードマン戦士はこちらに到達前に、一体消滅した。


 次いで指示の通りに、鞭型にツタを変形させる。


「一気に押し切る為に、リーフストームのウェイトタイム終了まで時間を稼ぐぞ……ま、倒してしまっても構わんがな」


 ロングソードとバックラーを装備したリザードマン戦士。

 一体はドライに、一体はロマノフに向かう。


「これで終わり……出し惜しみはしない。パワーアタック!」

「俺は発動系のスキルとかないしな。この鎌で小岩を撃ち出す事しか出来んよ。ほっ! ドライ、力の限りだ!」


 鞭を振り回して、周囲に打ち下ろすドライアード。


 それはリザードマン戦士のバックラーで防がれるが、俺の投擲した小岩が顔面に直撃する。

 こちらへのターゲット率が上がったのか、俺の方を向き直るリザードマン戦士。

 しかし、今度は返す刀でうねらせていた鞭が直撃する。


「この辺はシステムで動くコンピューターだよな。ドライ、行けるな?」


 しかし、一回フリーになったドライがそれで終わる訳はなく……。


「グギャ!」

「そのまま、一気呵成に責め立てろ!」


 散々打ちつけた後で、腹部にツタの剣を叩きつける。

 後方へ後ずさり(ノックバック)するリザードマン戦士。


「俺も本気出すか……ショットガンも使うぜ?」


 ノックバックに合わせて、拾った小岩群を放り投げる。


 それと同時に、鞭で中距離から攻撃に戻るドライ。


 そして、近づいた所でドライの一撃を受けてリザードマン戦士は消滅した。


「ドライ、自身とロマノフに精霊の癒し。回復したら、ツタを弓状態にして援護に入るんだ」


 鎌で小岩を撃ちだしながら、ドライに指示を出す。

 大して苦戦せずに3対1になった俺達が、この戦闘を終わらせるのに時間はかからなかった。


 そしてクエストは意外にあっけなく終わった。

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