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第十三話、強くなる実感はありますか?(3)

 俺がレベルを12にしてから3日。


 基本ソロ(一人)でのレベル上げを行い、14までレベルを上げた。


 クレイゴーレムの攻撃力(俺より高い)と自爆。

 それに、俺の複合投擲技。


 それを駆使すれば、格下の乱獲等造作もない。


 他プレイヤーの迷惑にならないように、人気のない狩り場にしたから効率はきっと悪かっただろうけど。


 今は一人でアレストガンの渓谷も進める位にまで、プレイヤースキルも上がった。


 キャラクターはって? はっ!? 一寸強くなった程度で、このマゾ性能は変わらない。


「ふぅ……レベルが上がったからか、ゴーレムの召喚MP上がったな。殆ど上昇しない農民には痛いな」


 ゴーレム召喚はMP消費が固定値ではなく、パーセンテージでの計算であることがわかった。

 つまり、MPが上がれば上がるほど消費は増えていくのだ。


 その分強くなればいいのに、そこはスキルレベルの恩恵を受けるらしい。

 やれやれである。


 さて、コボルト下級槍兵を倒した俺は、木のクワをしまいながら溜め息をついた。


 他に適正レベルの狩り場がわからない俺は、行き道のモンスターを枯らしてみたり、ここでコボルトを狩ったりしてる。


「一人だと、面倒具合がわかるな」


 コボルトが嫌われてる理由の一つ。スキル、バッシュ。


 対象を短時間スタン(気絶)状態にする盾スキル。


 奴らはプレイヤーに解放されてるそれを使用する。


 何度かあわや、みたいな場面にも遭遇したし。


「ま、歯ごたえがあっていいがな」


 HPの状態を確認し、次の敵を……(ジェイルさん。お久しぶりです。メール見ましたよ!)……と思ったが、どうやら街に戻る必要があるようだった。







「テストですよ、テスト! お母さんにOO禁止令が出されちゃって……もう、最悪です!」

「そうか、大変だったな」


 開口一番にミリンダが口にしたのは学生皆の苦行、試験勉強であった。


「まあ、終わったからいいですけど」

「お疲れ様……それで居なかったんだな」


 なんか、すっかり忘れてたな。

 俺も昔は掃除、料理、懸賞禁止令が出てたな。あの時はキツかった。


「掃除料理でに……懸賞、すか?」

「ああ。集中すると、どうも他の事に意識が逸れて……ね」

「凄いですね。料理なんて、私少ししか出来ないです」

「俺も人に振る舞える程の腕前じゃないよ。下手の横好きだし、必要性が出てからでも遅くはないさ」


 まあ、実際は一人暮らしを始めてから、どちらも重宝してる。


「はぁ、有難う御座います。って、ジェイルさん、凄いレベル上がってるじゃないですか!

 これじゃあ、私、ジェイルさんとパーティー組めないです……」


 低レベルのプレイヤーが高レベルのプレイヤーとパーティーを組む利点は殆どない。


 パーティーの取得経験値は、高レベルプレイヤーの取得経験値となるし、低レベルならその分だけ危険が増すからだ。


「俺は別に構わんが……1人も退屈だったしな」

「でも、ジェイルさんにご迷惑が……」

「良いって、クレイのレベルもあげたいし」


 そう言えばクレイゴーレムの事話してないや。


 あの後、ゴーレム召喚でクレイゴーレムが使えるようになった事を話す。


「ふええ……スロウ効果付きのゴーレムですかぁ。凄いです! ソロで出来てたんですよね? それなのに、私一緒で……」


 もう、うじうじしてるなぁ。

 全く。


「ほら、もうパーティーに誘ったぞ。早く行くから申請!」

「は、はい。わかりました! あの、有難う御座います」


 最終的にはアレストガンの渓谷に行きたいけど、とりあえず、もしもの時の為にその前のアレストガンの広野に行くか。


 なんか、俺、冒険者みたいだな。

 一寸嬉しくなったりした。





「ストーン! このレベルの敵は、もうジェイルさんの相手にならないんですよね?」


 玉ねぎを石つぶてで、ボコボコにしてからミリンダが聞いてくる。


 魔法攻撃力にボーナスがつく腕輪を手に入れた為か、同レベルの敵でも問題ないみたいだ。

(ゴーレムとの戦闘時のドロップ品)


 パーティーは解除してある。経験値が減ってしまうので、ミリンダにはマイナスしかないから。

 危なかったら俺が投擲すればいいし。


「もうレベルが上がったのか。遠距離をキープ出来てる魔法職は無双だな」

「そんな事ないですよ。立ち回りも難しいしMP無くなったら何も出来ないのでMP管理もやってとかで神経使います。あの、私もレベル10になりましたし、ジェイルさんが普段レベル上げをしてる場所で大丈夫ですよ」


 普段って、それすぐ後ろだぜ。


「その戦い方なら、まあ大丈夫かな? じゃあ、誘うよ?」

「え? ここなんですか? ここって、アレストガンの渓谷ですよね?」


 ん? なんか変かな?


「コボルトは厄介で、ドロップも殆どない、何より宝箱がない、って、大変三銃士ですよ! なんでこんな場所で?」


 ほほう。皆そういう認識なら本当に助かること。


「利点はプレイヤーがいない事。それが俺には最大の利点」

「ああ……ゴーレムさんいますもんね。存在すら不確かな召喚獣ですし。流石ジェイルさん! 賢明な判断です! じゃあ、隠しておいた方が……って、でも畑で散々使ってましたよね」


 気にしない、聞こえない、ほら、さっさと行くアルヨ。


「あ、待って下さいよぉ」







 いつもの場所に移動すると、ソロ狩りの要領で戦闘を開始する。


「うわっ、ダメージが全然ない! ストーン、ストーン、ストーン」

「クレイ、手を休めるな。パンチだ、キックだ、ラリアットだぁ!」


 手にした小岩を投擲しながら、クレイに指示を出す。

 特に問題なく撃破。


 レベル差補整で、ミリンダのストーンはダメージが殆ど入らないようでダーゲットが向くことはなかった。


「よし、クレイよくやった。素晴らしい前衛具合だ」

「凄いですね、スロウ効果。これなら、赤ネームでも行けるんじゃないですか?」


 それは無理なんだ。


 スロウの発生率は100%だけど、遅延率はレベルによって左右される。


 最悪1%しか効果がない時もある。


 魔法防御も多分適応されるから。


「つまり、弱いおバカさんがいいって事ですか?」

「そう。昆虫や動物系は特定の属性に耐性を持つ者がいるから。むしろこう言った人型の方が都合がいい」


 次のコボルトを釣りながら説明する。


「ストーン! そうですかぁ。いつの間にか、私より熟練者になっちゃったんですねぇ」

「ふ、5日のブランクの分、俺の方が先輩だな」


 拾った中でも、未鑑定物は道具袋にしまって投擲を繰り返す。


「じゃあ、宜しくお願いします、先輩!!」

「元々年上な訳だが……まあ、いいか」


 その後も狩りを続け、先に俺がレベル15に上がった。





「おめでとうございます。やっぱり強い相手とやると、スキルが凄く上がりますね」

「それは良かった。じゃあ、次行くぞ」


釣る

狩る

釣る

狩る

繰り返し



 そして、俺の次のレベルアップの前に、ミリンダもレベル12まで上がった。


「おめでとう。でも、低レベルのキャラがこんなにレベル上がるものか?」

「ありがとうございます。ですよね? 確かにおかしいです」


 なんか得したのに、2人で考え込んでしまった。




 何気なく、スキル画面を眺めてみる。


農耕……農具……採集……投擲……ランクアップ……ガイド……特に変わりないよな……ん? ガイド?


 何だこれ?


ガイド……自分よりレベルが-2~5のパーティーメンバーに適正に経験値が入るようになる。


 なんで限定的なスキルなんだ。しかも固有だし。


「そんなスキルもあるんですか?」



「らしいな……便利なスキルだな。ミリンダはレベル12だから、レベル14までは効果範囲内だな」


 スキル装備数オーバー? そうだった、5個しか装備出来なかったな。


 じゃあ……今は使わないし、農耕を外しておくか。


「じゃあ、続けてレベル上げしようか」


 ガイドの効果は凄まじく、ミリンダも強くなっているのも呼応して、レベル14まで上げるのに30分もかからなかった。

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