ドジなお姫様と、誰にもいらないと言われた英雄たち
むかしむかし、緑豊かな山々、深い森、そして春には花の海のように広がる野原に囲まれた小さな王国、ルマリアがありました。
大陸で一番大きな王国ではありませんでした。
裕福な王国でもありませんでした。
その軍隊は近隣諸国を恐れさせることもなく、塔は雲に届くほど高くはありませんでした。
しかし、人々は平和に暮らしていました。
毎朝、商人たちが広場に集まり、子供たちは果物屋台の間を走り回り、パン屋からは焼きたてのパンの香ばしい匂いが漂っていました。
丘の上に王城がそびえ立っていました。
そして、そこにリリアという名の小さな王女が住んでいました。
彼女は13歳で、金色の髪に大きな青い瞳を持ち、おそらく大陸で一番膝を擦りむいていたでしょう。
理由は至ってシンプルです。
「私は世界で一番偉大なヒロインになるの!」
リリアは木刀を頭上に掲げた。
彼女の前には、恐るべき敵が立っていた。
それは藁人形だった。
剣は持っていない。
腕もない。
動くこともできない。
それでも、ローランド隊長は人形の方が有利だと確信していた。
「覚悟しろ、怪物め!」
「殿下」とローランドは言った。「まずは、剣を正しく持ちなさい。」
「真の英雄は臨機応変に対応できなければならない!」
「真の英雄は剣が飛んでしまわないように気をつけなければならない。」
リリアは頬を膨らませた。
「たった3回だけです!」
ローランドは指を4本立てた。
リリアは指を数えた。
「1…2…3…」
彼女は言葉を濁した。
「4回。」
「その通り。」
「でも4回目はほとんど数えられません!」
「庭師に当たったんです。」
「事故だったんです!」
「その通り。」
リリアは深く息を吸い込んだ。
彼女は剣を握りしめた。
「今度こそ違う!」
彼女は走り出した。
「ヒロイック・プリンセス・アタック!」
彼女はドレスの裾を踏みつけた。
「えっ?」
「ドスン!」
彼女は顔から草の上に倒れた。
剣が飛び出した。
「スロットル!」
剣はローランドの兜に命中した。
静寂。
リリアはゆっくりと顔を上げた。
彼女の額には刃が突き刺さっていた。
「隊長。」
「はい、殿下?」
「これは計画通りだ。」
「もちろん。」
「敵を混乱させるための作戦だった。」
ローランドは動かない人形を見た。
「怯えているようだな。」
リリアは立ち上がった。
「またか!」
「もう1時間も経ったのに。」
「英雄は決して諦めない!」
「彼らだって休息が必要なのよ。」
リリアは眉をひそめた。
「私の物語にはそんな話は出てこないわ。」
「だって、眠っている騎士の話なんて10ページも読みたい人なんていないもの。」
リリアは真剣に考えた。
「私は読むわ。」
ローランドはため息をついた。
「そうだろうな。」
それがリリアだった。
英雄や騎士、壮大な冒険物語をたくさん読んできた小さな王女は、いつか自分もその主人公になると信じていた。
ただ一つ問題だったのは、彼女にはヒロインに求められるような資質がほとんどなかったことだ。
彼女は強くなかった。
剣の腕前もさほどではなかった。
彼女は不器用だった。
そして、とてつもなく世間知らずだった。
ある時、旅の商人が彼女に丸い石を売りつけ、それがドラゴンの卵だと断言した。
リリアは貯金をすべて使い果たしました。
彼女は2週間、その人形の世話をしました。
彼女は人形のためにベッドを作りました。
夜は毛布をかけてあげました。
彼女はメイドたちにさえ、ひそひそ声で話すように頼みました。
「赤ちゃんドラゴンは眠っています!」
母親は今もその石を大切に持っていました。
リリアはそれが卵ではないことを知りませんでした。
そして、もしかしたらその方が良かったのかもしれません。
しかし、小さな王女には、ある特別なものがありました。
彼女は決して諦めませんでした。
10回転んでも、
11回転んで立ち上がりました。
失敗しても、
また挑戦しました。
そして、誰かが「それは不可能だ」と言うと、彼女はいつもこう答えました。
「でも、あなたは試したの?」
その朝、彼女は再び人形の前に立ちました。
「今なら試したわ。」
彼女は走りました。
つまずきました。
「ああああ!」
地面を転がりました。
彼女の剣が誤ってロープに当たった。
カチッ!
上からサンドバッグが落ちてきた。
ドスン!
人形を押しつぶした。
藁の頭が吹き飛んだ。
リリアは地面に倒れ込んだ。
ローランドは人形を見つめた。
そしてリリアを見た。
王女はゆっくりと両腕を上げた。
「私が勝った!」
「事故だったんだ。」
「でも私が勝った!」
「相手に全く当たってないじゃないか。」
「英雄はチャンスを掴むものだ!」
ローランドは思わず笑みをこぼした。
「いつかこのことで気が狂いそうになるな。」
リリアは剣を拾い上げた。
「私が偉大な女傑になったら、みんなにあなたが私の師匠だったって言うわ。」
「ちょっと言い過ぎだよ。」
リリアは笑い出した。
彼女は、これがルマリアにとって最後の穏やかな朝になるとは知らなかった。
その日の午後、彼女は城へと駆け戻った。
「お母さん!お父さん!ダミーを倒したよ!」
ローランドが後を追ってきた。
「それは疑わしいな。」
「隊長!」
リリアは両親を探して大広間に入った。
彼女は両親を見つけた。
しかし、そこには兵士たちもいた。
顧問たちも。
魔法使いたちも。
そして、埃と血にまみれた男が玉座の前に跪いていた。
リリアの笑顔は消えた。
アルドレン王は使者の言葉に耳を傾けた。
「陛下…ヴェルトリアは陥落いたしました。」
アルドレンは拳を握りしめた。
「モルガナか?」
男は頷いた。
リリアはその名を知っていた。
大陸中の誰もがその名を知っていた。
モルガナ。
破滅の女王。
過去数年間、ある王国を征服してきた征服者。
トロ。
しかし、モルガナは征服した土地を破壊しなかった。
彼女はもっと恐ろしいことをした。
彼女はそれらを保存したのだ。
農民たちは耕作を続け、
職人たちは働き続け、
兵士たちは戦い続けた。
ただ一つだけ違いがあった。
彼らにはもはや選択の余地がなかった。
モルガナは、人々の意志を縛る魔法の鎖を作り出すことができる黒い冠を所有していた。
「住民たちはどうなったのですか?」アルドレンが尋ねた。
使者は頭を下げた。
「彼らは今、モルガナのものです。」
リリアは一歩前に出た。
「人は誰のものにもなれません。」
皆が彼女を見つめた。
使者は悲しげに微笑んだ。
「モルガナも同じ気持ちでいてくれたらいいのですが、王女様。」
アルドレンは立ち上がった。
「門を閉めろ。近隣の村々を避難させろ。日没までに城壁に兵士を配置しろ。」
評議員たちは動き出した。
リリアは父の袖を掴んだ。
「父さんはここに来るの?」
アルドレンは黙っていた。
「おそらく。」
リリアは唾を飲み込んだ。
そして顔を上げた。
「じゃあ、私が戦います。」
「だめだ。」
「でも、毎日訓練しているのに!」
「だからこそ、お前はまだ準備ができていないと分かっているのだ。」
「手伝います!」
アルドレンは彼女の前にしゃがみ込んだ。
「手伝うというのは、必ずしも剣を使うことではない。」
リリアは眉をひそめた。
「私の物語では、そうなんです。」
父は微笑んだ。
「物語には、省略されている部分もあるものだ。」
その夜、誰もよく眠れなかった。
リリアは窓辺に立っていた。
彼女は、すべてうまくいくと自分に言い聞かせようとした。
父は強かった。
ローランドは偉大な騎士だった。
ルマリアには兵士がいた。
魔道士もいた。
そして、正義は必ず勝つ。
それはどんな物語でも真実だった。
その時、鐘が鳴った。
ドン!
リリアは目を開けた。
ドン!
再び。
ドン!
そして、叫び声が聞こえた。
彼女は窓辺に駆け寄った。
山々から無数の光が降り注いだ。
松明。
あまりにも多くの光が、ルマリアを取り囲む巨大な炎の蛇のように見えた。
モルガナの軍勢が到着したのだ。
夜明けまでに、王国は完全に包囲された。
黒い鎧をまとった兵士たちが谷を占拠した。
彼らの旗には、鎖で囲まれた王冠が描かれていた。
リリアはなんとか塔にたどり着いた。
ローランドは彼女を見つけた。
「殿下!」
「お会いしたい。」
「ここにいるべきではない!」
その時、街中に響き渡る声が聞こえた。
「ルマリアの民よ。」
一人の女が兵士たちの列を抜けて進んだ。
彼女は背が高く、美しかった。
銀色の髪が黒いドレスの上に流れ落ちていた。
彼女の頭には黒い冠が載っていた。
モルガナ。
「私はあなたの王国を滅ぼしに来たのではない。」
アルドレンが城壁に現れた。
「なんと寛大な。」
モルガナは微笑んだ。
「私が望むのはただ一つ。」
彼女は手を差し出した。
「すべて。」
城壁を伝ってざわめきが広がった。
「あなたの領地。」
「…」
「あなたの富。」
「…」
「あなたの兵士たち。」
最後に、彼女は街を見渡した。
「そして、この壁の中に住むすべての人々もだ。」
アルドレンは剣を抜いた。
「人は物ではない。」
モルガナは首を傾げた。
「すべてには目的がある。」
「人は道具でもない。」
モルガナの笑みが消えた。
「ならば、お前を守れなくなった時、奴らがどれほど役に立たないか思い知るだろう。」
彼女は笏を地面に叩きつけた。
バキッ!
大地が揺れた。
巨大な黒い鎖が現れた。
一本が壁に激突した。
ドーン!
もう一本が街に突き刺さった。
兵士たちが悲鳴を上げた。
騎士が鎖を切ろうとした。
鎖は彼の腕に絡みついた。
彼の肌に黒い紋章が現れた。
彼の目は虚ろになった。
それはゆっくりと回転し始めた。
そして彼は仲間を裏切った。
リリアは顔色を失った。
「だめ…」
ローランドは彼女を掴んだ。
「鎖に繋がれるな!」
弓兵が矢を放った。
魔道士が炎を放った。
騎士たちが戦った。
しかし、捕らえられた兵士は皆、新たな敵となった。
ルマリアの門が崩れ落ちた。
そしてリリアは初めて、本当の戦いとはどういうものかを知った。
そこには英雄的な音楽はなかった。
壮大な演説もなかった。
そこには砂埃があった。
悲鳴が響いた。
親を探す子供たち。
恐怖に怯える兵士たち。
負傷した人々。
リリアは震え始めた。
「これは…」
彼女は恐怖に目を凝らした。
「これはおとぎ話とは違う。」
ローランドは彼女の前に跪いた。
「違う。」
爆発が塔を揺るがした。
「両親のところへ戻りなさい!」
「でも…」
「今すぐ!」
リリアは走った。
城の中で母親を見つけた。
「お母さん!」
エレノア女王は彼女を抱きしめた。
しばらくして、アルドレンが現れた。
彼の額には血がついていた。
「城壁が崩れた。」
リリアは目を開けた。
「負けたの?」
誰も答えない。
ドーン!
門が揺れた。
「陛下!」衛兵が叫んだ。「中にいます!」
リリアは父親に掴みかかった。
「剣をくれ!」
「だめだ。」
「手伝える!」
「じゃあ、私たちを助けてくれ。」
リリアは凍りついた。
アルドレンは跪いた。
「生き延びろ。」
「何?」
「城の下に秘密のトンネルがある。」
リリアは理解した。
「だめ。」
「出て行かなければならない。」
「だめ!」
「リリア…」
「彼らを置いていかない!」
涙がこぼれ落ちた。
「私は英雄になりたかった!戦わせて!」
父親は彼女を抱きしめた。
「ならば、まず英雄とはどういうものかを学べ。」
リリアは動かなくなった。
「勝てない戦いに身を投じる英雄は役に立たない。」
メイドが通路を開けた。
扉が砕け散り始めた。
「お父さん!」
ラ・ド メイドはリリアを連れて行った。
「行かなくちゃ!」
「ママ!」
エレノアは娘を最後にもう一度抱きしめた。
「今日は私たちを助けなくていいのよ。」
「でも…」
「ただ生きなさい。」
入り口が閉じ始めた。
リリアは手を伸ばした。
「パパ!」
黒い鎖が差し込む中、彼女が最後に見たのは両親の姿だった。
壁が閉まった。
「だめ!」
リリアは石を叩いた。
「開けて!」
何も起こらない。
彼女はもう一度叩いた。
「開けて!」
メイドは彼女を抱きしめた。
「お姫様…」
「戻らなくちゃ!」
「できないわ。」
「彼らがいる!」
「私の家族も。」
リリアは抵抗をやめた。
女は泣き崩れた。
「夫も母も兄もまだ街にいるの。」
「それなら…なぜ私と一緒に逃げるの?」
「今戻っても誰も救えないから。」
リリアはゆっくりと手を下ろした。
その言葉が彼女の心に深く刻まれた。
トンネルを抜けた時、ルマリアは既に倒れていた。
丘の上から、城の上に翻るモルガナの旗を見下ろした。
塔は鎖で覆われていた。
リリアは膝をついた。
生まれて初めて…
英雄の話をしたくないと思った。
その夜、彼女はほとんど眠れなかった。
「私は役立たずだ。」
メイドが彼女の傍らに座った。
「いいえ。」
「私には何もできなかった。」
「彼女はまだ13歳よ。」
「私の物語に出てくる英雄なら、みんなを救ってくれたはず。」
「あなたの物語に出てくる英雄は存在しない。」
それは痛かった。
とても。
リリアは小さな手を見つめた。
もしかしたら、自分は英雄にはなれないのかもしれない。
もしかしたら、それはすべて幼い頃の夢だったのかもしれない。
その時、彼女は父の言葉を思い出した。
「生き延びろ。」
そして、メイドの言葉も。
「今戻っても誰も救えない。」
リリアは遠くの鎖を見つめた。
「あの鎖を壊さなきゃ。」
「何だって?」
「もしモルガナがあの鎖でみんなを操っているなら…」
彼女は立ち上がった。
「…それなら、どうやってあの鎖を破壊するか考えなきゃ。」
「失敗するかもしれない。」
リリアは恐怖を感じた。
以前なら、すぐに答えていただろう。
今回は、彼女は考えた。
「もし失敗したら、なぜ失敗したのかを知らなきゃ。」
翌朝、彼女は旅に出た。
彼女は伝説の剣を持っていなかった。
魔法も使えなかった。
ましてや、まともな地図さえ持っていなかった。
3時間後、彼女は自分が間違った方向へ歩いていることに気づいた。
リリアは標識を見つめた。
ルマリア ←
彼女は後ろを振り返った。
…
誰も見ていないことを確認した。
「このことは誰にも言わないわ。」
ついに、彼女は古代の森にたどり着いた。
その時、咆哮が聞こえた。
グォォォォォォ。
リリアの目が光った。
「ドラゴンだ!」
彼女は走り出そうとした。
彼女は立ち止まった。
彼女は考えた。
「ドラゴンの巣に飛び込むのはまずいかもしれない。」
彼女は誇らしげに微笑んだ。
「勉強中よ。」
彼女は一歩踏み出した。
彼女はつまずいた。
ドスン!
「まだ勉強中なの。」
彼女は慎重に洞窟に近づいた。
「誰かいるの?」
「誰もいないわ!」
リリアは瞬きをした。
「でも、誰かが答えたわ。」
沈黙。
「いいえ。」
リリアは洞窟の中に入った。
すると、彼女はそれを見た。
光り輝く鱗を持つ巨大なドラゴン。その体には赤、緑、青、金、紫の光が反射していた。
まるで翼に虹が宿っているかのようだった。
リリアは口を開いた。
「あなたは美しい。」
ドラゴンは瞬きをした。
「何?」
「あなたは虹のドラゴンなのね!」
ドラゴンは後ずさりした。
「これ以上近づかないで。」
「どうして?」
「だって、私は危険だから。」
リリアは周囲を見回した。
「そうは見えないけど。」
ドラゴンは尻尾で岩をぶつけてしまった。
ドーン!
岩は壁を突き破った。
リリアは黙っていた。
――…
ドラゴンは頭を下げた。
――ほらね?
リリアは穴を見つめた。
「すごかったわ!」
「違う!」
ドラゴンは岩陰に隠れた。
「いつもこうなの。」
「壁を壊すの?」
「制御不能になるの。」
彼女の名前はレインボー。
遠いドラゴンの王国で生まれた。
そして、並外れた力を持っていた。
もしかしたら、強すぎたのかもしれない。
しかし、自分の力を他人に証明しなければならない時、彼女はいつも震え始めた。
ためらった。
失敗した。
そして、嘲笑されるほど…
彼女はますますためらった。
「恥さらしだって言われたわ。」
リリアは笑顔を消した。
「誰のこと?」
「他のドラゴンたちよ。」
レインボーは自分の爪を見つめた。
「そんなに力があっても、使うのが怖くて仕方がないなら、何の意味があるの?」
リリアは黙っていた。
「ついに追放されたの。」
「私たちが怖がっているから?」
「ええ。」
リリアは眉をひそめた。
「馬鹿げたことを。」
レインボーはハッと顔を上げた。
「何?」
「みんな怖がっているのよ。」
「ドラゴンは違う。」
「じゃあ、ドラゴンは嘘つきね。」
レインボーは口を開いた。
誰も彼女の王国についてそんな風に言ったことはなかった。
「そんなこと言っちゃダメ!」
「言ったわ。」
「でも…!」
リリアは微笑んだ。
レインボーは真面目な顔を保とうとした。
結局、彼女は笑ってしまった。
ルマリアで起こったことを聞いて、彼女はリリアと一緒に行くことに同意した。
「でも、役に立つとは約束できないわ。」
リリアは壁の穴を指差した。
「『役に立つ』の定義が全然違うのよ。」
それから数日間、二人は一緒に旅を続けた。
レインボーは自分の力を使うのを避けていた。
やがて、野生の生き物に襲われている家族を見つけた。
ドラゴンは震え始めた。
「私にはできない。」
リリアは剣を抜いた。
彼女も震えていた。
「大丈夫よ。」
レインボーは彼女を見た。
「え?」
「私もできるかどうかわからないの。」
リリアは前に進み出た。
レインボーは小さな王女を見つめた。
誰も彼女に無理強いはしていない。
誰も彼女に怒鳴りつけていない。
誰も完璧を求めていない。
彼女は息を吐いた。
「怖いよ。」
彼女は翼を広げた。
「でも、やってみたい。」
彼女は飛び立った。
着地はひどいものだった。
彼女は地面を転がった。
木に激突した。
しかし、彼女はなんとか生き物たちを追い払うことができた。
リリアが駆け寄ってきた。
「やったね!」
「ひどかったわ。」
「うん。」
「私ももう少しで墜落するところだった!」
「私も。」
レインボーは憤慨したように彼女を見た。
「じゃあ、どうして笑ってるの?」
「だって、頑張ったんだもの。」
レインボーは「やってみる」と言う回数を少しずつ増やし、
「できない」と言う回数を少しずつ減らしていった。
さらに進むと、二人は病んだ森を見つけた。
枯れた花々の間から、声が聞こえた。
「助けて!」
リリアは走り出そうとした。
彼女は立ち止まった。
レインボーの目は大きく見開かれた。
「何?」
「罠かもしれないわ。」
ドラゴンは胸に爪を立てた。
「本当に誇りに思うわ。」
「ちょっと!」
まず声のする方を探した。
すると、鎖で繋がれた巨大な花を見つけた。
中には緑色の髪をした小さな妖精がいた。
「助けて!」
妖精を解放した。
妖精は飛び去った。
「ありがとう!ありがとう!ありがとう!」
妖精はリリアの鼻に抱きついた。
「私はフローラ。」
フローラは植物と話すことができた。
そして、リリアが出会った中で、おそらく最も人を信じやすい生き物だった。
それは大変なことだった。
「村から追放されたの。」ある夜、彼女はそう告白した。
「どうして?」リリアは尋ねた。
フローラはうつむいた。
「だって、私はバカだから。」
「そんなこと言わないで。」
「ある時、見知らぬ人が道に迷ったと言ったの。」
フローラは手をもじもじさせた。
「村への秘密の道を教えてあげたの。」
「ああ…」
「泥棒だったの。」
レインボーは目を閉じた。
「ああ。」
「それから、別の人が子供たちに食べさせるお金が必要だと言ったの。」
「それで、お金をあげたの?」
「全部。」
「子供はいたの?」
フローラは首を横に振った。
「ワインを買ったの。」
リリアは眉をひそめた。
フローラは続けた。
「他の妖精たちは、いつか私がもっとひどいことを引き起こすだろうと言ったの。私があまりにも世間知らずで、私がいなくなった方がみんなにとっていいって。」
リリアは黙っていた。
それから彼女は近づいた。
「ドラゴンの卵だと言われて、石を買ったの。」
フローラは顔を上げた。
「孵ったの?」
「まだよ。」
レインボーは爪で顔を覆った。
「やらなきゃいけないことがたくさんあるの。」
フローラは結局、彼らに同行することになった。
しかし、旅の途中で、彼女はまた罠にはまってしまった。
ある男が怪我をしたふりをした。
フローラは彼に向かって走った。
モルガナの兵士たちが数人現れた。
レインボーのおかげで、彼らはなんとか逃げ出すことができた。
その夜、フローラは泣いた。
「こんな風に生き続けるのは嫌だ。」
「じゃあ、変わればいいのよ」とリリアは言った。
フローラは顔を上げた。
「もう人を信じるのはやめなきゃいけないの?」
「いいえ。」
リリアは考えた。
「あなたはまだ優しくいられるわ。」
レインボーは付け加えた。
「でも、質問してもいいのよ。」
リリアは頷いた。
「心の声に耳を傾けて…」
レインボーは彼女を見た。
「そして、頭の声にも。」
「それもね。」
フローラは微笑んだ。
「心と頭で。」
それ以来、彼女は信じる前に質問をするようになった。
いつも成功するわけではなかった。
しかし、彼女は少しずつ上達していった。
しばらくして、彼らは若い魔女が3人の兵士と対峙しているのを見つけた。
「西の大魔女、ミミの力を見よ!」
兵士の一人が首を傾げた。
「誰だ?」
「ミミ!」
「そんな名前は聞いたことがない。」
「もっと勉強しろ!」
彼は杖を掲げた。
「天の炎よ、我に答えよ――!」
沈黙。
ミミは汗をかき始めた。
「私の――」
彼女は本を取り出した。
「ちょっと待って。」
「呪文を忘れたのか?」
「いいえ!私は……情報を確認しているんです。」
リリアは走り出した。
「彼女を放っておいて!」
彼女はつまずいた。
彼女は転んだ。
「ああああ!」
彼女は古いレバーにぶつかった。
カチッ!
丸太が兵士たちの上に落ちた。
ドスン!
静寂。
ミミはリリアを見た。
レインボーも。
フローラも。
リリアは地面に倒れたままだった。
彼女は親指を立てた。
「秘技よ。」
レインボーは腕を組んだ。
リリアはため息をついた。
「事故だったの。」
レインボーは微笑んだ。
「確実に成長してるわね。」
ミミは才能のある魔法使いだった。
彼女は信じられないほどうっかり屋だった。
彼女は呪文を忘れた。
彼女は物をなくした。
彼女は読書中につまずいた。
ある朝、彼女は必死に走り出した。
「本をなくした!」
リリアは自分の頭を指差した。
ミミは手に持っていた分厚い本に触れた。
「ああ。」
彼女は幼い頃から魔法を学んでいた。
しかし、いつも同じことを言われていた。
「ミミがまたミスをしたわ。」
「大切なものは渡さないで。」
「きっと忘れちゃうわ。」
ついに彼女は勉強を諦めてしまった。
「もしかしたら、私はただのダメな魔法使いなのかも。」
リリアは首を横に振った。
「あなたはたくさんのことを知っているのに。」
「でも、私は忘れてしまうの。」
「じゃあ、覚える方法を見つければいいじゃない。」
ミミは瞬きをした。
「そんな簡単に?」
「たぶん無理よ。」
リリアは微笑んだ。
「でも、試してみるわ。」
ミミは小さなメモを書き始めた。
「炎:37ページ。」
「結界:52ページ。」
「杖を忘れないで。」
彼女は本を腰に結びつけた。
リリアはそれをすべて見ていた。
「何をしているの?」
「最悪の敵と対峙する準備をしているの。」
リリアは剣を掴んだ。
「モルガナ?」
ミミは自分の頭を指さした。
「私のうっかり癖よ。」
レインボーは笑い出した。
ミミは相変わらずうっかりしていた。
しかし、彼女のミスはだんだん減ってきていた。
そして、ミスをしても、それに対処する術を身につけていた。
フローラのおかげで、鎖が繋がっていることが分かった。
そして、ミミの知識のおかげで、答えが見つかった。
「黒い冠。」
ミミは絵を見せた。
「すべての鎖は
モルガナの王冠。
リリアは立ち上がった。
「じゃあ、破壊しましょう。」
「もう一つ問題があるの。」
「何?」
「王冠はあなたの城の中にあるの。」
リリアは微笑んだ。
「じゃあ、家に帰りましょう。」
ミミは城へと続く古いトンネルの痕跡も見つけた。
トンネルは廃墟となった遺跡から始まっていた。
そこで彼らは何かを見つけた。
いや、むしろ…
誰かを見つけた。
小さな石のゴーレムが一人座っていた。
片方の腕がもう片方より少し大きかった。
片方の足が後ろ向きについているように見えた。
そして額には不完全なルーン文字が現れた。
「こんにちは」とリリアは言った。
ゴーレムは頭を上げた。
「ポコ。」
「私はリリア。」
「ポコ。」
「彼女はレインボー。」
「ポコ。」
—フローラ―ポコ。
―ミミ。
―ポコ。
レインボーはリリアの方に身を乗り出した。
―何か分かる?
―何も分からない。
―じゃあ、どうしてまだ話しかけてるの?
―無視するのは失礼だから。
ポコは何年も前に作られた。
彼の創造主は巨大な守護ゴーレムを作ろうとしていた。
彼は賢くなければならなかった。
威厳があり、
完全に従順でなければならなかった。
結果として生まれたのは…
ポコだった。
小さく、
奇妙で、
時折部品が外れてしまう。
そして、命令を独特な方法で理解しているようだった。
彼の創造主は彼をこう呼んだ。
「失敗作だ。」
そして、彼を見捨てた。
ミミは大きな岩を指差した。
―ポコ、手伝ってくれる?
ガチャン!
ポコは腕を一本外した。皆が静まり返った。
ミミは笑い始めた。
「文字通りじゃないわよ!」
リリアは丁寧に腕を取った。
「ありがとう。」
「彼を煽らないで!」
しかし、彼らはすぐにあることに気づいた。
ポコはどんな命令にも従った。
疑問を抱くことなく。
それが彼にできる唯一のことだったからだ。
ある日の午後、ミミは彼に言った。
「ここにいて。」
岩が彼の上に落ちてきた。
ポコは動かなかった。
「ポコ!」
リリアは彼を押した。
岩は落ちた。
「どうして逃げなかったの?」
ポコはミミを指差した。
「ポコ。」
ミミは顔色を失った。
「ここにいるように言ったのよ。」
リリアは小さなゴーレムの前にしゃがみ込んだ。
「ポコ。」
彼は彼女を見た。
「人の言うことをいつも聞く必要はないんだよ。」
「ポコ。」
「君が決めていいんだよ。」
ゴーレムは頭を下げた。
「ポコ…」
彼は理解していないようだった。
しかし、その言葉は彼の心に深く刻まれた。
5人は旅を続けた。
不器用で世間知らずな王女。
自信のないドラゴン。
人を信じすぎるために追放された妖精。
うっかり者の魔女。
そして、失敗作と見なされているゴーレム。
彼らは伝説の主人公には到底見えなかった。
しかし、少しずつ、何かが変わり始めた。
レインボーはまだ怖がっていた。
しかし、リリアの励ましはだんだん必要なくなっていった。
フローラは相変わらず他人の良いところを見ようとしていた。
しかし、彼女は観察することを学び始めていた。
ミミは物をなくし続けた。
しかし、彼女は覚悟を決め始めた。
ポコは従い続けた。
しかし、時々、行動する前に立ち止まることもあった。
そして、リリアは相変わらずリリアだった。
彼女は相変わらずつまずき、
相変わらず世間知らずだった。
しかし、危険に飛び込む前に考えるようになっていた。
ある夜、彼らは焚き火を囲んで座っていた。
レインボーは炎を見つめた。
「変なこと知ってる?」
「何?」リリアが尋ねた。
「私たち、みんな拒絶されたのよ。」
フローラはうつむいた。
ミミは書くのをやめた。
ポコは動かなかった。
レインボーは続けた。
「ドラゴンに追放されたの。」
フローラが言った。
「妖精に追放されたの。」
ミミは悲しそうに微笑んだ。
「私が去ったの。」
皆はポコを見た。
「ポコ。」
リリアが近づいた。
「それなら、彼らの損失ね。」
レインボーは彼女を見た。
「それだけ?」
「うん。」
「何か深遠なこと言わないの?」
リリアは数秒間考えた。
「ルマリアを助けたらケーキを食べよう。」
ミミは吹き出した。
「そっちの方が説得力があるわ。」
リリアは友達を見た。
「私たちが一番かどうかは分からない。」
レインボーを見た。
「怖がってるね。」
フローラに。
「人を信じすぎ。」
ミミに。
「うっかりしてるね。」
「ありがとう。」
ポコに。
「そしてあなたは…」
リリアは考えた。
「ポコ。」
「ポコ。」
「その通り。」
みんなが笑い出した。
リリアは微笑んだ。
「でも、私はあなたたちと一緒にいたい。」
レインボーの目が大きく見開かれた。フローラもそうだった。
「役に立つからじゃないのよ。」
リリアは首を横に振った。
「だって、私の友達だから。」
数秒間、誰も答えなかった。
リリアにとって、その言葉は単純なものだった。
他の者たちにとっては…
もっと深い意味があった。
翌朝、彼らは古いトンネルに入った。
何時間も歩き続け、ついにルマリア城の地下にたどり着いた。
リリアは壁に見覚えがあった。
彼女の心臓が高鳴り始めた。
「私たちは家に帰ってきたのね。」
レインボーが近づいてきた。
「怖い?」
リリアはうなずいた。
「すごく。」
彼女は微笑んだ。
「でも、怖くてもできるわ。」
レインボーも微笑んだ。
彼らは前進した。
フローラは怪我をしているように見える男を見つけた。
「助けて…」
彼女は男に近づこうとした。
彼女は立ち止まった。
彼女は観察した。
彼女は尋ねた。
彼女は鎖の黒い跡を見た。
「制御できているわ。」
「別の方法を見つけたのね。」
フローラは微笑んだ。
「心と頭ね。」
ミミは魔法を使う前にメモを確認した。
彼女は呪文を忘れていなかった。
ポコは鍵のかかった扉を見つけた。
ミミはルーン文字を調べ始めた。
「たぶん解決する必要があるわ…」
ポコが押した。
ギィッ。
扉が開いた。
静寂。
ミミはゆっくりと本を閉じた。
「それとも、こうすることもできるわ。」
ついに、彼らは到着した。
彼らは巨大な広間に入った。
中央には黒冠が浮かんでいた。
そこから無数の黒い糸が伸びていた。
「あれだ」とフローラは囁いた。
ミミは杖を掲げた。
「結界が張ってある」
彼女はメモを確認した。
彼女は息を吐いた。
「秘術の破裂」
ドーン!
結界は消えた。
ミミは目を開けた。
「やったわ」
リリアは微笑んだ。
「あなたならできると思ってたわ」
「感動的ね」
背後から声が響いた。
モルガナがゆっくりと入ってきた。
破滅の女王は奇妙な集団を観察した。
そして彼女は笑い始めた。
「私に挑戦しに来たのかしら?」
彼女はリリアを指差した。
「弱くて世間知らずのお姫様ね」
彼女はレインボーを見た。
「同族に追放された竜。」
レインボーは震え始めた。
「自分の呪文すら思い出せない魔女。」
ミミは杖を握りしめた。
「あまりにも愚かな妖精で、同族に追放された。」
フローラは視線を落とした。
そしてついに、ポコを見た。
モルガナは吹き出した。
「そして、失敗作。」
ポコは顔を上げた。
「創造主に見捨てられた、欠陥のある創造物。」
リリアは拳を握りしめた。
「黙って。」
モルガナは微笑んだ。
「何?」
リリアは一歩前に出た。
「私の友達のことをそんな風に言わないで。」
「友達?」
モルガナは両腕を広げた。
「見てみなさい。」
「もう見てるわ。」
「役立たずよ。」リーリアはレインボーを見た。
フローラを見た。
ミミを見た。
ポコを見た。
そして微笑んだ。
「本当に素晴らしいわ。」
モルガナは笏を掲げた。
「ならば、失敗と共に死ね。」
鎖が襲いかかった。
フローラは両手を上げた。
地面から大きな根が生えた。
ミミは呪文を唱えた。
「天の稲妻!」
ドーン!
ポコは鎖を受け止めた。
モルガナは彼を見つめた。
彼女は微笑んだ。
「お前、ゴーレム。」
ポコは動かなかった。
「お前は服従するために作られたのだ。」
彼女は手を差し出した。
「来なさい。」
ポコはモルガナを見た。
そしてリーリアを見た。
彼はその言葉を思い出した。
「お前が決める。」
モルガナは声を荒げた。
「私に従え!」
ポコは一歩踏み出した。
リリアは息を呑んだ。
ゴーレムは自分の手を見つめた。
創造主は彼を失敗作と呼び、
見捨てた。
しかし、あの人たちは…
彼をポコと呼んだ。
彼が遅れをとった時、彼らは待っていてくれた。
彼が部品を失った時、彼らは修理してくれた。
彼らは彼と共に笑った。
彼らは彼を受け入れる前に、彼が何のために存在するのかを尋ねたことは一度もなかった。
ポコは顔を上げた。
「嫌だ。」
モルガナは目を開けた。
ミミも。
「ポコ…?」
ゴーレムは仲間たちの前に立った。
「嫌だ。」
リリアは微笑んだ。
初めて…
ポコは選んだ。
モルガナは叫んだ。
鎖が襲いかかった。
「レインボー!」
ドラゴンは王冠を見つめた。
彼女の足が震え始めた。
モルガナは微笑んだ。
「さあ、行きましょう。」
――…
――なぜ退学になったのか、見せてごらん。
レインボーは目を閉じた。
長い間、その言葉だけで十分だっただろう。
彼は逃げ出しただろう。
彼はこう言っただろう。
「できません。」
しかし、彼はリリアのことを思い出した。
彼は自分が守ってきた家族のことを思い出した。
彼は、一つ一つの小さな試みを思い出した。
彼は目を開けた。
――怖いんだ。
モルガナは笑った。
――それなら、あなたは弱いのね。
レインボーは翼を広げた。
――違う。
彼の鱗に色が渦巻き始めた。
――ただ怖いだけなんだ。
赤。
青。
緑。
金色。
紫。
――それでも、僕はできると分かった。
彼は口を開いた。
ドーン!
巨大な多色の光線が黒い王冠に命中した。
パキッ!
王冠は壊れなかった。
レインボーは倒れた。
モルガナは笑い始めた。
「失敗したわね!」
レインボーはゆっくりと顔を上げた。
彼女は王冠を見た。
王冠の表面には大きな亀裂が走っていた。
彼女は微笑んだ。
「いいえ。」
彼女はリリアを見た。
「私は自分の役割を果たしたわ。」
リリアは走り出した。
鎖が現れた。
王女は飛びかかろうとした。
彼女は立ち止まった。
彼女は見守った。
彼女は待った。
鎖が通り過ぎた。
彼女は前進した。
別の鎖が現れた。
リリアはそれを避けようとした。
彼女はつまずいた。
ドスン!
鎖が彼女の頭上をかすめた。
ミミは叫んだ。
「あれは戦略じゃなかった!」
リリアは立ち上がった。
「一度に全部改善できるわけないでしょ!」
フローラは笑い始めた。
モルガナがリリアの前に現れた。
「自分の姿を見てごらん。」
王女は剣を構えた。
「弱い。」
「ええ。」
「不器用。」
「本当に。」
「世間知らず。」
リリアは考えた。
「努力してるわ。」
モルガナは歯を食いしばった。
「あなたは決して完璧なヒロインにはなれないわ!」
リリアは動かなかった。
かつてなら、そんな言葉は彼女を打ち砕いていただろう。
なぜなら、まさにそれが彼女のなりたかった姿だったからだ。
完璧なヒロイン。
強い。
勇敢。
どんな問題も解決できる。
しかし今、彼女は今まで知らなかったことを知った。
彼女は後ろを振り返った。
レインボーが立ち上がっていた。
フローラが鎖を握っていた。
ミミが次の呪文を準備していた。
ポコは自らの意思で彼らを守っていた。
リリアは微笑んだ。
「もう完璧でいたくないの。」
モルガナは目を開けた。
「何?」
「学び続けたいの。」
彼女は両手で剣を握りしめた。
「昨日より間違いを減らしたい。」
彼女は一歩踏み出した。
「できる限り手伝いたい。」
もう一歩。
「そして、できない時は助けを求めたい。」
モルガナは笏を掲げた。
「黙れ!」
鎖が襲いかかった。
「フローラ!」
妖精は見守っていた。
彼女はすぐには行動を起こさなかった。
彼女は待った。
彼女は絶好のタイミングを見計らった。
「今よ!」
根が鎖を捕らえた。
「ミミ!」
魔女は素早くメモを確認した。
彼女は焦らなかった。
「結界!」
魔法がリリアを守った。
「ポコ!」
ゴーレムは命令を必要としなかった。
ゴーレムは自ら動いた。
モルガナの攻撃を防いだ。
「虹!」
竜は頭を上げた。
今度こそ。
リリアに言われなくても、彼女はできると確信していた。
「行け!」
リリアは走った。
モルガナは最後の鎖を投げつけた。
レインボーはそれを粉々に砕いた。
リリアは王冠にたどり着いた。
ローランドが何度も言っていたことを思い出した。
「剣は両手で持て。」
彼女はそうした。
ひび割れを見つめた。
目を閉じなかった。
即興で行動しなかった。
考えずに攻撃しなかった。
呼吸を整えた。
そして、斬りつけた。
ガシャーン!
黒の王冠が砕け散った。
一瞬…
何も起こらなかった。
すると、鎖が一つ消えた。
そしてまた一つ。
さらにまた一つ。
何千本もの鎖が。
ルマリア全土で、鎖が次々と切れ始めた。
兵士たちは武器を落とした。
農民たちは体の自由を取り戻した。
子供たちは両親のもとへ駆け寄った。
騎士たちは目を覚ました。
城の一室で、アルドレンとエレノアは、自分たちの腕から鎖が消えていくのを見ていた。
モルガナは膝をついた。
「まさか…」
彼女はリリアを見た。
そして他の者たちを見た。
「理解できないわ。」
リリアは荒い息を吐いていた。
「何が?」
「なぜ彼らはあなたに従うの?」
リリアは瞬きをした。
「彼らは私の言うことを聞かない。」
「では、なぜここにいるの?」
リリアは仲間たちを見た。
レインボーは微笑んだ。
フローラも微笑んだ。
ミミは杖を上げた。
ポコはただ言った。
「ポコ。」
リリアは理解した。
「彼らが来たかったからよ。」
モルガナは何も答えなかった。
彼女は王国を征服した。
軍隊を支配した。
何千もの人々をひれ伏させた。
しかし、彼はあの小さな王女が努力もせずに成し遂げたことを、決して成し遂げられなかった。
留まることを選んだ人々。
アルドレンとエレノアは娘を見つけると、駆け寄った。
「リリア!」
「ママ!」
エレノアは娘を抱きしめ、地面から持ち上げそうになった。
「ママ…空気…!」
アルドレンは涙を流しながら笑った。
それから彼は奇妙な集団を見た。
巨大な虹色のドラゴン。
小さな妖精。
メモだらけの魔法使い。
そして、少し足が曲がった小さなゴーレム。
リリアは微笑んだ。
「彼らは私の友達よ。」
レインボーは恥ずかしそうに頭を下げた。
「私は王国から追放されたの。」
フローラが手を上げた。
「私もよ。」
ミミは咳払いをした。
「厳密に言うと、私は去ったの。」
皆がポコを見た。
「ポコ。」
アルドレンは微笑んだ。
「では、ルマリアへようこそ。」
レインボーの目が大きく見開かれた。
フローラの目も。
ポコは頭を下げた。
ミミが尋ねた。
「そんな簡単に?」
リリアは笑い出した。
「彼は私の父なの。」
その夜、ルマリアは祝祭ムードに包まれた。
街は再び人々で溢れかえった。
家族が再会した。
鎖が解かれた。
そして祝祭の最中、皆は自分たちの冒険がまだ終わっていないことに気づいた。
フローラは一人の商人を見つけた。
男は種を持っていた。
「この種からは黄金の花が咲く。」
フローラの目が輝いた。
「本当?」
商人は微笑んだ。
「もちろん。」
フローラはコインを取り出そうとした。
彼女は立ち止まった。
種を見つめた。
男を見た。
「証明できますか?」
商人は汗をかき始めた。
レインボーは遠くから見ていた。
「リリア!」
「何?」
「フローラが質問したのよ!」
二人は喜び始めた。
「そんなに世間知らずじゃないわ!」フローラは叫んだ。
ミミが駆け寄ってきた。
「花火を打ち上げるわ!」
皆の顔色が悪くなった。
「待って!」リリアが叫んだ。
ミミはメモを取り出した。
「呪文はもう確認済みよ。」
「2回?」
「3回よ。」
彼女は杖を掲げた。
ルマリアの上空に無数の光が現れた。
赤。
青。
金。
緑。
今回は、何も偶然に爆発しなかった。
ミミは空を見上げた。
「うまくいったわ。」
彼女は誇らしげに微笑んだ。
ポコは家の再建を手伝っていた。
ローランドはいくつかの石を指さした。
「ポコ、あそこの石を持って行って。」
ポコは言われた通りにし始めた。
すると、小さな梁を持ち上げようとしている子供が目に入った。
彼は手を止めた。
彼は石を見た。
彼は子供を見た。
そして、まず子供を助けることにした。
ローランドはそれを見ていた。
彼は微笑んだ。
「いい判断だ。」
「ポコ。」
そして、レインボーは…
レインボーはルマリアの上空を飛んでいた。
何百人もの人々が下から彼女を見守っていた。
彼女の翼が震え始めた。
一瞬、隠れたくなった。
そして、彼女は息を吐いた。
「怖い。」
彼女は地平線を見上げた。
彼女は微笑んだ。
「何も起こらないわ。」
彼女は飛び続けた。
翌朝、リリアは訓練場に戻った。
ローランドは新しい訓練用ダミーを設置していた。
「準備はよろしいですか、殿下?」
リリアは木刀を手に取った。
「準備完了。」
仲間たちは見守っていた。
リリアは足元を見下ろした。
両手で剣を握りしめた。
彼女は息を吐いた。
「まずは考えろ。」
ローランドは微笑んだ。
「それから行動しろ。」
リリアは走り出した。
一瞬、つまずきそうになった。
彼女は体勢を立て直した。
彼女は走り続けた。
彼女は訓練用ダミーにたどり着いた。
彼女は斬りつけた。
ドスン!
訓練用ダミーは倒れた。
リリアは微動だにしなかった。
彼女は剣を見つめた。
彼女は人形を見つめた。
それからローランドを見た。
「私がやったの?」
船長は微笑んだ。
「彼がやったんだ。」
リリアの目がキラキラと輝き始めた。
「私がやったのよ!」
レインボーは歓声を上げた。
フローラは彼女の周りを飛び回った。
ミミは拍手をした。
ポコは人形の方へ歩いて行った。
彼は人形を手に取った。
パキッ!
彼は人形を真っ二つに折った。
皆が静まり返った。
「ポコ!」ミミは叫んだ。「彼はもう負けてるわ!」
ポコは破片を見つめた。
「ポコ。」
リリアは笑い始めた。
レインボーも笑った。
それからフローラも。
ミミは笑いをこらえようとした。
しかし、こらえきれなかった。
そして、再び笑い声が響き渡った。
ルマリアの中庭を埋め尽くすように。
リリアはまだ少し世間知らずだった。
レインボーはまだ怖がりだった。
ミミはまだぼんやりしていた。
フローラはまだ人を信じやすかった。
ポコはまだ自分で決断することを学んでいる最中だった。
彼女たちは誰一人として完璧ではなかった。
そして、完璧である必要もなかった。
レインボーは勇敢になるために、怖がりを克服する必要はなかった。
フローラは慎重になるために、優しさを捨てる必要はなかった。
ミミは過ちから学ぶために、ミミらしさを捨てる必要はなかった。
ポコは勇気を持つために、創造主が意図した通りの人物になる必要はなかった。
そしてリリアは、物語の完璧なヒロインになる必要はなかった。
彼女たちはただ、ありのままの自分を受け入れる必要があった…
それを成長を止める言い訳にしてはいけない。
欠点があるからといって、誰かが失敗者になるわけではない。
間違いを犯したからといって、失敗者になるわけでもない。
一度失敗したからといって、あるいは百回失敗したとしても、人はもう一度挑戦できないわけではない。
そして時として…
世間から弱すぎる、奇妙すぎる、あるいは不完全すぎると見なされる人々は…
ただ、自分を信じてくれる人を見つけるだけで、自分自身を信じられるようになるのだ。
リリアは仲間たちを見た。
彼女は再び剣を構えた。
「もう一度!」
ローランドはため息をついた。
「彼女は今勝ったばかりだ。」
「ヒロインは訓練を続けなければならない!」
「それは君たちが物語で読んだことだろう?」
リリアは微笑んだ。
「いいえ。」
彼女は構えを取った。
「それは自分で学んだことよ。」
そして彼女は再び始めた。
終わり
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
この物語についてのご感想をお聞かせいただけると嬉しいです。特に気に入ったシーン、登場人物、場面などがありましたら、ぜひ教えてください。
コメント、感想、評価は大歓迎です。今後の執筆活動の励みになります。
この短い物語にご参加いただき、ありがとうございました!




