初恋は実らないって言うしな。
大人になって三年。
毎日変わらず、大学に通っている。
最近ようやく大人が喋らない理由が分かってきた。
他人に声をかけてコミュニケーションを取るより、プロフィールやプロファイリングを取得して、相手の行動や、スケジュールを把握する方が早くて、正確なのだ。
隣に居ても、相手がどうしたいのか、何を考えているのか、すぐ分かる。
そうすると声をかける必要がないので、喋らなくなるし、会話自体が面倒な事になっていく。
だから普通の大人は喋らないし、それが大人のステータスみたいに思ってる人が多い。
未人が大人に恐れられる理由も分かってきた。
未人は個人情報が曖昧で、プロフィールと呼べる様なものもなく、プロファイリングや、行動予測がつきにくい。
しかも、若さの衝動というか、目の前にある物を急に掴んだり、危険な隙間に体の一部を突っ込んだりする。
大人なってこのシステムに慣れると、存在自体に恐怖を覚えるのだ。
このシステムに気づいたキッカケは、気になるあの子を何となく、ホントに何となく調べた時に、プロフィールからスケジュールから、全部出てきたのだ。知りたかった情報だけじゃなく、知りたくなかった情報も……。
彼女は、個性が強い人は好きじゃ無く、僕との相性は悪いので、パートナーには推奨されないんだって。
ショックだったのは、殆どの女性がそうだと言う事。
先生がどのぐらい変な大人なのかも分かってきた。
先生は特別すぎて、専用の法律、施設、概念があるらしい。
先生に対する扱いが特別すぎると思って、色々調べた結果、すぐ納得した。
未人が喋れる様になったのは、どうも先生のお陰で、先生が喋り始めるまで、未人はただ与えられる情報を頭に書き込まれるだけだったみたいだ。
大人になるまでインプットのみで、アウトプット用のパーツや器官は、必要と思われて無かった。
そんな状態で、どうやってAIさんに訴えたのかは謎だけど、先生はやり遂げた。
ただのバグとして取り除かれる危険もあったし、実際一度、隔離もされてる。
そんな凄い大人の先生にも、欠点はある。
「まぁ………気にすんな。初恋は実らないって言うしな。……………泣くなよ。…………世界の大人の半分は女だし、その内いい人見つかるって。………これでも飲んで忘れろ。」
「何だよ、その慰め方。誰でもいいって訳じゃ無いんだ。それに、他の女の人も無理っぽいじゃないか。何で先生だけモテモテなんだよ。僕より個性強いくせに。」
ここは先生の自宅。
先生の両隣には、いつも通り美人なAIさんが座って、お酌をしている。
「これモテてるって言うのか?完全にペット扱いな気もするけど。変わろうか?」
「リア充、爆発しろぉぉぉぉぉ!」
酔ってFワードを叫んだ僕は、その後、監視棟に連れて行かれた、らしい。




