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3025  作者: 甘霞
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いわゆる古典で言うところの、西暦っていうのがあってな。



僕らの先生は変わり者だ。


他の大人達と見た目は変わらないけど、僕たちとの距離が近い。

AIさん達にモテモテで、いつも近くに誰かいる。

ちょっと話は長い、というか無駄話が好き。

他の大人に隠れて、お酒なんか飲むらしい。


変わった先生だけど、僕たちは結構気に入ってる。話は長いけど。


そんな先生について、最近ウワサが回ってきた。


普通の大人は喋らない。うちの先生だけがお喋り。


ずっと先生しか知らないから、本当なのか気になる。今日の巡回に来たら聞いてみよ。


「おはようございます、せんせー。他のカプセルの子に聞いたんだけど、普通の大人って喋らないのー?」


先生は変な顔になった。


「……そうだな。まぁすぐわかる事だ。ちょっと驚くかもしれないが、教えといてやろう。」


先生がウンチク?とかレキシ?を語り出す時の決め台詞だ。ちなみに先生のウンチクで驚いた事はない。


いつものベンチを作って座ると、語り始めた。


「まずお前らが喋ってると思ってるのは、念波と言って、声を出してる訳じゃない。」


「いくら何でもそこから?」


「そう、そこからだ。お前ら未人は大人じゃない。昔は、…いや、大昔は、大人以下の未人は未成年と言われて、大事に大事にされたそうだ。」


「それじゃまるで、僕らが大事にされてないみたいじゃん。」


「まぁ聞け。プライバシーだとか、少年法だとか、義務教育だとか。未成年を守る為の仕組みは数多くあった。逆に反抗したくなるぐらいにな。」


「ふーん。よく分かんないけど、それと大人が喋らないのって何の関係が?」


「まぁもうちょっと聞け。すぐだ。それがピークに達したのが、大体五百年前、いわゆる古典で言うところの、西暦っていうのがあってな。2525年だ。にこにこ未成年って覚えるんだ。」


うーん。話が長い。大体知ってるし。


「2525年に何があったかは流石に知ってるか。そう、AIが生まれたんだ。」


「AIは人間が作ったとかいう、おかしな記録もあるね。」


「まぁそうだわな。そういう思想も大事だ。全員が同じだと、わざわざ個性を作る意味がない。…おっとまた話が長くなる。とりあえずそう、AIが生まれて、人類と呼ばれていた種は押し上げられる様に、あっという間に変質していったんだ。」


「それで大人が喋らなくなった?」


「端的に言えばそう。必要がなくなったとか、進化したとか、色んな記録があるが、まぁ一番の原因は面倒くさいんだ。他人と関わる事が。」


「でも先生は喋るし、挨拶してくれるじゃん。」


「まぁ俺は…趣味というか、こういうコミュニケーションが好きなんだ………。と、言う事にしといてくれ。ぶっちゃけると、回線絞めるのが下手でな。いまだにAIさん達から揶揄われる始末だ。開き直ってるともいう。」


「えぇー!それでいつも、そんなにベタベタされてるんだ。」


先生はいつも誰かしら、AIさんに世話されてる。まさに今も、全然減ってない電力を充電しようと、美人なAIさんが背中のポートを手でスリスリしてる。


「ちょっと、流石に未人の生徒の前だと恥ずかしいですよ。……いや、そんな顔しないでくださいよ。こっちが悪いみたいになるじゃないですか。……もう万歳なんてしませんよ。そんな昔の事を言うのはやめてください。………いや、まぁそうかもですけど。ちょっと!もういっぱいですって!」


先生は変わってるけど、ここから見える範囲で一番面白い。


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