第05話 お風呂大作戦 / 体育の先生
(今…あっちゃんは脱衣所兼風呂場のル〜ムにいる! つまり! つまりはっ!
あっちゃんのたくましいあのお体が見放題〜! ふふ…えへへ…えへ!)
現実での覗き見はやめよう! 覗き見は軽犯罪法1条23号で、該当すると
「拘留(1日以上30日未満)又は科料(1000円以上1万円未満)に処せられる」
からくれぐれもしない様に! 天の声とのお約束だよ!
(あっちゃん浴室に入ったら魔法を使って覗こう! よしっ!)
何度も言いますが、覗き見は軽犯罪でも犯罪です!
(ふふ…ふふ…! ふふふのふ…! よし今だ…魔法! インビジブル〜!)
浴室のドアが閉まった音が聞こえたスズは、すぐさま魔法を使ってバレない
よう慎重に移動する
(いよしっ! これであとは脱衣所兼風呂場のルームの中に行くだけで…)
スズが再度歩き始めたその時、インターホンが鳴った。スズは少し不機嫌な
顔をしつつも魔法を解いて玄関へ行き、ドアを開けた
ドアを開けるとそこにいたのはじんちゃんこと関才仁だった。
「ようスズ! 暇やから遊びに来たで〜」
「あぁじんちゃん、ようこそ…でも今はちょっとぉ……ね」
「うん?なんやスズ、スズは暇やないんか」
「そ、そうだね!うん!ワタシ全然暇ジャナイナ〜!」
「嘘つくの下手すぎるやろ」
「なんか隠してんなぁ、何や!何を隠してるんや!」
「な、なんにもないよぉ〜!」
「嘘や!絶対何か隠してるぅ!さっきの反応わざとらしいねん!」
玄関で少々取っ組み合いをしていると、通路の奥からドアが開く音が
聞こえた。スズはその音が聞こえていて。内心、心臓がバクバクし始めた
(うわぁ〜やばいやばい!こんな年頃のJ Kの家に年頃の
D Kがいるなんてぇ!しかも風呂上がりなんて
もっとやばい!頼むあっちゃん!じんちゃんの前に姿を見せないでぇー!)
ガチャリ
「ふぅ…ん?あれ…?関才仁か、何かスズに用か?」
「邪魔してすまん…俺は水を取りに来ただけだから気になさらず」
「…………」
「…………」
二人の間に沈黙が流れる。時が止まったかのように数秒ほど二人はその場
から動かず、言葉も発さなかった
「あ…あぁぁ…」
「——なぁんやいまのぉ?!」
「おいスズ、どういうことやっ?! お前ついに男を家に! それに相手は
幼馴染とは!」
「ちちち違うよ〜! 誤解だよ誤解〜!」
「誤解〜? ——な訳あるかいっ!今のは誰がどう見たって確定やろ」
「あっちゃんはウチに居候してるのっ! だからお風呂入ってたのっ!」
「居候〜?ほんとか〜?」
「ほんとだよぉ!」
仁はかなり疑っていたが、スズの必死の説得で無事、疑いを張らせたの
だった。その後仁特に何もすることなく家に帰っていった
(暇だったからきたんじゃなかったっけ?)
こうして、敦司の顔が大きくなったり、関才仁との再会だったり、スズの
お風呂大作戦だったりと色々と濃く慌ただしい一日だった。そう思った
スズは眠りにつこうとしたのだが…
(……眠れない…なぜ…?)
(んーわからない〜!)
(まぁとりあえず目瞑ってたら寝てるでしょ!)
そう思ったスズは再度目を瞑った。その後スズが眠りに落ちたのは目を
瞑った2時間後だった
•••翌日•••
翌朝、今日もスズは敦司と、仁と共に学校へ登校していく
「今日って何の授業があったっけ?」
「今日は確か体育があったぞ」
「えっ体育?! 体操着忘れちゃったよぉ…」
体操着を忘れたことに気づいたスズは慌てふためき、敦司の肩に手を
乗せ、顔で必死にやばさを訴えてくる。そしてスズの顔が徐々に青く
なっていくことに気づいた敦司は慌ててスズにフォローを入れる
「大丈夫大丈夫、今日は実技じゃなく座学なはずだからさ」
「——え? ……本当に?」
「敦司の言ってることは間違ってないぞ」
「そ、そう? なら取りに戻らなくてもいいか」
スズはすごく安心し、再びいつものにこやかな顔に戻った。正直
敦司はあそこまでスズの顔面蒼白は見たことがなかった様子で、
内心かなり驚いていた。その後いつものように教室に入って席に
着くのだった
「さてと、そういえば体育の先生ってどんな人だっけ?なんか印象が
とっても強かった気がするけど…?」
「あぁ〜たしか体育先生は4人いるけど、俺たちのクラスを受け持って
いる先生は……っあ![五里 言田 (ごり ごんた)]先生だ!」
「五里言田?……っあぁ〜! 確かにいたわそんな先生、あれでしょ?!
見た目がめっちゃゴリラに見てるっていうあの! 」
「そうそう! 見た目がめっちゃゴリラに見てるっていうその!」
「握力86kgもあるあの五里言田先生かぁ?」
「そうそうっ!」
二人同時にハモった返事。だが、そんな三人の近くにはヤツが
いたのだった
ドン、ドン、ドン
そう!歩くだけでドンドンと音を出してしまうこの学校で最も
ゴリラに近い男、五里言田だったぁ!
(ん? どこからか俺のことでなにか話してる声が聞こえた気が…?)
ドン、ドン、ドン
(気のせいか?1-3らへんから声が聞こえた気が…?)
ドンドンと音を立てながら段々と近づくゴリラ、だが、彼が
教室を覗くと教室は何も不思議なことはなくただただお喋りを
していた。ゴリラのような話題は何一つ出ていなかったのだ
(おかしいな…?たしかに1-3から聞こえたはず…?)
五里言田の聴力と推理力は素晴らしいが…一つ欠点がある。
それは足音だ
ドン、ドン、ドン
五里言田はその足音が大きいせいで大抵の生徒は彼が近くに来た
ということがわかってしまう。そのため一応は生活指導の先生では
あるものの、規則を破っている生徒を見つけた数は毎回最下位と
いう。能力に反して致命的な欠点があったスズ達はその足音が
聞こえたため会話をすぐさま辞めて、難を乗り切ったのだった
(なんか毎回俺が通る時だけ教室が少し静かになるような気が…?
気のせいか? うん、気のせいだ)
(——多分…)




