第04話 居候のお隣さん
「え、えぇ?!」
まさかのじんちゃんこと関才仁は、なんとスズの隣の家…位置関係はスズの
両隣の家が敦司家の家と仁の家ということになっている。なんていうことだ!
「じんちゃん、お隣さんなの?!」
「そうやで」
スズがびっくりしていると,突然敦司が口を開き仁に問いかけた
「——てか、さっきから気になってたんだが、関西弁無理してないか?」
「ギクッ…」
仁は無理してないかと言う言葉を聞くと固まってしまい、あからさまに図星
だったと言うことがわかる
「別に無理してるわけじゃないんや、ただの癖や」
「癖?」
「——そうや……俺はな…」
仁は少し間をおいた後に衝撃的な理由を話した。それを聞いたスズと敦司は
驚き目が点になった。それほど衝撃的で予想もできない理由だったからだ
「まさかの…理由だったな」
「そ、そうだね…まさかの理由だったね」
「やろ? まぁでも、気にするほどの事でもないやろ?」
「まぁそうだな」
スズと敦司は仁の関西弁の理由がまだ頭の中で引きずっているが、仁が
気にするほどでもないと言われ、たしかに気にする事ではないと思い三人は
夕暮れ時、全員がご近所さんという関係。通学路、行きも帰りも同じ道で
毎日仲良く過ごせれたらいいなと思っているスズであった
•••翌朝•••
ピンポーン
「はいは〜い」
(こんな朝早くに誰だろう?)
「はい?…….ってええ!?」
「あぁ…あはようスズ…早速で悪いんだけどしばらくの間、スズの家に
居候させてほしいんだ」
朝早くからの突然の来訪そして家に居候させて欲しいと言う願い。
朝からこんなイベントは正直カロリーが高い!そんなイベントを
まのあたりにしたスズは戸惑いを隠せず、小さく小声で尋ねた
「えぇ…どうして…」
「実は……」
「今日の早朝にお父さんと喧嘩しちゃって…それで追い出されちゃったんだ」
「えぇ…!? 喧嘩ってどうしてそんなことが?」
「喧嘩の原因は…」
「原因は…?」
少し重々しい雰囲気の中、口を開き理由を話してくれた淳司
「お父さんは、俺が大事にしていたこち亀全巻をお母さんに貸しちゃったんだ!
俺の許可もなくっ! 俺は…俺は…! まだ全部読み終わってないのにぃぃ!!」
(怒りで少しの間その場で足踏みをしたりと少しばかり暴れた淳司、少し経つと
急に冷静になり、スズに再度頼み込んだ)
「あの〜お願いがあるのですが、少しの間でいいので、居候をさせては
もらえないでしょうか?」
(あっちゃんどうしたぁ?! 急にめっちゃ冷静になるじゃん!)
「ああ…え…えぇ〜っとぉ……」
(お父さんと仲直りしなよぉ…なんでここまできちゃったんだよ…!)
すると敦司は手に持っていた袋を床に置き、すぐさま膝を地につけて頭を
下げるあの体制をした
「頼むぅぅぅ! この通りだぁぁぁ!!」
敦司は渾身の土下座をかまし、その様子にスズは若干引いていた
(そこまでするのぉ…?)
「あっ、あっちゃん…とりあえず顔上げてぇ〜!」
「はいっ!」
敦司はすぐに顔をあげスズへ期待の眼差しを向け続けた。スズは口に
手を当てて少し恥ずかしがりながら
「まぁ…居候は構わないけど……」
「ほんとか?! いいのか!」
敦司はスズの手を握り、喜びを露わにした
「で、でも! いくつか条件はあるよ!」
「まぁさすがにね。それで、条件はなんだ?」
「その前に〜、あっちゃんて家事とかできる…? かな…?」
「え? ん〜まぁできるぞ、それが何か——」
「本当!?」
敦司が家事ができると言った途端に、スズの目がとても輝き始めた
「じゃあじゃあ! まず一つ目っ! [家事全般]を頼んます〜」
(——はい?)
「頼んます〜っじゃねぇーんだわ! 俺に全部家事やらせんのかよ!」
「だってぇ〜、私家事全然できないし〜」
「できないってわけじゃないだろ、現に玄関から見た感じだと綺麗だぞ」
「——まぁ…玄関はね…」
ボソッとつぶやくスズ。玄関から正面にはおそらくリビングに繋がるで
あろうドアがあり、廊下はまるで新築物件のような綺麗さがあった
(もしかするとドアを開けたら悲惨っていう感じか?)
「ちょっと失礼するぞ」
「え? ああちょっとぉ!」
敦司は靴を脱ぎ,足速にドアへと向かった。そしてドアノブに手を
かけた敦司はガチャりとドアノブを捻って開けようとした
(よし,開けるぞ…)
ガチャリとドアをオープンすると、そこにはスズの家のリビングが
あった。落ち着いたカーペットに楕円状のよくあるような
木のテーブル、なんというか、すごく落ち着く内装だった
(※by 敦司の心の中)
(ん?普通?ゴミ袋とか一切ない…な〜んだ、普通にできてるじゃん)
「やっぱり普通にできてるじゃん。家事できないってわけじゃないん
じゃないの?」
「あ、あはは〜、まぁ他のやつができないんだよね〜」
「他のやつって,例えばなんだ?」
「えっとねぇ……お、お風呂掃除とか!」
「風呂掃除か…」
実は敦司がドアを開ける瞬間に、スズは後ろで魔法を使っていたの
だった
(透明になれぇー! 魔法! インビジブル〜!)
魔法で押し入れの中やリビングにあったゴミ袋の姿を消していた
それを敦司は[整理整頓ができてる!][なんだできんじゃん!]
などと勘違いをしてしまったのだ
(危ないとこだった…セーフ)
「この洗い物はなんだ?」
「——うわぁぁあぁぁあ!?」
スズが安堵していた時、キッチンの方から敦司の言葉が聞こえた、
少し小さな声かつ独り言のようだったが、スズの耳にはとても大きく
聞こえ、その言葉はスズの心にダメージを負わせた
「ぐ、ぐは……」
「スズ…もしかして…」
「ちちち違うよぉ!最近ちょっと忙しかったから!」
「その焦り様…確定だな」
「はぁうわぁぁぅ…」
スズは敦司から現行犯でそのまま有罪判決を受け、
即刻洗い物をする様命じられた
「ぐぅぅ…ぐすん…」
「まったくもう…なんでしなかったんだ?忙しいは違うとしてー」
「本当に忙しいかもしれないじゃん!」
「スズに限ってそんなことはないっ!」
「そんなことあるかもしれないじゃんっ!」
スズは図星なのが悔しくて、敦司に言い返すが、今のスズは何を
言っても敦司には勝てなかった
「それで、ほんとの理由は?」
「ぐ……め、めんどくさかったから…です」
「やっぱりか」
(っえ、やっぱりか?!)
「スズのことだからそんなことかな〜とは思ってたんだ。でも
整理整頓はちゃんとしてる様でそこは安心したよ」
「あぁうん、ありがと…!」
あれから少し時間が経ち、現在一階にいるのは蛇口から出た水道水を
コップに注いで飲んでいるスズ一人だけであった
(暇だな〜、テレビでも見ようかな?)
洗い物が終わって、スズは敦司に寝泊まりする部屋へと案内した。
その後スズは敦司に荷解きが終わるまでリビングで待っててほしいと
言われた。スズは当然手伝おうとしたが、敦司になぜか猛反対されて
今に至る
(あっちゃん、なんであんなに断ったんだろう? まさか、何か
やましいものでも?!)
(——へへっ…!)
その後、無事荷解きを終えた敦司はリビングへ戻った敦司は、スズに
風呂に入ってもいいかと尋ねた、スズはすぐに了承し、敦司は着替えと
バスタオルを持ち脱衣所兼風呂場があるよくあるルームへと向かった
(——えへへ…!)




