第03話 もう一人のお隣さん
•••翌日•••
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
「はいはーい」
扉を開けると、そこにはまた淳司がいた。
「おはようスズ、もしよければなんだけどさ…
——今日…一緒に学校行かない? せっかくお隣だから…さ」
スズは突然の朝の淳司からのお誘いにびっくり、気持ちが舞い上がって
しまったせいで、その場で踊り狂ってしまった。※頭の中で
「あ、ああ…おは…お…おっ…おは! おは…!」
(なんか、様子が…?)
「ス、スズ?」
「——つぅ〜!!」
(しまったー! 動揺してうまく言葉に出さなかった! なんという失態…)
「あ、ごっごめん! おはようあっちゃん…//」
「あぁおはようスズ」
「なんだか久しぶりだな、この感じ」
「う、うん…そうだね…」
朝から卑しい空気をつくった二人…あぁ〜卑しっ!っといかんいかん!
状況解説役兼天の声的なポジションの私がこんな調子じゃ
読者のメンツも潰れてしまう…頑張らねば!
その後二人は登校中…通学路にて、スズと敦司の後ろに一つの人影が
あった。スズは気づいていないが敦司だけは気づいていた
(なんか後ろにいるな、まさかスズを狙うストーカーか? だとしたら俺が
全力で守らないと…)
「あ…あっちゃん!」
スズは立ち止まり、モジモジとしていた
「だいぶ遅れちゃったけど、私…ついに魔法の修行終わったんだよ!」
「おぉそうなのか! おめでとう!」
(実は知ってはいたんだけどな…)
「そ…それでさ、今あっちゃんに魔法を見せたいなって…思ったりして」
「え? いいのか?! 見たい見たい! 是非とも見せて欲しい」
「え? ——じゃ、じゃあちょっとだけ…」
スズは敦司が思ったよりも魔法に興味津々なことに若干驚きつつも、
手を広げ前に出していかにも魔法を出すような構えで一つの言葉を言った
「魔法! ビックラージ〜!」
スズはそう唱えると手が突然と光り輝き…その輝きで敦司は目を閉じて
しまう。だが突然どこかから蝶が飛んできた。スズは見たことのない色の
蝶だったからか、意識を逸らしてしまった。そのあと光が収まり敦司は
目を開けると、スズはなぜか笑いを堪えている表情だった
「スズ、何の魔法をやったんだ?」
「っぷ! あはははは!」
(笑っただと?!)
「お、おいスズ! 何が起こったんだ! 急に笑い始めてどうした?!」
「あははは! だってあっちゃんの頭が…っぷ!」
「あ、頭? 頭がどうしたっていうんだ……」
敦司はカバンに入れていた手持ちサイズの鏡を取り出し、自分の顔に見る
すると敦司の頭が、というより顔全体がとても大きくなってしまったのだ
(っこれ! 漫画とかでよくある展開じゃねぇか!)
「っておいおいおい! これじゃあ学校行けねぇぞ!
どうしたらいいんだよ!」
「あはははは!だいじょぶだいじょぶ〜! 数分したら元に戻るから、
学校に着くまでには元に戻ってるって〜ぐふっ! あはははは!」
スズは日頃の敦司とのギャップの面白さに腹を抱えて笑った。他人事な
スズの様子に敦司は内心少しイラッとしていた
「他人事だと思いやがって」
「ごめんねあっちゃん、蝶がいて意識晒しちゃった」
その後敦司は登校中とても恥ずかしい思いをしまくった。それをずっと
見ているスズはずっと笑っていた学校に着くと敦司の顔は元の大きさに
戻っており、なんとか学校中に自分の恥ずかしい姿を知られると言う
最悪のイベントになることは免れた敦司だった
「ふぅ…本当によかったわ」
「ふふっ…まだもう少しあのままでもよかったのにな〜」
「あのなぁ! あんな魔法二度と使うなよ! めっちゃ恥ずかしい思いしたわ」
「えぇ〜つまんないの〜」
「やるならもっとマシなのあっただろ…」
「………」
敦司に少しばかり叱られてしょんぼりとしてしまったスズ。だがそんな
スズを敦司は見逃さない。すぐさまフォローを入れるのは、できる男の
やり方である
「——まぁでも…すごい魔法だったよ。あの頃とは見違えたな、スズ」
「………!」
スズは敦司に褒められて、今日の学校中常に機嫌がよかった。
仲良くなった2人のクラスメイトからもなんかすごいニコニコだね、
と言われるほどわかりやすく機嫌が良かったらしい。
ドンダケウレシカッタンダヨ
•••下校中•••
「ふん ふふん ふふ〜ん!」
(魔法が上手くなったことがそんなに嬉しかったのか? ずっとニコニコ
してる…なんか頭の周りに花のマークとかも浮いて見える…
——って花のマーク?!)
そんな中で、二人の後ろにまたもや一つの人影が見える。今回も敦司は
気づいている。
(またついてきている…やっぱりストーカー説が濃厚だな、
となると一回走ってみるか)
「スズ、走るぞ」
「え? えぇ急に何ぃ?」
「いいから行くぞ!」
「ええぇ、ちょっとぉ〜?」
二人は走りだし、後ろにいるストーカー(仮)から逃げようとする。
だがしかし、ストーカー(仮)はなんと電柱から姿を表して堂々と
追いかけるようになった
(くそっなんであいつあんな足速えーんだよ! もう追いつかれるぞ?!)
「きゃっ!」
「……スズっ!」
ストーカー(ガチ)に追いつかれた二人、スズはストーカー(ガチ)に
背中を押されて倒れてしまう。が敦司が間一髪のところで下敷きになって
スズは怪我をせずにことなきを終えた
「きゃっ!」
「ぐほっえ!」
「痛ててて…あぁ!! あっちゃん大丈夫?!」
倒れるスズを庇おうと敦司はスズの下敷きになった。スズの膝が敦司の
首元にクリーンヒットし、敦司は
驚きと痛みで変な声が出てしまった。
「痛てて…まぁなんとか…」
「おいそこのお前! お前は誰だ?! なんで朝も今も後をつけていたんだ!」
「えっ?! 朝もつけられてたのぉ?」
するとストーカー(ガチ)は身に纏っていたフードを外し、素顔を晒した
「……っえ?」
「えぇぇぇ?! じんちゃん?!」
(じん? いや誰ぇ?!)
「じ、じん? スズ、知り合いなのか?」
「う、うん…13歳の頃くらいから一緒に修行していた修行仲間なんだ」
「ようスズ! 久しいな!」
(まさかの関西弁キャラ?! 見た目じゃまったく想像つかなかった…)
「いや〜スズが修行終わって東京行くー言うた時はびっくりしたわ〜
でもな? 俺もスズが東京へ行った後親の仕事都合で俺も東京へ行く
ことになったんや! そしたら高校入るタイミングや〜言うて
普遍高校っちゅう古くさ〜い学校に入学したのよ、でさでさそれでさ〜!」
「もういい! 長い! やめだやめ!」
「なんやお前、急にキレよって、カルシウム足りてへんやろ」
「キレてねぇーし! あと毎日煮干し食ってるわぁ!」
(煮干し毎日食うやつ存在したんか…)
「そもそも誰なお前は!」
「俺か? 俺はな〜[関西 仁]や! 覚えとき〜」
その時!敦司の体に衝撃が走った!
(関才 仁? 関西弁……関西…人……あ! そういうことぉ?!
——どゆことぉ…?)
「そういや、なんで後をつけてたんだ?」
「ああ〜そ、それはな、」
息をのむ二人
「つ、通学路が一緒やったんやけど…スズが知らん男とイチャイチャ
しながら歩いてからつい…」
「はぁ〜?!!」
仁からはまさかの回答がでてきた
「つつつ、付き合ってないよぉ〜!」
「そそそ、そうだ! そうだぞぉ!」
(二人とも息ぴったりやん)
「てか俺、いつ付き合ってるなんて言ったか?」
「——っは!!」
「そそそ、それで? 通学路が一緒ってじんちゃんどこに住んでるの?」
「あぁ、俺はスズのお隣さんやで?」
(はぐらかしたなぁ〜? これは絶対っなんかやつや!)




