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第02話 お隣さん

毎週月曜日の06時00分に投稿します。

とりあえずできている10話まで投稿します。



「こんにちは、僕の名前は[青木 青木(あおき せいぎ)]と言います。

 好きなことはゲームと、ビリヤードをやってる父を後ろで眺めることです」

(後ろから眺める?! 珍しい…な)

「俺はビリヤード未経験です。」

(しかもずっと見てるだけぇ?!)

「1年間よろしくお願いします」

 クラス中に拍手の音が響き渡る。

(最初から個性が強い人くねぇ? これ後の人つらいパターンでしょ…)

 スズは少しニヤニヤし、心の中で野次(やじ)を飛ばしていた

 青木の自己紹介が終わり、次に石川(いしかわ)井上(いのうえ)

 右近(うこん)恵達(えづち)など色々な名前、色々な自己紹介を

 聞いていき、とうとう次はスズが自己紹介をする番になった

 クラス中に拍手の音が響き渡る。

「それでは次、星野スズさん、自己紹介をお願いします」

「はっはい!」

 少し強めに椅子を後ろにひいて立ち上がったのだが、大勢の人の前で

 話した経験がない+緊張+過去の記憶が絡み、スズはうまく言葉に

 詰まってしまった

「あ…う…うぅ…」

(やばいやばい! みんなこっち見てるしぃ……あうぅぅ…こんな事なら

 コミュ力の修行をすればよがっだぁ゛〜!!)

 昔のことを思い出してしまい…内心軽いパニック状態になってしまった

 スズだがその時に手をあげて喋り出した隣の席の人、だが喋り始めた

 隣の席の男子生徒。だがスズにとって、その生徒にはなんだか懐かしく

 初対面な気がしなかった

「すみません。こいつ昔から人前で話すのが苦手なんですよ、なので俺が

 代わりにこいつのこと話します」

 そう言って隣の席の人が男子生徒立ち上がった

「あなたは…?」

 そう先生が聞くと、その男子生徒は落ち着いた様子で話し始めた

「俺はこの後自己紹介をしますが、名前は[折本 敦司(おりもと あつし)

 と言います。そしてこいつの名前は[星野 スズ(ほしの   )]です。

 1年間よろしくお願いします」

 クラス内は静まり返り、かなり不穏な空気が漂っているが

「お、おう! よろしくな!」

「な〜んだ! 人前で話すのが苦手なだけか! びっくりしたぜ!」

「あはははは!」

 クラス中に拍手の音が響き渡る。

 クラス内が一気に和やかなムードになった、スズはお礼を言おうと

 思い横を向いた。スズの眼にうつった隣の人の横顔は、あの時3年前に

 引っ越したっきり会えていなかったあの男の子、折本敦司だった

(あ……あっちゃん…本当にあっちゃんだ…私の事…覚えててくれて——)

(そっか、また助けてくれたんだね…)

「嬉しい…」

 とても小さな声でそういったスズ…その言葉は誰にも聞こえるはずも

 なく自己紹介はスズの次の人になった。スズはしばらく余韻に浸って

 いた。その後、全員の自己紹介が終わると、美空先生は年間行事予定表

 親宛の紙などなど、色々と生徒たちに配り終え、入学式の日の行事は

 全て終わった

「はい、では皆さん本日はこれで終わります! 明日の1日休みを設けまして

 明後日から授業が始まりますので、各自学校に遅れずにきちんと登校して

 くださいね〜」

「はーい」

「では、みなさんさようなら〜」

 そう言ってなぜなのか教室を足速に後にした美空先生。その後スズは、

 敦司に話しかけようとするが、ここでもまたコミュ障が発動し、うまく

 話しかけることができずにいた。すると敦司の方から話しかけてくれた

「よ、よう…スズ…久しぶりだね」

 なんだがぎこちない話し方だがスズにとってはそんな言葉でもすごく

 嬉しかった

(あっちゃんが話しかけてくれた…嬉しい!)

「あ、うん。こっちこそ久しぶり!…だね」

 3年ぶりだからなのか、何を話したらいいのかわからずに両者はなんとも

 言えない空気感の中ただただ時間だけが過ぎていった

 その後二人は校門で少し話して別々の方向に帰っていった。最後に校門で

 話した時はお互い緊張はほぐれていた。スズは帰り道ニコニコとして

 帰って行った




 •••その日の夜•••


「——どうしよ……」

(あっちゃん、ちっちゃい時もかっこよかったけど、今はもっとかっこよく

 なってるよぉ〜! きゃぁ〜!///)

 スズはベッドの上で敦司のことを思い返して勝手に照れていたのであった

「きゃぁ〜! あっちゃ〜ん///」

 枕に顔を埋め、照れを無くそうとしていたところにインターホンが鳴った

 ピンポーン

「んん? 宅配便? 私頼んだっけなぁ〜?」

 疑問を持ちながらも、玄関のドアを開けると、なんとそこには敦司の姿が

 あった

「お隣に引っ越してきた折本です。今後ともよ——」

「えっ?!」

「——って? えぇ?!」

「え? え? もしかしてあっちゃんって…」

「スズってもしかして…」

「お隣りなのぉお?!」

 二人とも驚きのあまり固まってしまい、淳司は手に持っていた粗品を

 落としてしまった。しかし、落ちた粗品は箱に入っていたおかげで中身は

 飛び出なかった。不幸中の幸いと言うべきだろう。その後、時間が経ち

 正気に戻った淳司はスズに粗品を手渡して帰って行った。スズは玄関の

 扉を閉めると、敦司から贈り物をもらったと気持ちが舞い上がり、

 そのままリビングへ向かった

「ふんふふ〜ん♪ あっちゃんからの贈り物〜♪ 何かな何かな〜?」

 箱の開けると、中身は想像通り中身が溢れていた。原型はまだわかる程で

 おそらくはシュークリームだったんだろう

「あ…が…あがが……」

(うん…! まぁ、さっき普通に箱落としてたしなぁ…)

「ま、まぁ崩れてても食べれないわけじゃないし! あとで食べよう…

 そうしよう…」

 そう言ってスズは冷蔵庫の中にシュークリーム入りの箱を置いて閉めた。

 だがスズはその日のうちにシュークリームを食べることはなかった


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