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第20話 戦いの後は


 セイラも魔法の詠唱をし、無数の魔法陣が現れた。 二人の魔法がぶつかり合うと、爆発、爆音、飛び散った魔法の残骸、フィールドの空中は一瞬で弾幕まみれになり、観客の目も二人の戦いに再度一目置くようになった。


「おっ! また戦いだしたぞ!」

「あんな魔法をたくさん打てるなんて、すごい…」


 戦いも激化し終盤になりつつある。 フィールドのさまざまな場所で戦いが起こり、至る所で爆発が起こり爆発跡ができている。

 一番激しい戦いが起こっているのは地上ではなく空中だ。 二人は国内でも有数の魔法使いだ。 セイラに至っては国内でも5本の指に入るほどの実力者だ。 そんな彼らが戦えばそりゃ隣の芝は青く見えるほど戦場は変わってしまう。空に芝はないが…


 セイラが放った魔法は何かに触れると即座に爆発し、周囲に閃光を撒き散らす。目眩しにも使える便利な攻撃魔法のようだ。 それに対しバーニアの魔法は、闇の力を秘めた太ーい光線だ。 ノートンの説明によるとあれは防御魔法がほとんど意味をなさない魔法らしく。 わかりやすく言えばバリアブレイカーのような魔法だ。

 両者一歩も譲らない、四方から弾幕やら光線やらが出現し、それをかき消したり受け流したり、周りとは圧倒的にそこだけ戦いの次元が違った。


炎の竜巻を作る魔法(グラストロア)!」

氷の竜巻を作る魔法(クラルストロア)!」


 バーニアの炎を纏った竜巻はセイラの氷の竜巻に包まれ、炎はどんどん消えていき、竜巻の風圧もセイラの竜巻に勝てずお互いがぶつかり合った時に消滅した。 氷の竜巻は氷の(つぶて)が竜巻に纏わりつき、当たれば重傷のとても強力な魔法だ。 バーニアは巨大な氷の竜巻から逃れることは難しいため、仕方なく防御魔法を展開した。


「おいおい、なんだよこれ…」

「やべぇぞ、巻き込まれる!」

「「うわぁぁあ!!」」


 巨大な竜巻はどんどん肥大化していき、やがて地上に竜巻が降り立った。 地上で戦っていた他の選手が次々と巻き込まれ、セイラの強力な魔法は並大抵の防御結界じゃ歯が立たず、すぐに破られてしまう。 そのためま竜巻に巻き込まれていない人たちは竜巻から逃れるため全力で竜巻から離れていった。 その間それまで戦っていた人なんか気にも留めずに、ただひたすらと自分の命最優先に。


「やばいやばい!」

「この魔法は本気で死ねるぞっ!」


 近くにあった岩陰に隠れるが、巨大な竜巻は大きな岩も軽々と持ち上げ、竜巻の一部にされてしまう。 その間、セイラはバーニアの防御結界を壊すため、どんどんと竜巻を肥大化させ、威力を上げていた。


「やばいっす〜! こんなので死んじゃったら俺っちの野望がぁあ〜——」


 一人、また一人竜巻に巻き込まれる人が増えていく、セイラが魔法を解除して竜巻が消えた時、フィールドは細かな岩が空から降り注ぎ、傷だらけの選手たちが何人も倒れている。 全員竜巻に巻き込まれ、防御魔法を張っていたが魔力も切れて、それによって竜巻の攻撃が当たるようになって傷ついてしまったのだ。 この一連の出来事により、参加者の数がわずか6人まで減ってしまった。


「すごいですね、今の魔法…」

「私が扱える魔法の中でもかなり強力なものなのですがね…それを最も簡単に…」

「これでも私はテロス王国の中でも5本の指に入る実力者だからな、そう簡単に負けるほど弱くはない」

「そろそろ私の魔力は尽きます……ここらで幕引きをしましょう。 あなたを超えることは叶わないでしょうけど……あなたの…あなたに私の、魔法が届けば……それでいいでしょう…」


 息が切れつつ話すバーニア、セイラはバーニアの最後の攻撃が来ると神経を尖らせ待ち構えた。指を前に出し、指先が光り出した。


「フッ…」

「——私の……」


 攻撃が来ると思っていたが、一向に来ず、光は徐々に消えていった。光が完全に消えると手を下ろし、無言のまま地上に落下していった。 魔力切れなのか? そう思ったセイラ。 そろそろ、と言った先ほどの言葉はブラフだったのか。 だが、わざわざ嘘をつく必要もないのになぜ言ったのか。

「終わったのか…」


 壮絶な戦闘が終わり、地上の上は静かになった。その瞬間観客からは拍手喝采が巻き起こり、この交流戦が終わったのだと知る。 セイラは驚いていて、地上ではスズとハンズがセイラに向けて拍手をしていた。

「たった一つに集中するだけで、ここまで周りの状況が分からなくなるものなのか…」


 しばらくして授与式が始まった。 授与式には上位3位が表彰される。 だが2位であるイースベルの表彰台には2人しかいなかった。 内の1人が、急用ができてすでにこの会場の外に行ってしまったようだった。


 観客では絶えず拍手喝采、大歓声があり、敦司も周りと同じく拍手でこの結果を祝福していた。

「いや〜今年も凄かったな〜」

「はい! いい経験ができました」

「そういや今年の勝者はデロスか、、ってことは君! 賭けに成功してるじゃないか!?」


 その時敦司も目の前が光ってアタッシュケースが出てきた。 その後自由落下により床に落ちたアタッシュケース、いきなり出てきたもんだから困惑していた敦司の様子をみたノートンは、アタッシュケースを持ち上げ敦司の方に向けて開けた。 アタッシュケース中身はものすごい量の札だった。 全て雷札の札束になっていて、ノートンはその中から何個か札束を引き抜いた。

「いやはや君の千里眼には脱帽だよ〜、君の配当は8割でいいかい?」

「え…? あ…はい…」

「いや〜助かったよ〜! 2割でも十分周りに自慢できる額だからな!」

「じゃあまたな! また会う時があれば君が何にお金を使ったか詳しく聞かせておくれよ!」


 そういってノートンは一足先に会場を後にした。 その後授与式が終わると観客にいた人たちは一斉に立ち上がってぞろぞろと会場を後にしていった。 敦司もその波と一緒に会場を後にした。


(魔法、すごいな〜、俺もワンチャン魔法扱えたりしないかな〜、風の魔法で木を切ったり、水の魔法で雨を降らせたり…)

 そんな妄想に浸っていたら、前にバルグが歩いているのを見つけた。

「バルグさん!」

「ん? おぉ敦司君か、どうだ! うちのスズは〜!」

「もうすごいですね! スズってあんな強かったんですか」

「小さい頃はまったく魔法が扱えてなかったからな、敦司君が小さい頃スズと遊んでいた時は私たちではなく私たちの従者がお世話を請け負っていたからな、おそらく敦司君と離れた後かな、スズは急激な成長をしていったんだよ」


 バルグがスズの小さな頃と今のスズとを比べて話をしていると、いつの間にか家の前まで来ていた。 家の扉を開けると、そこにはステラが椅子に座っていて、その隣にはスズもいた。


「ただいま!」

「あら〜おかえりなさい」

「敦司君もね?」


 ただの家族同士の挨拶だ、だが今の挨拶には敦司も含まれていた。 敦司は星野家の一員になりつつあった。 だが敦司はここの人ではない。 明日には元の家に帰らなければならない。 面白く、初めてのものがたくさんあった、一生の記憶に残るような思い出がたくさんできた。 名残惜しい気持ちがありつつ、最後の夜の時間を静かに暗い部屋、ベッドの上で過ごす敦司であった。


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