第19話 努力で成り上がった者
攻撃の手を止めてセイラに語りかけるバーニア、バーニアの顔にはどこか引きつったような顔をしているように見えた。
「私は、魔法の高みを目指してイースベル魔法学校に入学しました」
「なんの変哲もない貴族です。 運動も得意ではなく、入学当初は授業の時間以外は図書館にいって魔導書を読む、そんな日々ずっと過ごしていました。 もちろん、最初の方はクラスで一番弱かったです。 ですがいまでは王国でも有数の魔法使いになっています」
「ふむ、それは喜ばしいが…」
(なぜ今そんな昔の語り話をするんだ?)
いきなりの昔話に困惑するセイラ、それでもバーニアは話を続けた。
「私は努力でここまで成り上がりました。 生まれた時から使える固有魔法を持つものは才能者、天才と讃えられ、その人たちはこぞってみんな国でもなを挙げる有数の魔法使いになっています。 私は才能が嫌いです。 固有魔法に頼らずとも歴史に名を残した魔法使いは1人のみ、それ以外は全員固有魔法を持っていました」
「才能が嫌い、か」
「はい、あなたも固有魔法を持っていますね?」
バーニアは少し声を荒げ、詰め寄るようにセイラに問いかける。
「努力はどの程度なされたのですか?」
「今の高みまでたどり着くのにどの程度勉強しましたか?」
「才能に頼り、人一倍努力と勉強をせず全て人並みにやってここまできたんですよね!?」
全てバーニアの主観だ。 バーニアが才能を嫌う背景には過去の自分の立ち位置と固有魔法を持った者と比較をし、その時の悔しさ、自分が頑張る意味を見失いつつあったためだった。
「たしかに固有魔法は便利で強いものが多い、だが君は魔導書や歴史書をたくさん見ているのならわかるだろう?」
「弱い固有魔法を持ったものもいると」
「それでも国内有数の魔法使いになった。 これは努力と勉強による成果なのではないか?!」
強気に返したセイラ、バーニアは表情ひとつ変えずに口を開いた。
「ですがその人も結局は才能が開花し、かつて弱かった魔法はその人のメインウェポンになっています」
「いくら努力しても、才能の成長材料にしかなりません。 才能がない人はいくら努力しても決して実ることのない花に延々と栄養を与え続けている。 実力は上がるがそれでも才能を持った人には後一歩届かない…」
(もっともな意見だ…言い返せん…)
「さて、ここまでの話を聞いたあなたはきっとこう思うでしょう」
「"自分と私の違い"をね」
(——なっ!?)
「この戦い、負けるわけにはいかないんですよ」
バーニアの背後に無数の魔法陣が現れた。
「無数の光線を放つ魔法」
魔法陣から光線が放たれ、セイラに絶え間なく襲いかかる。防御魔法を全面に張って防ぐセイラだが、放たれた光線は一つ一つの質量がとても重く、耐えるべくして防御魔法をより強固にするが、強固にすればするほど魔力を消費する量もどんどん増えていってしまう。だが絶え間なく続く光線から逃れる隙間はなく、セイラは頭を悩ませた。
(さてどうしたものか、このままいっても魔力がなくなる心配はないが、いつか防御魔法を破ってきそうだな…)
(この程度は平気か…)
魔法陣は消え、次に現れたのは先ほどよりは半分ほどの数の魔法陣だがこっちの方がサイズが大きかった。
「レーザーを放つ魔法」
放たれた光線は先ほどよりも量は少ないがはるかに速度が速く質量も重い。だがセイラは表情を変えずに防御魔法を張り続けている。
(この魔法、、普通のレーザーを放つ魔法とは違うな…)
(何か一手を打たなければ…)
「魔法吸収」
唱えたセイラから青色のモヤが体全体にかかり始めた。 するとセイラの防御結界が青く光始め、絶え間なくくる光線がどんどん青くなっていき、やがて光線は魔法陣のところまで青く染まっていった。
魔法陣のところまで青く染まると、バチっと反応が起こり光線は消え、魔法陣も一斉に消えた。
「ほう…初めて見た魔法ですね」
「これは魔法を吸収する魔法だ」
「吸収…?」
バーニアは頭を傾げ、自身のいままでに見たたくさんの魔導書の記憶を掘り返し、セイラの言った魔法を自分なりに一瞬で解釈した。
「魔力消費も多いことでしょう」
「あぁ、だがこれには3つ、通常の魔法とは違う点がある」
通常の魔法、とセイラは言ったため、バーニアは興味を持った。
「ほう…それはなんなんでしょうか」
セイラは指を立たせ、バーニアに魔法の詳細を話し始めた。 その間さっきまで激しく魔法が飛び交っていたのに途端と静かになったため地上で戦っている人たちも思わず一瞬、上を見上げた人が多数いた。
「一つは、魔法の詳細を知ることができる。 魔法の消費する魔力量、攻撃力などだな」
「それはかなり強いですね。 ですが、魔力消費量が多ければそう何回も情報を知れないでしょう」
「そうだな、だがそれは通常の魔法だ。 二つ目は、吸収した魔法から魔力を吸い取ることができる」
(——なに…?)
意味深な言葉と二つ目の魔法の効果に目を鋭くし、3つ目の効果はなんだと、脳内で思考を巡らせて考えた。
「吸い取る魔法は吸収した魔法によるが……」
「今のだけでもかなり強力な魔法ですよ」
(あの魔法、恐ろしい魔法ですね…魔力を吸い取ると言うことは魔力を大量に消費するという弱点を克服していると言うことになる…)
「だが最後、これは言うべきなのか…」
(…ん?)
躊躇っている様子のセイラ、もうこれ以上強い要素を言わないでほしいと切に願っていたバーニアだったが、次にいつセイラの一言でバーニアの表情は一気に変わることになった。
「この魔法は、[固有魔法]なんだ」
(なんだと…?)
その一言により、バーニアはとても怒り、言葉使いも前とは違く荒々しくなった。
「私が固有魔法を、、嫌っていると分かっていながらも説明をしますか…!?」
「闇の光線を放つ魔法!!」
無数の魔法陣が現れ、魔法陣からは黒く、太い光線が放たれた。 この状況になることを分かっていたセイラは、バーニアが詠唱を言った同時にセイラも魔法を放った。
「極光の稲妻を放つ魔法!」




