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第17話 調子に乗ると簡単に乗せられる


「オラオラァ! 来い、早く来い! 俺と戦えぇ!」

氷柱を放つ魔法(アイスピア)

 スバルに向かってくる一人の魔法使いが少し大きめの氷柱が3本、放たれた後どんどん速度を増してスバルへと向かっていった。

稲妻を放つ魔法(レイバルト)ぉ!」

 ある選手が放った小さな氷柱をスバルはいとも容易く壊した。 だがその後ろからもう一つの魔法が飛んできて、魔法での防御に間に合わずスバルは両腕で防ぎ致命傷は免れるが、腕を負傷してしまった。

「——っち…」

「私もいますよ、3人でこの戦闘狂を黙らせましょう」

 スバルが負傷してから程なくして、さらに一人合流した。 スバルの前にはそれぞれ国の違う3人の魔法使いがいる。 3人とも戦闘態勢魔法を言うでも出せる状態だ。

「3体1か、、いいぜ」

「前の雪辱を晴らしてやるよ、この一年、鍛えたからなぁ!」


 フィールドのある一角では威勢の良い魔法使いと、敵同士だが結託して戦う3人の3対1の圧倒的不利な戦闘が火蓋を切る。 だが始まって早々戦況は圧倒的不利だったスバルが優勢だった。


「こいつ、強ぇ! 3人でも押されるなんて」

(——なんでさっきからちまちまと初級魔法しか使わねぇんだ…つまらん)


 少し苛立ちを覚えながら、スバルは放たれた魔法をかき消し、魔法を放つという一連の動作を何回も、何十回も続けていると、変わらなかった戦況は少しずつだが変わろうとしていた。何十回と3人の放った魔法を防御魔法や魔力消費の低い魔法ではなく、雷魔法の中級魔法の中でも特に魔力消費が多い魔法の稲妻を放つ魔法(レイバルト)のみでかき消していたため、どんどんと魔力がなくなっていっていることにスバルは気づいていない。 魔力消費が多い分、何回も何回も使っていると魔力が枯渇してしまう。

「——っち…」

(敵の懐に入り込んで攻撃をしたいのに、初級魔法しか使ってないが、懐に付け入る隙がないからずっと防戦一方だ…)

 ずっと稲妻を放つ魔法(レイバルト)を使っていたスバルは、その場から動いていないのに、額からは汗が流れ始めてきた。

(このままずっと守っていたら魔力が尽きるな…自分の魔力量が分かればよかったんだが…)

(このまま撃ち合っててればいい、あいつは勝手に自滅してくれる)


 ——そしてその時が来た。


 何十回、何百回と魔法を撃ち続け合うこと数十分、スバルと3人の間には無数の穴ぼこが空き、スバルの額には遠目でもわかるくらい汗をかいていた。 スバルが両手を前に出し、また稲妻を放つ魔法(レイバルト)を放とうとしたその時、スバルの体に異変が生じた。

(——っ!)


 スバルの体に電流の様なものが走り、一瞬体が硬直する。 そして稲妻を放つ魔法(レイバルト)はスバルの手から出なくなった。魔力切れだ。

(なっ…!)

 魔法を出せなければ魔法をかき消すこともできなくなった。 それにより3人の放った各々の魔法はまっすぐスバルへ向かっていき、スバルの胴に直撃した。 スバルはまた両腕でガードをこころみたが前とは異なり今回は初級魔法でも3つもある。それにスバルの両腕は負傷している。 こんな状況ではガードをしたとて意味はほとんどなく。 スバルは吹き飛ばされてしまった。


(やっとか…)

「やつは魔力切れだ、魔力切れは魔法使いにとって攻撃手段がなくなり、戦闘不能状態と同じ扱いにされる」

「私たちは敵同士だ、やつを倒すべく共に戦ったが、今からは敵同士だ。 2人も力を少しも出していないんだろう?」

「当然だ」

「私は自分のチームに戻る」

 そういうと一瞬で姿が消えた。 瞬間移動魔法を使ったと即座に2人は理解した。


 吹き飛ばされ、フィールド端の壁でうずくまっているスバル、腕からは血が滲み出ていて痛みともう一つの感情がスバルのメンタルを崩していた。

(負けた…のか? この一年、去年のあの雪辱…あの圧倒的敗北感を感じたくないがために無我夢中で鍛え、魔法も遥かに上達したのに…!)

(負けた…?)

 痛みと悔しさだ、戦闘狂のスバルはものすごく負けず嫌いだ。 去年の圧倒的敗北感を二度と味わいたくないがために鍛えたが、初級魔法という火力も弱く、見た目も地味なもので、スバルにとっては脅威でもなく眼中にもなかったもので最後は敗れた。 最初こそは3対1でも優勢だったのに初級魔法が絶え間なく飛んできて防戦一方になってからはどんどん戦況は傾き始めていた。

(魔力切れ、小さい頃以来だ…魔力を使おうとすると体が痺れ、魔力がないからか常に体に力がほとんど入らない…もう動けない、詰み…か)


 魔力がなきゃ魔法使いは何もできない。 負けず嫌いなスバルも諦めがついたのか、目を閉じてスバルは戦いの場から外れた。




 * * *


 スバルの魔力切れが起こる前、別の場所では物理攻撃のぶつかり合いが起こっていた。両者とも手に持っているのは魔法使いといえばの杖や形が歪な棒ではなく、一般的に剣士などが持っている剣だった。遠く離れては一気に距離を詰めて剣と剣がぶつかり合ってまた離れる。 お互い様子を伺いながらも両者とも剣を振るう膠着(こうちゃく)状態が続いている。


「君、強いね」

「君もね」

「稀有な存在の魔剣士が私の他にもう一人はいるかと思ったが、やはりいたか」

「私もだよ、この場で同じ魔剣士の者と戦えるなんて光栄だよ」

 剣を交えながらも軽快に会話を弾ませる。 だがその間も剣を振るう力は衰えず、むしろ増えている。 剣と剣が接するところからキリキリと音がなっている。


「私はグランドール王国の[ハイトラス・セント・ルイス]と言う者だ、魔剣士の位は銅冠(どうかん)だ」

「——っふふ…」

「私はフロウリオ王国の[アルト・ハーバル・レイク]だ、よろしく頼む」

 にやりと笑みをこぼし、名前を言ったレイク。 名前を言う前に不敵な笑みをうかべた様子に違和感を覚えたルイスは、一つの質問をレイクに投げかけた。


「失礼、階級はどれにあたるのですか?」

(私と同じ銅冠なら勝てる可能性はある、本当に情報が一切ないフロウリオ王国の人だから警戒しなければ…)

「——私の階級は…」

 生唾を飲み、レイクの言葉に耳を慎重に傾ける。 また不敵な笑みをうかべ、ニヤリと笑って質問の回答をした。


「私の階級は、、君よりも上の銀冠(ぎんかん)だよ」


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