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第10話 スズ、実家へ

投稿期間をあけて、また10話続けて投稿します。


「ふぅ…やっぱり朝はホットミルクだよなぁ」

 朝から角砂糖を計5個も入れた甘っ々なホットミルクを飲む敦司。リビングには敦司以外誰もいない朝の5時10分。ちなみにスズはまだ寝ている。

「すぅ…すぅ…」

 小さく寝息を立てているスズ、部屋には窓から少しばかり光が差し込んでいる。

 あれから時間が経ち、現在時刻は6時30分ごろ。ようやくスズが起きた様で、目を擦りながら階段を降りてきた

「うぅ…おはよう〜」

「ああ、おはよう」

「そういや、今日暇だなー」

「そうだね〜」

 スズは洗面台へ向かい、顔を洗っていたが、何かを思い出したかの様で、突然手を止めた

「——って! そういや暇じゃないよ今日! 私今日予定あるよ!」

「え?」

「やばいやばいやばい! 早く準備しないとぉ!」

 スズは焦って部屋へ戻り勢いよくドアを閉めた

「んん? スズ、今日何か予定があるのか」

 あんなに焦るほどの用事があるのかと疑問に思いつつも、温かい2杯目のホットミルクを飲む

「ふぅ……」

 一方スズは、ものすごく慌ててキャリーケースを広げ荷物を入れていた

「スズ、今日は一体何の予定があるんだ? キャリーケースとか、旅行にでも行くのか?」

「じ…実はね〜、今日私の故郷で魔法使い達の交流会があるのよ〜」

「こ、交流会?」

「そうだよ〜。 私の地元で、年に一回周辺にある地域と関わることを目的に開催されてるんだよね」

「それが今日ってことか」

「交流会は明日! 今日は交流会のために帰るのよ」

 忙しそうに家中を走り回り、荷造りを進めていくスズ。敦司はその様子を右手にあるホットミルクと共に見ていた。

「——よし! 準備完了〜」

 時間が経ち、スズは荷造りを終えた。結構いろんなものを詰めていたため、キャリーバッグは結構パンパンに膨れていた。

 すると敦司は疲れてその場に座って休憩しているスズの元へ行き、一つ問いかけた。

「な、なぁ……俺も行っていいか?」

「んえ? 別にいいけど、あんまり期待しない方が…」

(て、めっちゃワクワクしてるっ?!)

 スズの忠告虚しく敦司はものすごく興味を持ってしまっていた




 * * *


 電車やバスを乗り継ぐこと数時間、止まるバス停で降りたスズと敦司、スズが[こっちだよー]と言って先導してくれている。敦司は本当に目的地に向かっているのかと疑心暗鬼になってきている。なぜなら今敦司が歩いている道は道ではあるが限りなく整備されていない道だからだ。こんな道の先に目的地である村があるのかと。

 バス停からしばらく歩いくとスズが突然足を止めて[この先だよ]と言って小走りを始めた。すぐさま敦司もスズの後を追う。すると、木々の隙間から光が出てきた。暗い森林の中だから僅かな光でもすぐ気付けれた。

 どんどん奥へ進むと森林から抜け出し、目の前に広がるのは一面緑の草原だった。

「おぉ…! ここが…」

「私の故郷〜! 久々だな〜!」

「なんか…以外と普通だね、ここに魔女とかがいるなんて思わないよ」

 眼下には集落が見える。おそらくあれがスズの故郷である村なのだろう。それからスズと敦司は丘の上から少しずつ下っていき、村の麓に行き着いた。

 入り口には門番らしき人が一人立っていた。

「 誰だ? こんなところへ来る人なんて…?」

「——ってもしかして、星野さんの子か?」

「はい! 帰ってきました!」

「おおぉ! 帰ってきたのか?!」

 スズと門番の人は、仲が良さそうだった。続いて村の中へ入り村の人たちに歓迎されたが、少し居心地が悪かった。村の人たちは嬉しそうに手を振っていた。中には「おかえり」と言う人もいた。

 続いてスズが向かったのは一つの民家だ、この家は村の中心から少し離れていてなぜかボロっちい。

「こ、この家は?」

「私の家だよ」

「え、ここが? へぇーここがスズの実家か〜」

 外観は何の変哲もない少し広い家だった。だが中へ入ると外の世界とは別次元の世界だった。

(な、なんだこれ……本が、浮いてる?!)

 すると奥で本を読んでいた人がこちらに気づき、こちらを呼びかけた。

「あらおかえりなさいスズ」

「——あら? また会ったわね敦司君」

「ど、どうもです…」

(母親だった…)

スズは母親の元へ行き、ソファに座っている母親の横に座った。

「パパはいまどこにいるの?」

「パパはね〜交流会の役員だから今は会場にいるわよ〜」

「パパ今年役員なんだね」

 敦司は二人の間に入れずにモジモジしていると、一つの紙がヒラヒラと敦司の元へきた。

(ん? 紙?)

「これは交流会のチラシよ〜、気になるのでしょう? 交流会に」

「はい! そのためについてきました!」

「あらあら〜やっぱりそうよね〜」

「あわよくば、交流会で派手な魔法を見たいと思ってるんでしょ〜う」

(えぇ…! なんでバレたの?!)

「なんでバレたの?! …みたいな顔してるわね♪」

(えぇ…? なんでバレたの??)

 母親はソファから立ち上がり、小走りで敦司に近づき、指を敦司の唇に近づけ得意げな顔をして口を開く。

「なぜバレたか説明しましょ〜う! 私はね〜」

「ママは悟りの魔女で、心が読めるんだよ〜」

「あ〜ちょっと〜、私の決め台詞シーンなのに〜!」

 母親は少し拗ねた様子で再びソファに座った、スズの頬をつねってムッとした表情をした。

「もう……」

「自己紹介をしましょうか、私は[ホシノ・シュトライン・ステラ]〈悟りの魔女〉よ♪」

「——さてと、敦司君」

「……はい」

「話を戻しまして、その紙は交流会のチラシよ、そのチラシを交流会の会場に持っていけば観戦者として試合を観戦できるわよ」

「むぅ〜……」

 スズが冷たい視線をこちらに向けてくる。

「——あら? ウフフ……」

「それで、交流会には来るのよね?」

「あ、はい! もちろん見に行きます!」

「だってさ〜スズ〜♪ よかったわね〜♪」

「——って、えぇ?! 私は関係ないでしょ!」

 それからなんやかんやあり、敦司はスズの家で泊まることになった。その後、夜になりスズの父親が家に帰ってきた。

「何事だあぁぁぁぁ!!」

 スズの家に一つの大きな声が響き渡る。

 「何事何事ぉ!?」

 敦司は突然下から聞こえてきた大きな声に驚き、ドアを開け、急足で階段を下った。

「どういうことだ!? 男!? スズまさか…!? 彼氏かぁあ!?」

 敦司は話し声のする方向へ耳をすませた。どうやらスズとステラと大きな声の主の三人がいると敦司はふんだ。聞き耳を立てていると[スズが…そんな…ついにな…]そんな話し声が聞こえた。少し悲しんでいるような声だった。先ほどまで大きく声が張っていたのに今の声は悲しげな感じだった。敦司は会話の内容が気になりすぎて、ずっとバレないようにコソコソと聞き耳を立てて会話を聞いている 

 側から見れば完全に不審者になってしまった。


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