脅迫と発狂。
「ねぇ、晴人くん正直に答えて??橘さんに私の悪口言ったでしょう。橘さんの私を軽蔑するような視線。勘違いなはずないから」
暫く沈黙が続いた。
そして、次の瞬間。空気を切り裂くような冴子の叫び声が響いた。
「許せなーい」思わず耳をふさいでしまう程の声量と迫力に綿矢が怯む。
「ねぇ、晴人くん。私ね人に悪く言われたりするの大嫌いなんだよ。私、被害者なんだよ??わかってるの??」
冴子の口から「被害者」という言葉を聞いて、湧き出てくる静かな怒りが綿矢を冷静にさせた。
綿矢はこのままではいけないのと、はじめて冴子と対峙する事を決意したのだった。
「冴子、君に聞きたいことがある。ご主人にモラハラをされたとか、経済DVを受けているとか、子供を虐待されるから実家に預けたとか、それって嘘だったの??」
すると冴子は目を見開いて叫んだ。
「ひどーい。ひどーい。ひどーい。私を一方的に加害者にして私に何をさせたいの??」
「ひどーい。ひどーい。ひどーい。許せない許せない許せない」
「ひどーい。ひどーい。ひどーい。」
叫び続ける冴子は人の皮を被った悪魔のようだった。
そして、冴子は言った。
「あなたは父親なのよ。私から逃げられないの。これから、私夫と離婚してあなたの妻になるって決めたのよ。もし、それを断るなら、あんたにレイプされて子供が出来たって、いいふらしてやるから、変態柔道整復師の施術なんて2度と、誰一人受けに来ないだろうね。二度とこの仕事が出来ないようにしてやるから」
「ひどーい。ひどーい。ひどーい。私の家族をめちゃくちゃにして妊娠までさせておいて、子供がいるから家に帰りたかったのに、まるで監禁するかように私と子供を引き離したのに。今さら私を責めて逃げるなんて許さないから。」
「ちょっと待ってよ!冴子がご主人からDVを受けてるから家に帰れないって、子供のことも俺は何度も大丈夫なのか確認したよね??それでも冴子が子供は夫が虐待するから遠方の実家に預けているのって言うから」必死に反論する綿矢。
「ひどーい。ひどーい。ひどーい。こうやって私にストレスを与えてお腹の子供を殺すつもり??ひどい。怖い助けてー」繰り返して叫び続ける冴子。
綿矢は、膝から崩れ落ちた。
もう、自分の人生は終わりだと気づいたのだった。




