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この女に出会わなければ。

冴子との不倫関係が周知に知り渡ってしまい、

何より大切にしていた職場の仲間と、お客様からの信頼を失って数日が過ぎた。

柔道整復師のエースとして働いていて、ひたすら治療にはげむ日々であったが、

現在は、新規への治療へ入ることを禁じられている上に、不倫の事実が知れ渡ってお客さんの過半数が離れていた。


綿矢の不祥事を知らないのか、それとも特に気にしないのか…それでも残ってくれたわずかなお客さんが綿矢の生きる希望になっていた。


そんなある日、仕事を終えて帰ろうとした綿矢に橘が声をかけた。


「お前、いっぱい付き合え」


きっと、彼も自分を心底軽蔑しているであろう。

罵声や非難の声を浴びるのだろうか。

世界中の人間から非難されてるような気持ちの自分には、仲間からの侮蔑はとてもキツイものであったが、

それも受け止めなくてはならないのか。。


何も答えられない綿矢。


橘は一言、「駅前のいつもの居酒屋で待ってる」そう言って去っていた。


気が重い綿矢だったが、逃げる訳にはいかないと、

意を決意していつもの居酒屋に向かうと。


何故か、橘の隣に彼の妻の香菜の姿もあった。

香菜は、何度かバーベキューを一緒にしたり、食事に行ったりと顔見知りであり、同い年ということもありそこそこ綿矢とも仲が良かった。


「綿矢くん、久しぶりの、ずいぶん痩せたね!ちゃんと食べてる??」と明るく笑いかけてくれる彼女。

//

「うん、香菜ちゃん久しぶり。今日は里菜ちゃんは??」


「里菜は実家に預けているの、だから私は1時間で帰らなきゃなんだけど、どうしても綿矢くんと話したくて」


そこで、気まずそうに俯いていた橘が口を開く。


「あのさ、お前の今の神埼さんとの噂聞いた。お前の口から状況、ちゃんと聞かせてくれねぇか??俺にはお前がわざわざ自ら人妻を、しかも子持ちの女性に手を出して家庭を崩壊させたり平気で出来る奴に思えないんだよ。」


綿矢は、橘のまさかの言葉に、あふれていた感情が爆発しそうになるのを必死で堪える。


事実話しても良いのだろうか。

事実を話したところで、冴子にハメられていたと主張したって、結局自分は、子持ちの人妻を妊娠させたという現実は変わらないのである。


しかし、ここまで向き合ってくれる橘には正面から向き合わなくてはと思い、ぽつり、ぽつりと言葉を紡いだ。


冴子の事は、本当に特に気になっているとか特別な感情は一切なかったこと。


ある日、仕事を終えて帰ろうとしていたら、スタッフルームに電気がついていて、確認に行ったら冴子が泣いていて声をかけてしまったこと。


その時に夫からモラハラとDVを受けていると相談を受けたこと。


そこから、家庭の相談をされるようになり、夫の暴力で家に帰るのが怖いと言われて、自宅に招き入れてしまい、同情心から関係を持ってしまったこと。


子供は夫からの虐待から守るために、実家に預けていて別々に暮らしていると言われていたこと。

それでも何故子供に会いに行かないのかと尋ねると「実家は遠方だから頻繁に会えない」と言われていたこと。

そして、ほぼ家に居座られていたこと。


そこで、橘が口を挟む。

「この間も行ったけど、神埼さん毎朝お子さん保育園に送ってるぞ」


自分には冴子はインコの世話があると毎朝一度帰宅していたと答えると。


橘夫妻は絶句だった。冴子はなんて恐ろしい女なのだろうか。


子供が出来た理由も、もちろん自分の責任ではあるけれども、


冴子から第一子の出産時に生死を彷徨って、それが原因で二度と子供が作れない身体になったときいていた。それでも避妊をしようとした際に

避妊具が肌に合わないか使わないで欲しいと言われていた。と、話した。


橘夫妻は想像をはるかに超えた綿矢の話に怒りと恐怖すら冴子に対して感じていた。


そして、香菜は驚く事を口にしたのだった。


「あのね、綿矢くん。私、知ってるんだ。神埼冴子はん。旧姓、村田冴子がどんな人間かを。だから、綿矢くんの話を信じるよ。すごく、驚く事かもしれないけれど、私の話も聞いてくれる??」


香菜の口から語られた話は、綿矢が想像していたよりもはるかに、冴子の人格の恐ろしさがうかがえる恐ろしい内容だった。








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