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策略の涙

泣き顔を隠すような素振りで、スタッフルームから立ち去ろうとする冴子に、思わず声をかけてしまった綿矢の地獄が、今始まろうとしいる。


「神埼さん、ごめん。余計なお世話かもしれないけど、なんかあったなら、俺でよければ話を聞くよ、あ、でもお子さんいるんだよね、早く帰らないとまずいかな」と、少し慌てながら言う綿矢の目をみつめながら、冴子は、ふっと糸が切れたかのように、大粒の涙を流し始めた。


「ありがとう綿矢さん。あのね、実は、家に帰るのが辛くて、ぼーっとしてたの。」


涙を流しながら、壮絶な家庭環境の話をする冴子に神埼は驚きながらも、心から同情してしまうのであった。


冴子の夫は生活費すらまともに渡さず、子供の面倒すらみない。

慣れない家事や育児で疲弊している冴子に、もっと手の込んだ料理を作るように指示したり、

お前は何も出来ないなどとモラハラ発言を繰り返し罵倒する。パチンコや競馬で借金まみれで、

暴力まで振うし、行きつけのスナックのママと不倫関係にあるとのこと。


想像を絶する壮絶な環境に神埼は、言葉を失った。


もちろん、これは全て冴子の嘘である。


元々、冴子は家事など一切しないし、太郎の世話だって朝食も食べさせず朝に保育園に送る以外は、何もしていない。

神埼の給料で友人と外食三昧で遊び歩いてる上に家賃や光熱費、通信費も全て神埼の口座から引かれているため、彼は自分の食事すら満足に食べられずに過ごしているのに、パチンコや競馬に行く余裕もなければ、毎日、保育園の迎えに行き太郎の世話をしているのでスナックママとの不倫する時間すらないのである。


しかし、綿矢にはその事実を知る術などないのだ。

彼はどんどん冴子の不幸話に心を痛め、冴子にのめり込んでしまうのである。






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