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そうです。私がいじめましたわ!

作者: へんりん

「メアリー!お前との婚約を破棄する!理由は分かっているだろうな!お前が聖女エミリをいじめたからだ!」


私の婚約者、いえ元婚約者のロイド・フローレン第一王子が学校のホールで大きく宣言する。彼の横にいる聖女エミリは、ロイド第一王子に胸を押し当てながら私を見てニヤニヤしている。


当たり前だが私はいじめなどしていないし、婚約を破棄される道理もない。だけどこんな所で「私はいじめてません」なんて主張しても無駄なことは分かっている。


だから私は悪役になりきることにした。


「そうです。私がいじめましたわ!」


私の発言に王子はそれ見たことかとふんぞり返り、横の聖女は目をぱちくりさせ、周りの観衆は静まりかえる。

どうせ否定しても黙っていても私は悪者認定される。だったらいっその事本当に悪者になればいいじゃない!そうすれば濡れ衣を着せられたと悲しむ必要がなくなるわ。だって私は悪役だもの!


「それはもう、毎日の様にひどいいじめをしましたわ!ある時は聖女様が大切に育てているお花に先に水をかけましたわ!それはもうたっくさんかけてやりましたとも!またある時は聖女様の教科書に落書きをしてやりましたわ!教科書の隅にそれはもう恐ろしい魔獣の絵を描いてやりましたわ!」


いじめるって多分こういうことよね。

あれ、なんだかみんなの反応が微妙だわね。

……もしかしてあまりの過激すぎるいじめに声も出なくなってしまったのかしら!さすが私!すごく悪役だわ!


「……嘘をつくなメアリー!エミリから聞いた話と全然違うぞ!」

「それは当たり前ですわ!こんな恐ろしいいじめの内容など王子に聞かせたくなかったのですわよ!それにいじめたと認めている以上嘘をつく必要などございませんわ!」

「確かにお前が嘘をつく必要はないが……」


ああ、気分はまさに悪のさらに悪。常人では思いつかない、もしくは思いついても決して実行しないような事を悪びれもせず行う。私はなんて悪い子なんでしょう!一回こういうことして見たかったのよね!


「そ、それは嘘ですわ!だって私本当にひどいいじめを受けたのですもの!昨日なんてお昼ご飯を食べようとした時、メアリーさんが現れてお弁当に泥を入れてきたのです!」

「ほ、ほら、エミリもこう言ってるではないか!」


お弁当に泥?

それはいけないわ!食べ物を粗末にするなんて許される事じゃないじゃない!

というか……


「あの、昨日私は生徒会のお仕事が長引いた関係で、昼休憩ずっと生徒会室にいたのだけど……」


会場がざわつく。その中には「確かにメアリー様は我々と一緒に作業していたぞ」という声も聞こえた。ありがとう、生徒会の誰か!


「そ、それは……時間を間違えていましたわ!昼ご飯の時じゃなくて夕ご飯の時でしたわ!」

「エ、エミリ、昨日は僕と一緒に夕ご飯を食べたではないか。まさか本当に嘘を……」


ロイド王子が横の聖女の発言を聞き、呆然とする。

聖女はしまったとでも言うように口元を慌てて手で覆い隠す。でももう遅い。彼女の発言はホールにいる全ての人に聞こえていた。


結局その後、私は正式な手続きを経てロイド第一王子との婚約を破棄した。公共の場でした発言を覆すことなど、王族として赦されるものではないのだ。

彼は誰が正しいかを正確に判断できないバカ王子だと貴族間で噂されている。常に正確な判断をしなければならない国王の器ではない、という声も上がっているそうだ。


聖女エミリの方はあれから色々な追及が行われ、驚くべきことに聖女ではなかったことが明らかになった。聖女を認定する神官をろう絡し、簡単な聖魔法で民衆を騙したのだとか。その事件を受けて、教会は今後このような事がないように厳正に対処していくと声明を出した。


え、私?私は特に変わりはないわね。

強いて言うならあの事件の後、何故か評判が良くなったことかしらね。


一体何故なのでしょう。完璧な悪役ムーヴでしたのに……

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― 新着の感想 ―
[一言] お花に水をたっぷり…根腐れさせて涸らすつもりだったのか! 流石悪役!
[良い点] 1度相手の思惑に乗ったと見せかけてからのその場で失言を引き出させて冤罪を即座に証明して見せて無実で相手が悪いとさせた上で、相手の思惑に乗ったのも策略であり普通に見ると言い逃れ出来ないからさ…
[良い点] 悪役ぶってるのに善良さがにじみ出ちゃってる女の子、すごく可愛いですね。
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