パーティー追放された盗賊が破滅した元仲間に向かって「もう遅い」って言うだけの話
また一発ネタを思い付いたので書いてみた。単純なネタなので誰かとカブってるかも。もしカブってたら指摘してくれるとありがたいです。
「お前をパーティーから追放する!!!!」
「は?」
パーティーリーダーの剣士からそう言われた盗賊は思わず首をかしげた。もともと好かれてはいないのは気が付いていたがここはダンジョンの下層、こんなところでする話だとは思えなかった。
「前々から思っていたんだがそもそもろくに戦闘に参加しないくせに報酬はしっかり山分けとかどういうつもりだ!」
「いや盗賊は戦闘職じゃないし索敵も罠の発見と解除はしっかりやってるだろ……」
剣士の言葉に呆れたように言葉を返す盗賊。この世界では盗賊は索敵と罠の専門職で戦闘力は無いのである。
盗賊は困ったような顔で他の仲間達を見回すが……
戦士「だいたいジョブが盗賊とか犯罪者みたいでイメージが悪いんだよ!」
魔術師「貴方の様な低俗な人と仲間と思われたくないんですよねぇ」
神官「報酬私達が9割5分で残りが君ならまあ使ってやっても良いんですけどね」
と、これである。どうでも良いが発言内容はそれで良いのか神官。
好き勝手に言い放つと盗賊を置いて立ち去ろうとする元パーティーメンバー。盗賊はそれを見てその背に慌てて声を掛ける。
「おい! 待て……」
「はっ! もう話す事など無い!」
「いや話を……」
「へっ、てめぇはダンジョンの下層に一人残されんだよ。ま、運が良けりゃ帰れるかもなぁ」
「いやだから……」
「未練がましいですねぇ。我々に貴方は必要無いんですよ」
「そうじゃな……」
「やれやれ無駄飯食らいが居なくなったからこれで報酬の配分が増えますね」
追いかける盗賊の言葉を無視してダンジョンの通路を歩いて行く元パーティーメンバー達。そして次の瞬間。
カチッ。
「「「「は?」」」」
剣士が何かを踏んだ瞬間、元パーティーメンバー達の足下の床が消え失せる。
「「「「うわぁぁぁぁっ!!!!」」」」
ボッシュートされる元パーティーメンバー達。そして何やらグチャッと言う鈍い音。
「……その先は落とし穴があるから行くなって言おうとしたんだが……」
盗賊は頬を指で掻きながら落とし穴の縁に近づき下を覗き込む。そこには変わり果てた姿のかつての仲間達。
「だから人の話は聞けと……ま、もう遅いか」
おしまい
なおこの後、盗賊は隠密技能を駆使して普通にダンジョンから脱出しました。