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描けない

作者: 川里隼生

 高校生の頃は、学校への憎しみとか、大人への不満とかを直接、小説にぶつけられた。法律上の大人になってからも、それまでの間に感じた理不尽を描いていきたいと思っていた。


 それが、最近は描けない。毎朝の辛い早起き、不味い給食、モラトリアム故の自由なき義務、大人たちによる抑圧、介入される人間関係、拒否は許されない学習の権利。訴えたいものはいくらでもあった筈だ。


 それが描けない。もうあの頃の感覚を思い出せない。リアルな学生の記憶が失われていく。代わりに、ゲームの中にしか存在しないような学園像に支配されつつある。


 違う。屋上には入れない。部活は楽しくない。いじめはどの学級にもある。放課後だろうが休日だろうが自由な時間なんかなかった。制服も髪もカラフルじゃない。生徒会だからって特別扱いはされない。女子のスカートはあんなに短くないし、購買のパンが争奪戦になることもない。


 確かにあった筈の、誰かに聞いてほしかった筈の感情が失われていく。大人になるって、こういうことだったのか。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 自分も勉強への憎しみ感じたことがあるので、めっちゃ共感しました
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