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探し物
ーーどこに行ったんだろう。
窓の外を眺める。
今日はどしゃ降りだ。
あの日もそうだった。。
普段なら仕事を終え、私はもう家に向かって帰ってるはずだ。
だが、その日も今日と同じ様に強い雨が降っていた。
「ーー今日は残って!」
事務所からは、滅多に言われない残業の指示があった。多分あの日は特別だった。。
何も知らずぼんやりと仕事の終わりを待っていただけの私(高山香織)はこの頃、見かけなくなった仲間。ーー杉山亜果利の事が気になった。
亜果利はよく話す女性だった。
口下手な私には、到底及ばないと思いながら、彼女の知識の豊富さに、いつも尊敬の眼差しを向けていた。
そして、もう一人。
中野翔子。
私より年上ではあるが、いつも優しく私の事も気にかけてくれる。
やはり話題豊富な人だった。
いつも一緒で、いつも三人で楽しい会話をしていた。。