3, 同棲
私を掴んでいる間に赤髪の騎士がご主人様を拘束し何処かへ連れて行きました。呆然としていると、騎士の方々の中で1番背が低い騎士がこちらに向かって来て、
「団長、ベテルス侯爵はこのまま取り調べるで良いんですよね」
と、仰り思わず掴んでいる黒髪の騎士を見、本当に団長、なんでしょうか?と、思います。黒髪の騎士は掴んでいた手を離し、そのまま私を撫でつつ、
「ああ、俺はこのままこの子を連れて帰る。報告は明日してくれればいい。後はフォルハウト、お前に任せる」
「了解です。では、明日まとめて報告しますね。今日こそはゆっくりして下さいよ」
そう、ウインクしながら残っていた騎士方々と共に去って行きました。
☆ ☆ ☆
現在私は黒を基調にした馬車の中に黒髪の騎士と一緒にいます。
あの後、ご主人様が騎士に捕まったことで、私達は皆解雇されることになりました。私以外の皆様は『家族』がいるのでそれぞれの故郷に準備ができしだいお帰りになるそうです。私は奴隷ですので、家族や帰る家がありません。そんな私に黒髪の騎士が引き取ると仰って下さったため黒髪の騎士の屋敷にこれからお世話になることになります。早速屋敷に向かうことになり、現在に至ります。
目の前にいる黒髪の騎士が眉間に皺を寄せていらっしゃるため馬車の中の空気が重くなっています。そのため現実逃避にご主人様の屋敷でのことを思い出していました。
そろそろ屋敷に着くと御者の方が教えて下さってから1分程でとても大きい屋敷に着きました。門から屋敷のエントランスまでの距離が2分程でした。一体現在目の前の黒髪の騎士はどれくらい身分が高いのでしょうか・・・?
「・・・・・・言い忘れていたが、君はこの屋敷の住人として暮らして貰う。勿論俺もこの屋敷で暮らす。つまり、・・・同棲することになる。手は出さないから、安心して暮らすと良い。・・・ようこそ、フォスフィライト家へ。歓迎する」
初めて拝見する笑顔に驚いている間にエントランス前に馬車が着きました。
私は黒髪の騎士と同棲することになりました。これから先どんな日常が待っていて、私は・・・・・・