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成り行きで、始めました!①

 ◇プロローグ◇


 荘厳な石造りの大広間には、剣のぶつかる音、魔法の爆ぜる音、そして絶え間ない叫び声が響いていた。


 冒険者を指揮する青髪の騎士は、レイドボスを睨みながら歯噛みをする。


 可能な限り人数を集め、過去の失敗から対策も十分話し合ってきた。


 それにも関わらず、戦闘開始から、わずか数分で、20人を越えるパーティーは半壊していた。


「くっそ! こんなのどうやって倒すんだよ!」

 仲間のオークが、両手鎚を振り回し牽制する。

 

 それを、ひらりと回避したレイドボスは、冒険者達から若干の距離を開け、妖艶に微笑む。


 赤い瞳、整った顔立ち、腰まで伸びた銀髪。

 額には捻れた2本のツノと、蝙蝠の羽を持つ、美しい女性の姿をしたモンスター

 レイドボス≪夢魔の女王(クイーン・サキュバス)


 圧倒的な力を持った彼女は、瞬く間に残りの冒険者達を全滅させたのだった。  





 ◇1◇

 フィールドダンジョン<<迷いの森>>


 そこは、濃い霧が立ち込め、昼間でも薄暗い。

 道には不気味な木々が生い茂り、まるで迷路のように入り組んでいる。

 出没するMOBモンスター達も、付近に比べ一段と強く、適正レベルの冒険者が、複数人でPTパーティーを組んで訪れるのが常だった。



「や……やっと着きました~~」


 そんな<<迷いの森>>の出口に一人の少女が佇んでいた。 

 森の葉のような、深緑色のローブを身にまとい、目深にフードを被っている。


 少女の前には、苔と蔦に覆われた石造りの塔建っていた。



(お話には聞いていましたけど、こんなに高い建物があるんですね~)


 5階建てのその搭は、周りの木々よりずっと高く、思わず口を開けて見上げてしまう。


 (お城とかは、もっと大きいのかもしれないですね。いつか見てみたいですけど………。)


 物思いに耽っていたが、ふと我に帰る。

 見とれてる場合ではなかった。


 お気に入りのローブのよれを直し、フードについていた葉っぱを落とす。

 足元の草を踏みしめながら正面に見えるドアに向かって歩いていく。


 搭の前の広い庭は、石畳の間から雑草が延び、あちこちに不揃いな石が転がっている。


(あんまり、手入れされてない?)



 石に躓かないように気を付けながら、搭の正面に立つ。

 大きな木製のドアは、しっかりと閉じられていた。

 ノッカーが無いので、とりあえず手で叩いてみる。


 トントントン

「すみませ~ん……」


 返答はない。

 (聞こえない……かな?)


 次は、もう少し大きな声で叫んでみる。

「すみませーん!どなたかいらっしゃいませんか~!」 

 しかし、返答はない。


(う~ん、開くかな?)


 片方の扉に手をつき、ぐっと押してみる。

「ん……」

 びくともしない。


 取っ手を掴み、力一杯引いてみる。

「ん~……」

 ピクリともしない。


(う~ん……)

 ふと左を見ると、地面に小さな立て看板が刺さっていた。


(? ……なになに?)


『 開門時間 17:00~4:59 』


「って、ええ――――っ!?」


 開門時間があるなんて聞いてない!

 正確な時間は分からないが、空を見上げれば、うっすらとかかった霧の向こうに青空が見てとれる。少なくても夕方では無さそうだ。


 フードの上から頭を抱えてしゃがみこむ。

(ど、どうしよう。初日から遅刻はまずいですよね………。)


 ん?

 ふと、視線を感じて上を向くと、石造りの塔の2階、窓際に白い人影が見えた。

 しかし、人影は、すぐの奥に消えてしまう。


「ま、まままま、待ってくださいー!すみませんー!!」


 少女は出来るだけ大きな声をだし、腕も大きく振ってみる。


 キィ…


 その必死な声が届いたのか、先程の窓がゆっくり開くと、そこからスッと骸骨が頭を出した。

「あ~…… 冒険者の方っすか? うちは夕方以降の営業でして。すみませんが、出直してもらって……」


 勘違いされてるし!


「ちがっ……違いますー!」


 少女は、慌ててフードを取る。

 整った顔立ち、赤い瞳、銀髪、そして、額には捻れたようなツノが2本。


「あの…本日からここで働く事になりました! サキュバスです、よろしくお願いいたします!」


 サキュバスと名乗った少女は、深々と頭を下げる。


「お、おぉ……? まじっすか」

 戸惑うような声が、2階の窓から聞こえてきた。




 ◇2◇

「いや~、今日来ることは聞いていたんですが、その格好だから、てっきり道に迷った冒険者かと思っちまったっす。」


 ドアを開けてくれた骸骨スケルトンが笑いながら挨拶をしてくれた。

 軽鎧を着て、背中には大弓を背負っている。


「自分は、骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)って言うっす。スケさんって呼んでほしいっす」


 その愛称だと、骸骨スケルトン種は、皆スケさんになるんじゃ………。とは思いつつも、サキュバスはペコリと頭を下げる。


「あ、は、はい。 えっと、サキュバスです。よろしくお願いします。」

 怖いヒトでは無さそうだ。ほっと胸を撫で下ろす。


「立ち話もなんなんで、中に入るっす。あ、MOBモンスター用の入り口は向こうっす。」


 こっちこっちと手招きしながら、骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)は塔の裏に向かって歩いていく。

 塔の真横を過ぎると、青い光の幕が天まで伸びていた。

 光の幕は、不規則に輝きながら、塔と隣の絶壁の間を塞ぐように隙間無く伸びている。


「こっちっす。」


 骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)は、ためらいなく光の幕を越え、サキュバスはためらいがちに手を伸ばす。

「あの………これは?」


「ああ、それはマスターが作った対冒険者用の結界っす。

 自分らMOBモンスターは普通に通れるっす。」


「はぁ………」


 触ってみると、手はなんの抵抗もなく光の幕を通過した。


「おぉ~」

 手を出したり引っ込めたりする。楽しい。



「こっちっすよ~」


「あ!す、すみません。」


 先を行く骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)を慌てて追いかける。

 塔の真裏には、表と比べて、質素なドアがあった。


「どうぞっす。」

 骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)がドアを開けてくれる。


「ありがとうございます。」

 お礼を言って中に入ると、そこには遥か上まで続く螺旋階段があった。

 所々にあるドアは、各階への入り口だろうか。


「サキュバスちゃんに向かってもらうのは、最上階っす。」


 骸骨の(スケルトン・)弓兵(アーチャー)は上を指差しながら階段を上っていく。


「最上階………ですか?」


「そうっす。レイドボスの部屋っすね。」


 そういえばここにいるレイドボスは、どんなヒトなんだろう。

 怖いヒトじゃなければいいな。


 そんな事を考えながら、サキュバスも階段を登り始めたのだった。


はじめまして!

ここまで読んでくださって、本当に有難うございました。


初執筆、初投稿になります………。

いやぁ、文章を書くのは難しいですね。


自分の遅筆にびっくりです。

続けるうちに、少しは上達出来たらいいなぁと思ってます。


亀のように遅いですが、最後までコツコツがんばります。


………。

あとがきで作品に触れてないですけど、いいのかな?

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