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プロローグ
「ぐおぅ……うぅぅぅ」
6畳半の部屋の中。ボロアパートの一室で俺は呻いていた。
時刻は深夜3時。猛烈な腹痛はとどまることを知らず、トイレとこんにちはからの布団で悶絶のリフレイン。原因は分かっている。昼に食べた缶詰だ。保存食だし平気だろうと、膨張した鯖缶を食ったのがまずかった。
一人暮らしの俺は呻き声しか出せず、誰かが助けに来てくれるということもない。
「そうだ……救急車……」
俺は携帯を手に取り、119番に電話をしようとした。何も言えなくても危険な状態なのは伝わるだろう。そうしたら部屋まで救急隊員が来てくれるかもしれない。俺は決死の思いで携帯を見て……
「ああ……」
そういえば電池切れてたなぁ。今から充電して間に合うかなぁ。
そんな悠長な事を考えながら……
俺は、ゆっくりと意識を失っていった。