6話「新人研修」
『』は別次元、または違う言語の時に使います!
もっとたくさんの人に読まれるように頑張らなきゃ……
*
「あれ……ここは?」
僕はふと気がつくと見慣れていた警務課室長室ではなく、霧が充満した街にいた。
「もうそろそろ行かないと新人研修に遅れちゃうのにな」
ラグナロク教団の教祖と争ってから早二週間、僕は自分の傷が治った後に組織の新人研修の手伝いをしなければならなかった。
本当だったら室長の僕ではなく転生課の人間の仕事だが、メリッサが女神レヴィと争ったせいで街が多大な被害が出た為に僕が責任を負わなければいけなくなったのだ。監督不届きで
「早めにここから出なきゃな……」
恐らくここは夢の中、自分の意識を遮断すれば元に戻れる筈だが……
『すまない、呼び出したのは俺だ』
霧の中から僕が現れた。
――いや、正確にいうのであれば元「グレン」だったもの
「どうして、君が僕を呼び出したんだ?」
もしかして、僕の体力の無さにキレてるのか?
それとも……
『お前の体をそこまで傷つけてしまった事について謝りたかったんだ』
「それは……元はといえばこれは君の体だ、気にしなくてもいいじゃないか」
『俺には体を持つ権利はない、今はお前が新しいグレン・マクスウェルなんだから少しは体を気にかけてくれ』
「わかった、だけど君には……」
僕は「彼」に少し話をした。
大した話ではないが僕の知っている人達にとっては重大な事
『わかった。さあ、そろそろ行かなきゃならないんだろ』
「頼むよ、君!」
「彼」の目はまるで僕を羨ましそうに見ていたがそれはきっと僕の気の所為だと思いたかった。
――さぁ、元の世界に戻らなきゃ
01
「体が重い……」
そりゃあ、そうだ自分と精神世界?みたいなとこで話し合いをしたから体が重くなるのは当然だ。
「しかし、何時からだっけ?研修は」
ふと時計を見ると時刻は10時、既に開始時刻になっていた。
「――ヤバッイ!!」
僕は急いで研修に使う教材やビデオなどを持ち、室長室からダッシュしようとしたが
「グレン室長!?」
「マリー!?どうしてここに!」
「話は研修室に行く時に話ますから早く!!」
「お、おう……」
走りながらマリーの話を聞いてみると、ラグナロク教団事件の後にジルさんとマリーはユグドラシル上層部の人間に連れてかれ事情聴取を受けてたらしいが実際は女神レヴィの策略に乗ってしまった事についての謝罪を受けたみたいだった。
ジルさんは僕が来る前に教祖と争って街中を破壊してまったので転生課から街の修復の手伝いをしてるらしいが経費とかは僕が負担するのね……
「じゃあ、マリーはどうしてここに?」
「私は女神ですからどこかに属してないと狙われてしまうのでユグドラシルに来たんです」
よく見てなかったが彼女の服装はユグドラシルが着用を義務づけている制服だが他の誰よりもその制服を着こなしておりなにより可愛かった。
「それで私は対策課のアーサーさんに相談したらグレンさんがいる警務課第1係の方が安全だって」
アーサー、アイツには借りが出来てしまったようだ。なにか奢ってやるか……
「さぁ、話をしている途中で研修室に着きましたよ」
「憂鬱だ……」
彼女とまだ話したかったが彼女も新入りとして研修を受けなきゃいけないので仕方がないのだ
僕は気持ちを重くなりながらも研修室の扉を開ける
「おおっ……」
扉を開けると1000人規模の男女が座っており、遅れてきた僕を待っていてくれた。
人間ばかりかと思えば亜人種、つまり獣耳人間もいた。
恐らくは人間7:亜人種3だろう、去年よりかは多くなったがやはりまだまだ少ないな……
「えー、すまない。少し書類処理に手こずってしまった、遅れた分、色々と質問を聞くようにするよ」
反感は無かったものの、少しばかり気まずいような雰囲気を出しているが……
「遅かったわね、グレン。何してたの?」
――彼女のせいだろうと100%わかった
彼女に怒られながらも僕は資料通りに研修を進めていった。
つまらなくないように途中ジョークを混じりながら
研修中、僕はなぜだか胸騒ぎがしてならなかった。
「彼」と会ってしまったからだろうか