1章ー6 遊戯
─無数につまれた死体の上に立っていたのは、どこにでもいるような小さな少年だった。
しかし、服装はよく見る子供とは程遠い。
黒いローブで全身を包んでおり、顔だけが見えている形だ。
「子供…?まさか、全部お前が…?」
「そのまさかだよー。ここにいる皆つまんないからさ、殺しちゃったよー」
とても軽い調子で言ってはいるものの、その言葉はとても残酷だ。
「…お前が"暗黒の使徒"とやらか」
「そう、僕は"暗黒の使徒"『幻惑』の権能、リグレット・クレアっていうんだよー」
リグレット・クレア。そう名乗った少年は、あたかも滑り台を滑るかのように、死体の山を滑り降りてきた。
「リグレット・クレア…王国でも最重要人物として手配されてるよ。君は、幻覚を得意としているそうだね」
「ちょっと!二人とも怖くないの!?私達死んじゃうのかもしれないのよ!?」
乗り気な二人に対して、かなり心配そうに二人の後ろに隠れるアリス。
彼女の反応は至って正しい。
…二人の反応がおかしいだけだ。
「すぐに殺したりなんかしないよー。君たちが僕と遊んで退屈させなかったらね。そうだなー……そこのお兄さん、気に入ったから二人で遊ぼー」
リグレットがそこのお兄さんといって指差したのは、ジュンヤであった。
「だからー、その間そこにいるお二人さんは待っててねー。『ダークネスプリズン』」
そう言った瞬間、シャマとアリスの周りに黒い柱が現れ、二人を覆い尽くした。
「「ジュンヤ!!」」
逃げてと言おうとしたが…
「ああ、任せろ!こいつは俺が倒す!!」
…違う。そうじゃない。
「じゃあ早速始めようか。楽しもうねー。『シャドウバインド』」
───────。
───────。
──あれ?俺死んだの?さっきリグレットが何かを唱えたところまでは覚えてる。そっから全く記憶がないんだが…
何も見えない暗闇のなか、何か手がかりになるものはないかと手をじたばたさせる。
「安心していいよー。君をすぐに殺すほど、僕も鬼じゃないからねー。さっき使った魔法は、『シャドウバインド』。君から視覚と聴覚を奪ったのさ。」
──十分鬼じゃねーかよ!!だいいち聞こえねーんじゃねーの!?
心の中で軽いツッコミを入れるジュンヤ。
「僕は君の脳に直接思念波を送ってるから、問題ないんだよー。凄いでしょ!」
…何か自慢された。
「それじゃあ僕はどこかから君を攻撃するから、ちゃんと防ぐんだよー。頑張ってねー」
「っ!?」
急な攻撃宣言に、焦るジュンヤ。
──落ち着け。落ち着け。今までの経験を思い出せ。何か、何か打開策は……
そう考えていると、なぜだか今までのイタズラの日々を思い出してしまった…。
「……ここをこうして……」
そう言って装置を作るのは、一年前のジュンヤだ。
現在、ロッカーを開けたら爆発する装置を作っている。
何と言うべきか、中二が作るような装置では到底ない。
「……!!」
突如扉が開かれる。
そして。
「誰かいるのかー?…いないか…」
先生が急に覗いてきた。幸い、教卓に隠れていたジュンヤは気づかれない。
今までも、危険が迫るときには、五感ではない第六感が働くのだ。
──それだ!!
そして、ジュンヤは先程くすねた剣を構え、警戒する。
チャンスは一回。ミスしたら人生即終了。
だか、そんなときにこそ、落ち着いているジュンヤ。
──来た!!!後方、上からの刺突!
直感でそう感じたジュンヤは、剣でガードする。
──これを外せばゲームオーバー…!だが、俺ならやれる!!
そして───────
夜に書いているため、語彙力は糞です(言い訳)。