第5話 1年後の僕
久しぶりの投稿です。
2歳になった。誕生日にはパーティーが行われた。この頃は魔力長も増え、最初は火弾さえろくに使えなっかたのに、今では3つの中級魔法を同時に使っても、ずっと問題なく行使できる。というのも、魔法を公にして練習することが出来ないから、部屋の中で魔法を練習していたのだが、そのまま攻撃魔法を使うと壁を壊してしまう。だから壁に硬化の魔法をかけて、そこに向けて魔法を放っていた。しかし、
ずがぁああぁぁん!
「なんの音!?」
そのままだと音が部屋の外に漏れてしまうことが分かった。だから今は風の結界魔法も使っている。だから、3つの中級魔法を問題なく行使できるようになった。
余談だが、硬化魔法は効果が永続する。その代わりかは知らないけど、他の魔法よりも消費魔力が多い。それに、効果魔法は重ねがけが可能だ。多分、1年間ずっと硬化魔法をかけ続けられた僕の部屋は、鋼よりも固くなっている。かもしれない。
中級魔法は、初級魔法よりも魔力も多く込められるし、威力もずっと高い。何より種類が豊富だ。アナさんはたくさんの魔法を持っていたけど、それらは戦闘で使いやすいものに限られていたみたい。
中級魔法の代表格である、空間魔法の魔法庫もなかった。とは言っても、中級の魔法の中じゃ覚えるのは一番大変だから仕方がないけど。
そうなのだ。魔法庫は一応空間魔法なのだ。使えるようになるのに1月かかった。最初は、魔法庫を作っても物を入れれなかったり、入れても取り出せなかったりしたものだ。極めつけは、魔法庫を作る時に魔力を使いすぎて気絶。気がついたら朝になっていた。
しかし、欠点もある。この魔法庫は、魔力を多く込める事によって容量は大きくなるが、大きな物は入れれない。ただ、入る数は多くなる。それに、生きている物は入れれない。前に、部屋の中にいた蜘蛛を入れようとしたら、どう頑張っても魔法庫の入り口を通り抜けてしまった。物を入れている間は、10分間に1、魔力が消費される。更に、魔法庫の中は現実と同じように時間が流れている。
「あ、あれ?私のメロンがない!」
「さぁ、自分で無意識に食べちゃったんじゃない?」
「いーえ。絶対にあったわ!」
「うーばー」(←僕の声)
なんて事があったのは記憶に新しい。メロンは、1ヶ月後に取り出したところ、腐っていた。すぐさま点火の魔法で燃やす。刺激臭は風の魔法で窓の外へ流した。
「うっ、なんだこの臭いは・・・」 バタンッ
父様と護衛がその日倒れたとか。まぁ、僕とは無関係だけど。
話が逸れてしまった。大きい物をしまうには、<魔法倉庫>が必要だ。上級魔法に分類される。ここまで話した所で申し訳ないが、後日、スキル欄を見ると<魔法庫>が追加されていた。ショックだった。せめてもの救いが、容量が少ないという事か。
まぁ、普段は魔力を消費するために魔法の方を使ってるけど。
とにかく、僕はバリエーションを大事にしたいのだ。なんか魔王とかもいるらしいけど、魔大陸に住んでいるから僕には関係ない。
僕は、冒険がしたいんだ。迷宮<ダンジョン>に潜ったり、宝物を探し出したり。そして、年老いたらどっかの山奥にでも隠居して、才能ある若い少年でも鍛えるのだ。
やめよ。とりあえず今は鍛錬あるのみだ。
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やばい、やってしまった。試しに上級魔法を使ったら、窓を壊してしまった。そういえば、壁の強化はしていたけど、窓にはしていなかった事を思い出す。すぐにメーナさんが駆け込んできた。彼女は僕の世話役かなんかなのか?いっつも僕の側にいるけど。
「何事ですか!?」
メーナさんは今日も可愛いなぁ。なんて現実逃避をしてる場合では無い。僕の目の前には床から飛び出た大きく、鋭い石の棘が壁に突き刺さり、窓を突き破っているという光景がそれを思い知らせてくる。
「これは・・・石棘?まさか、この歳で上級魔法を?」
メーナさんが驚いている。しかし、その事を誇る気にはなれず、(喋れないしね。)ただ、その場を沈黙が支配する。その沈黙を破ったのは、僕でもメーナさんでも無い、アナさんだった。
「今の音は何!?」
へやに飛び込んできて、その言葉を言う。そりゃそうか。窓が割れる音と、上級魔法の攻撃が壁に当たった音は、言葉で表すなら
ズガシャバリィイドゴォ!!!
って感じだったから。しばらくして、城の衛兵もやってくる。
「こ、これは・・・」
衛兵が何か言う前に、アナさんが言葉を被せる。ちなみに、衛兵の平均Lvは50だった。この世界では、40Lvを超えると、充分強者の資格があるらしい。
「すごいわ!流石私とあの人の息子ね!この歳で上級魔法を使えるなんて!今すぐシスカを呼びなさい!」
「いくら女王様と言えど、あの方を敬称なしでお呼びするのは如何なものかと・・・」
女王が敬称つけて呼ばなきゃいけないって、そんな人がいるのか?と思っていると、噂をすればなんとやら。そのシスカと呼ばれる人物がやって来た。見たこと無いのになぜわかるかというと、アナさんが
「あ、呼びに行く必要は無かったみたいね」
と言ったからだ。当の本人は、部屋に入って来ると、
「はぁ、なんですかこれは。とりあえず寒いから直しましょうよ。・・・時を司る神ティーダに我、シスカ=メタトロンが乞い願う。否定されるべき現状を、あるべきでは無いこの時を。世界の理を超え、哀れな迷える子羊たちに慈悲深きその御力を示し、時を巻き戻し給え。<逆再生>」
なんかやたら長い詠唱をした。すると、壊れた窓や隆起した床が、ビデオを逆再生したみたいに元に戻っていく。これってかなりすごい魔法じゃないか?すげー!
「ばぶー!あーばー!」
はしゃぐ僕。ってちょっと待て。今『メタトロン』って言った?まさか天使とかじゃないよね?
「こ、これが天使メタトロンの子孫の力か!」
あぁ。なんだ、メタトロンの子孫のかー。そうなのかー。へー。えぇええええ!!??マジで!?メタトロンの子孫!?天使って子孫残せたの!?あ、メタトロンは人間から天使に昇格したんだった。だからかな。
シスカさんは、20歳くらいの美人。髪は黒で後ろに三つ編みにしている。ジト目で表情がない。肌の色がとても白い。雪みたいだ。身長は160センチほど。いかにもって感じの黒いローブを着ている。この人が、僕の後の魔法の師匠となる人物だ。しかし、最初は思いもしなかった。まさかあんなことになるなんて・・・
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