第4話 お祭り
はぁ、外に出たく無い。
朝になった。この気温と太陽の登り方からして、今の季節は春っぽい。春、それは、出会いと別れの季節。また、新しい生命が芽吹く時期でもある。そう、出会いがあれば、別れもあるのだ。僕がいた前の世界では、幼稚園の頃から一緒だった親友と、小学校を卒業すると同時に、僕が引越しをしたせいで同じ中学校に行けなかった。今でも覚えている。とても嫌だった。親を恨んだりもした。中学校で友達ができなくて、さらにゲームにのめり込んだ。勉強が嫌いで、成績は悪かった。マクド◯ルドでいちゃつくリア充爆散しろ。とツイッターでつぶやいたこともあった。だけど、ゲームやアニメ、ラノベがあったから、毎日が楽しかった。
気づくと、目から汗が流れていた。汗だ。涙ではない。決して。
ふと、視線を落とす。そこには、小さな赤ちゃんの手があった。そうだ、僕は転生したんだ。これから頑張れないいんだ。それにはまず、魔法の勉強だな。今誰も人いないから、本読めるよね。
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・・・あー疲れた。1時間くらい経っただろうか。外が騒がしくなってくる。
今日分かったことは結構あるな。ちょっとまとめる。
⚪︎『魔石』と呼ばれるものに魔法と魔力を込めて、1回使い切りの魔法を使うものだった。発動スピードが、発動のキーワードを言うだけなので、とても早く行える。魔石の質が良ければ、より強い魔法、魔力を込められる。欠点は、一回しか使えないのと、作るには<魔法付与>というスキルが必要だから、大量生産が出来ない事だ。
⚪︎武器や盾、というか魔石以外の全ての物に、魔法付与を行える。これは、魔力は貯められない。長所は、何回でも使える事と、使う獲物に魔力を通せば、込められている魔法の名前を言うだけで、その魔法を使えるので素早く使えるという事だ。短所は、強い魔法は(属性魔法で言う上級)、聖剣など、魔力が貯められる武器やアイテムにしか付与できないし、魔力をコントロール出来ないと使えない。この2つだ。
ちなみに、魔石は、魔法を1つしか付与できない。が、それ以外の物なら、かなりの技術者や、付与する物の耐久度が高ければ、2つ以上もいけるらしい。
⚪︎かなり難しいらしいが、人や魔力が篭った物を媒体とし、魔力をその物から使い、魔法は自分のものを使う方法。これは自分の自分の魔力は消費しないが、魔力の操作を呼吸をするように自然に、行えるようにならなければできない超高等テクニックだ。しかも、直接触れていなければ使えない。
⚪︎そして、その逆もある。妖精や天使、悪魔等の半霊体の存在を使役し、魔力を渡して魔法を使わせるというもの。これは、まとめて<精霊魔法>と呼ばれる。しかし、まずそれらの半霊体に気に入られなければ、使役すらできない。基本的に半霊体は強い魔力を好むらしい。これは魔力を食事にして生きているからだ。
これで全部かな。この中で気になるのは、精霊魔法と魔力付与だね。なんか精霊魔法とか使ってたら「な、なんだと!?貴様、なぜ精霊魔法を使える!?」とか言われたりして楽しそう。なんか半霊体だけが使える魔法とかありそうだし。
魔力付与はな〜・・・やってみたいけど、まず、スキルを覚えないといけないし。優先度は低いな。
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勉強も終わり、簡単な魔法を練習していると、ドアノブを回す音が聞こえた。僕はすぐに足に魔力を集中させ、ジャンプでベットに戻ろうとしたんだけど・・・まだあんま練習してないから、案の定失敗して魔力はうまく集まらなかった。すぐにメイドさんが入ってきてしまう。15歳くらいで、美人さんだ。髪は茶髪でショートカット。
「そろそろパレードが始まります。行きますよ。」
床にいる僕を、ヒョイ と、持ち上げてベッドに戻し、それを押して廊下に出た。え、この柵付きベッドって動かせたんだ。ついでにメイドさんのステータスを見ておく。それにしても、なんでここにいる人達は、赤ちゃんである僕に話しかけるんだろう?
メーナ=スフレ
Lv45 年齢:16
クラス:
メイド
魔法盾戦士
体力:1960/1960
魔力:957/957
筋力:17
素早さ:25
初号スキル
貴族の娘・守護者
スキル
魔法威力上昇Lv2
剣Lv5
盾Lv6
礼儀作法Lv6
無表情Lv2
言語理解Lv8
成長補正/小Lv6
魔法
属性魔法
石弾
石矢
泥弾
石矢
石壁
水晶盾
水晶雨
系統外魔法
探知
子守唄
[メーナの人生]
お、おう・・・この世界の基準は分かんないけど、メイドって戦えるの?なんか急にこのメイドさんがとても頼もしく見えてきた。
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しばらく進むと、急にベッドが止まった。自分で言っててなんだけど「ベッドが止まった」なんて言ってちょっとアホらしくなった。メーナさんが誰かに話しかける。
「重力移動版をお願いします」
「分かりました。後についてきて下さい」
もう1人の女の人の声が聞こえる。しかしベッドに寝っ転がっているこの体勢からじゃ、顔が見えない!どうにかして見ようと試みるが、あえなく失敗。またもベッドは動き出し、廊下の突き当たりで止まる。そこには、床から天井まで伸びる円形の筒があった。そしてそのまま中に入っていく。中には、直径6m程の円盤があり、何やら紋様が刻まれている。
「重力反転」
なんか女のの人が魔法名的なのを言うと、下から光が発せられ、円盤が上昇し始めた。ふと上を見ると、筒は結構な高さまで繋がっていた。
20秒程の経っただろうか、円盤が止まった。メーナさんはベッドを押して、前へ進んでいく。なんだか人の、それも大勢の喋り越えが聞こえる。何を言ってるかはわからんけど。ドアを開くとそこにはーーーー
ーーーー父様とアナさん、3人の姉、そして、城の前にある広場を埋め尽くす、大勢の人々がいた。父様が、ベッドを押してやって来たメーナさんに気づき、ベッドはの中からそっと、僕を取り出す。メーナさんは、静かに柵付きベッドを押して、その場から去って行った。・・・部屋に戻る時どうするんだろう?
メーアさんがいなくなると、父様は前に進み出る。何をするんだ?僕をだ!抱きかかえる父様を、下から見上げる。何も心配は要らないよ。みたいな顔で、ニッコリ微笑まれた。あらやだイケメン。ケツの穴くらいならいくらでもあげちゃう!そんな性癖は無いからしないけど。
「静まれ!」
そう言うと、騒めきわ一瞬で引いた。おそらく父様も先導者スキルを持ってんだろうな。
ちょっと!危ないから僕を上に掲げないで!
「この子は、ドミニオン王国15代目国王である、私の息子だ!名はオルカ!ドミニオン王国は、今年、設立から丁度1000年の節目の年だ!この記念すべき時に、長男であり時期国王でもあるオルカが生まれたのは、めでたいことである!よって、今日は祭りだ!仕事なんかしてないで、飲んで歌って、おどりくるえ!」
「「「うぉおおおおおおおお!!!」」」
そう言った父様は、キラキラしていて、とても生き生きしていた。あらやだイケ(中略)しかし、先導者ってコワイ・・・洗脳とかも簡単にできちゃうじゃん。それ以外にも、父様から溢れ出るカリスマ性が、他の人を魅了しているんだろうけど。
でも、国王が国民に仕事するな。なんて言ってもいいのかなぁ?
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その後、城の大広間で立食会が開かれた。僕の家族の元には、引っ切り無しに貴族や商人がやって来る。僕は母様に抱かれて満足してる。なぜなら、大きくて柔らかい2つの山が、ずっと右腕に押し当てられているからなんだ。素晴らしきかな。おっぱいの力は異世界に来ても偉大だ。
「いやぁ、実にめでたい。しかし、なぜ当日に祝わなかったのですか?」
「そ、それはだな・・・夜に産まれたから出来なかったのだ!」
おいおい、そこの嘘つきさんよぉ。嘘はよくねえぜ、早く本当の事を言っちまいな。楽になるぜ?
「まぁ、なんて可愛らしいんでしょう!お父様譲りの金髪に、深みを帯びた母様の碧眼がとても合っていますわ!」
「でしょう?だって、あの人と私の息子だもの!」
結構な時間が経った。メイドさん達も食事の片づけを始める。
「本日はありがとうございました。夜にはダンスパーティーが開かれるので、この招待状を持って、城正門の衛兵に見せてください。場所は、ここと同じ大広間です。軽い食事なども出ます。時間は夜の7時ですよ。参加したいという方は、お帰りの際に、廊下の両端に並ぶ使用人からお受け取りください。1人2枚までです。それでは御機嫌よう」
アナさんがステージから降りて、父様から僕を奪い取った。
「もうこの子はお昼寝の時間よ?私はこの子を寝かせてから後で追いつくわ」
父様は少ししょぼんとしながら
「分かった」
と、一言だけ言うと、姉と護衛を連れてどこかに行ってしまった。
てか、僕の出番はもう無いらしい。主役なのに!部屋まで戻ると、僕は寝たふりをする。
「ふふふ。よっぽど疲れたのね。お休みなさい。」
コツコツコツ ガチャッ バタン
もう行ったかな。僕は部屋から出て、廊下を確認する。よし、誰もいない。僕は、ベッドの布団と布団の間から、魔法の書を取り出す。早速魔法の練習だ。まずは初級魔法を全制覇しちゃいますか。
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