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図書館には魔女がいる(仮)  作者: 春紫苑
新聞部のポルターガイスト
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新聞部のポルターガイスト(中編)

俺と近藤は早弁して昼休みの開始とともに図書館棟に直行する。

道すがら件の人物について聞いてみる。


「近藤、その"図書館の魔女"ってどんな子?」

「名前は中林 琳。地味な感じで、眼鏡かけてて中肉中背。言っちゃ悪いが、特徴ないのが特徴みたいな女子だな」

「どうやって探すんだよ?」

「図書館棟に入っていくのは見ても、中では見かけないってことは普通じゃないところにいるんじゃね?」


俺たちはおよそ人の居なさそうなところを中心に見て回ったがそれらしき人物は見つからない。

人気のない世界名作文学全集の棚の前で途方にくれていると急に近藤がしゃっくりし始めた。


「近藤、水飲んでくれば?」

「しゃっくりしてるの僕じゃないよ」

「「…」」


周りに人がいないはずのにしゃっくりしている人がいる。

どこかに人が隠れられる隙間が有るはずだと思って書架の配置を見回す。


窓際のスチーム、柱を囲むようにコの字型に配置された書架。

あんまり誉められた行為じゃないが、スチームの上を通り抜ければ、かろうじて隠れられる程度の隙間が有るはずだ。


チ「書架」文

|  柱 学

ム「書架」集


スチーム側から覗くと、案の定、人がいた。


「"図書館の魔女"こと中林さんですよね?」

「…はぁ。確かに中林ですよ。何かご用ですか?」

いやそーな返事が聞こえた。


押し問答の末、結局、ここの隙間の件を黙ってることと一件が片付いたら関わらないことを条件に相談に乗ってくれることになった。


隙間から出てきた中林(まどろっこしいから呼び捨てろとのこと)に先日新聞部で起きたことを掻い摘まんで説明した。


「幽霊の仕業じゃないかと一部の女子が騒いでいるんだ」

「ポルターガイスト現象だと思ってるということですか…」

「風もないのに急に窓が揺れ始める理由が他に思いつかない」

「まあ、新聞部の部室は3階ですから外からちょっかいを出されたとは考えにくいですよね」

「何とかならないか?女子の中には部室が怖いって子もいて困ってるんだ」

「現場を見ないことにはなんとも。取り敢えず放課後にでも行ってみましょう」


ーーーーーー


 放課後新聞部の部室で待っていると、約束通り中林が現れた。

朝、近藤が言っていたように内部生には有名なようで「あっ」という反応をしているのがちらほら。


部長や先輩には先日のポルターガイスト現象?の検証を依頼した旨を伝えてある。

余談だが、「もし幽霊だったら除霊してくれるよう話をつけてくれ」と怖がりな部長から懇願された。


「取り敢えずひとつづつ可能性をつぶしていきましょう。」


仮説1:風が吹いていた


そのとき窓が開いていたので無風だったことは間違いない。


仮説2:地震があった


揺れを感じたものはいなかった。

また気象庁等のデータに該当するものがない。


仮説3:外部からのイタズラ


3階であることを考えると難しいか?

窓自体に何ら細工の痕跡はない。


仮説4:気のせい


「その時部室にいた全員が窓がガタガタする音を聞いてるからそれはちょっと…」

「それにあの時女性の声が聞こえたよな」


新聞部一同口々に「気のせい説」を否定する。


ーぁぁ…


「そう今の声!」


すると先日同様空気が変わり窓がガタガタ言い始める。


「ほら、気のせいなんかじゃなかっただろ!」


中林は窓に近寄っていく。


「さっき窓に細工がないのは調べただろ?」


中林はこちらに背を向けて揺れている窓の方を向いているだけで返事はない。


部室に窓がガタガタする音と川の流れる音だけが響く。


「(図書館の魔女っていっても大したことねーな」

「思考が声に出てますよ。後にも先にもそのように自称したことはありませんが?ただ原因については検討がつきました」

「え、今のでか?やっぱりなにかいるのか?!」

「それでは今回の騒動の首魁に会いに行きましょうか?」

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