表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第三話

第三話


 メドゥーサを退治し、おまけに天馬ペガサスまで手に入れた勇者ペルセウス。

 意気揚々と帰途につきます。

 そんな中、彼の耳に何者かの悲鳴が?

「あーぁ、れーぇ」

 こんな一昔前の悲鳴では緊迫感もございませんが、ペルセウスの目に映ったモノは岩礁に鎖でくくられた美女。何やら一大事なようです。

 ペルセウスは当然、美女を助けに向かいます。ところが、天馬ペガサス、急にヒヒーンと叫んで急停止。

 野生の勘が危機を伝えています。

 ペルセウスも身の危険を感じています。高揚感が今は一変して、緊張状態、いえ、恐慌状態でしょうか?

 大地が震えています。波も大荒れです。天も哭いています。

 そして、海から現れる巨大な黒い影。重低音の咆哮を上げ、姿を現したそれは・・・・。

 ゴジラ?

いえ、クジラでございます。ギリシャ神話の設定ではクジラとなっております。と言っても、海のクジラが陸に上がって美女を襲うのは考えがたいので、ここは怪獣のイメージで見てもらった方が分かりやすいでしょうか。

 いずれにしろ、美女の大ピンチ。ここは勇者ペルセウス、男を見せなければなりません。

 剣を構え、ペルセウス、クジラに立ち向かいます。

 怪物メドゥーサの首を落とした剣、エイヤと振るったのはよかったのですが、クジラの巨体では蚊に刺された程度のダメージしか与えられません。

 それでも、ペルセウス、果敢に立ち向かっていきます。

 さらに一撃、背後に回って、もう一撃、少しでも体の柔らかそうなところを狙っても、全く効果はないようです。やはり、圧倒的な体格差、お話にもなりません。

「なんて奴だ!でも、僕は諦めない!彼女を助けるんだ!」

 意気込みだけは少年漫画の主人公のようですが、息も段々と上がっています。そんなとき、ペルセウス、あるものに気が付きます。

 それは、先ほど倒した怪物メドゥーサの首。この怪物の魔力を使えば、勝機はあるのでは?そう考えたわけでございます。

 ペルセウス、腰につけたメドゥーサの首を掲げ、その瞳を開き、クジラに向けます。

 クジラは王子様でないからか、メドゥーサも遠慮はしません。

 開かれた瞳から発する光はクジラを一瞬のうちに石に変えてしまいます。

 まさに恐るべきメドゥーサの魔力。クジラもイチコロでございます。

 ただ、危ないので、仕事が済んだら、メドゥーサの瞳は強制的に閉じられます。本当に都合がいい女になってしまったようです。

 そして、人の力に頼りながらも、ちゃっかり自分の手柄のように勝利の雄叫びを上げたペルセウス。早速、岩礁に縛り付けられた麗しの姫君の元に降ります。

 姫君、突如現れた救世主にすっかり心を奪われています。

 それはペルセウスも同じこと。すっかり二人はフォーリンラブになってしまったようです。

「あなたは何故、こんなところに縛られていたのですか?」とペルセウス。

「私はクジラに生贄として差し出される運命だったのでございます」と姫君。

 本当に都合よすぎるだろうという展開だったようです。

「私はペルセウスです。あなたのお名前をお聞かせください」

「私はアンドロメダです」

 二人はお互い名乗ります。これぞ、ギリシャ神話で有名なエピソード、生贄にされたアンドロメダをペルセウスが救う名シーンだったわけでございます。

 こうして、二人は天馬ペガサスに乗り、その場を後にします。二人の未来は明るく照らされている。そんなことを告げるかのように曇天の空から陽の光が差し込んでいました。

 ただし、ここでも哀れ過ぎるのがメドゥーサ。

本来なら、自分がアンドロメダの役をやるはずなのに、と口惜しいでございましょう。

 これ、現代の状況で考えますと、DV彼氏に散々尽くし、高級車まで買ってあげたのに、彼氏の方は、ナンパした女と二人仲良くドライブ。そんなところでございましょう。

 哀れ、メドゥーサ。その運命は如何に?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ