君と出会ったあの日を。
こちらは花氷ノ檻の短編となります。誰のものかは花氷ノ檻をお楽しみになりながらご推察頂けますと幸いです。
君がいない世界なんて、考えたくないんだ。
僕が君と出会ったのはただの偶然だったけど。
でも、僕は。
僕は――
僕にそんな風に笑いかけてくれるのは、君が初めてだった。
もちろん、判ってたよ。
それが別に、僕に向けられた笑顔じゃないってことくらいは。
でもそれでも縋りついてしまうほど、僕はぬくもりに飢えていたから。
だからきっと、僕は間違えた。
君が泣いてる。
君が叫んでる。
そんな姿を見て、僕はまた、君に笑いかけるんだ。
怖いことでもあった?
僕がいるよ、安心して。
ここにいるのは僕たちだけだから、怖がらなくてもいいんだよ。
彼女が怯えているのは、他ならぬ僕自身だというのに。
そうして僕は繰り返す。
狂って壊れた、歪な世界を。