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ふたりの関係

作者: シュウ

いてもいなくてもいい存在。でもいないとさみしい存在。

いつも一緒にいる存在。でもいないと物足りない存在。

時々勘違いされる存在。でも特に何も無い存在。


俺と葉月はそーゆー関係だ。

いつも一緒にいるけど、俺も…まぁ葉月のことは葉月にしかわかんないから、俺からは何とも言えないけど、俺も葉月もお互いをそういう目で見たことはない。

小さい頃からの幼馴染で、親同士も仲が良く、家族ぐるみの付き合いだった。

小学校に上がってからもその関係は変わらず、中学生になっても、同じ高校に通い始めても変わらなかった。

葉月はモテていた。

よく見れば可愛いんだろうけど、小さい頃から葉月を見ている自分としては、特に何も思わなかった。それならまだ隣のクラスの宇ノ宮さんのほうが綺麗で良いと思う。

だから別に葉月に彼氏が出来てもいいと思ってる。

でも葉月は彼氏を作ったことがない。

なぜなら葉月には俺がいるからだ。自惚れではなく、葉月の言葉だ。


「彼氏、とかよくわかんないかな。男友達の延長って言うんなら、みーちゃんがいるし」


葉月は俺のことを『みーちゃん』と呼んでいる。

幼馴染みであり親友であり友達であり家族みたいな存在であり、一番身近にいる存在。

それが俺にとっての葉月であり、葉月にとっての俺だ。

だから俺も彼女が欲しいと思ったことはないし、葉月も彼氏が欲しいと思ったことはない、らしい。

恋人が全てなわけじゃなくて、男女の仲としては、こーゆー関係もあるんだ。

『友達以上』が全て恋人になるわけでもない。

俺と葉月からしてみれば『友達以上』の関係が今の関係だ。


一緒にいないと落ち着かないわけじゃないんだけど、なんか物足りない感じはする。

無性に会いたくなる時があるんだ。

今日の夜だってなんとなく会いたいと思っていた。そう思っていたら葉月から電話が来た。

それには出ずに、部屋の窓を開ける。葉月の部屋は窓を開けて目の前にある。

開けると、葉月も窓を開けてこちらを見ていた。


「やっほー」

「おう。俺もちょうど連絡しようと思ってたとこ」

「ホント私たち、双子みたいだね」

「昔からだろ」


二人でハハハ、と迷惑にならないくらいの大きさで小さく笑う。


「今何してたの?」

「本読んでた。葉月は?」

「ぬいぐるみをギューッてしてゴロゴロしてた」

「くまのぬいぐるみ?」

「うん。私の相棒」


葉月の部屋にはぬいぐるみがいくつかあって、その一つに茶色の少し大きめのくまのぬいぐるみがある。それを葉月は『相棒』と呼んでいる。名前の由来はわからない。なんとなくつけたらしいが、葉月らしいと言えば葉月らしい。


「何の本読んでたの?」

「推理小説」

「あら。邪魔しちゃった?」

「小説なんだから待っててくれるよ。葉月も本読めばいいのに」

「読みたい本がないんだもん。みーちゃんみたいに同じ本を何回も読み返すなんて私にはできないもん」

「そうか? 面白いのは何回読んでも面白いぞ?」

「この変人ー」


こうして他愛もない話で夜が更けていく。



「あーそろそろ寝るかな」

「明日部活だっけ?」

「明日はトレーニングだけ。顧問の先生もいないし、体育館の割り振りも無いからすぐ終わるかな」

「そっか。じゃあまた教室で待ってるね」

「おう。じゃあおやすみ」

「おやすみ。あっ、明日は遅刻しないようにね。漫画みたいに起こしにいかないからね」

「そんなことされなくても母さんが起こしにくるっての」

「アハハ。おばさんすげー」

「すごくねーよ。俺だってちゃんと起きるっての」

「せいぜい頑張りたまへ」

「『へ』って言うな」

「ハハハ。じゃあね。おやすみー」

「おやすみ」


窓を閉めて、互いに寝ることにした。



そして翌日の放課後。


バスケ部に入っている俺は、トレーニングが終わってから他の部員と別れて教室へと戻ってきた。

中には、椅子に座って外をボケーっと見ている葉月がいた。

そんな葉月に声をかける。


「お待たせ。帰るか」

「おっ! 意外と早かったね」

「あんまり待たせるのもアレだろ」

「もしかして…サボった?」

「そんな馬鹿な。真面目にやってきたっての。暗くなってきたんだから教室の電気ぐらいつけろよ」

「えー。この暗さがなんか青春してる感じがしていいのにー」

「はいはい。ほら、帰るぞ」

「はーい」


椅子を片付けてピョンピョンと俺の隣に並んでくる。

そして二人で暗くなってきた廊下を並んで歩いた。

特に特別な光景じゃなくて、一緒に帰れるときは一緒に帰っているというだけ。いつも通りだ。

玄関に来たとき、バスケ部のまだ残っていた友達に会った。


「おー。じゃあまた明日なー」

「あ、光希(みつき)

「ん?」


靴を取ろうとした時に呼び止められた。


「前から聞きたかったんだけどさ、二人って付き合ってんの?」


その言葉に俺と葉月が顔を見合わせる。

そして同時に言う。


「付き合ってない」「付き合ってないよ」


どこか苦笑を浮かべる友達に別れを告げて帰ることにした。


「……」

「……」

「…付き合ってないよな?」

「…だよね。よかった。もし付き合ってる気になられてたらどうしようかと思った」

「俺付き合うとかよくわかんないし」

「私もー」


そして二人でアハハーと笑い合う。


「あっ! 今日、うちの夜ごはん、カレーだよ」

「なんだと? うちなんか肉じゃがと春巻きだぞ。どーゆー組み合わせだよ」

「おばさんらしいじゃん」

「もう葉月んちで飯食うかな」

「じゃあ私はみーちゃんの家でご飯食べよーっと」

「交換留学みたいな感じだな」

「よし。帰ったらお母さんに言ってみよっと」


そんなことを言う葉月と並んで歩く放課後の帰り道。

今日も夕日を背に受けて、まるで兄妹のように姉弟のように友達のように親友のように幼馴染みのように帰るのだった。


そんな俺たちは絶対に付き合ってはいない。

それだけは断言できる。



おしまい。

妄☆想☆全☆開


というわけで、夜中に思いついたので描きました。

後悔はしてません。いつものことです。

こんな女友達が欲しいです。

でもきっと10年後にお見合いの話とか来て、なんやかんやで結婚とかするんだろーなーこいつら。

「ほかのやつと結婚するくらいならお前と結婚するわ」

「私もー」

そんな感じで結婚か。

くそ。なんか自分で書いたキャラだけど憎たらしいわ。


これ以上はまずい。

評価して感想書いてくれたら嬉しいです。


ではでは。

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