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パート51

「……幸」

「…………」

 ようやく、飛んでくる鉄くずを避けながら幸の元にたどり着くことが出来た。避けながらと言っても、実際はそこまで苦労はしなかった。何故か飛んでくる鉄くずの方から俺の事を避けるように飛んできたから。

 それはともかくとして……さっきまで泣きながら怒っていた幸だったけど、今は落ち着いたのかただ俯いているだけだった。

 それを見た俺は、安心して逆にため息が出た。

「まったく。俺だけじゃなくて皆にも心配掛けやがって。後で皆にごめんなさいだな」

「…………」

「せっかく真里菜から貰った服もあちこち汚してるし……。次は、真里菜のおさがりじゃなくてどっかアパートなんかに行って、新しい服でも見てみるか」

「…………」

「他には……そうだ。菊恵先輩からケーキの作り方でも教えてもらって、家でもシュプランのケーキが作れるかどうか試してみるか。そうすればいつでもケーキ食べられるし、お金も少し浮くだろうし」

「…………」

「考えると結構思いつくなー。あとは商店街をまた回ってみるか。まだ詳しくは見てないだろうし、意外と掘り出し物とかも多いからな」

「…………」

「幸はどうだ? 何かしてみたいこととかあるか?」

「………………(……どう、して)」

「うん?」

「…………(どうして、逃げてくれないんですか)」

 頭の中に響く幸の声。さっきまでこの場にいたはずの五島さんから言えば、不幸を溜めこんで生まれた能力の一つ、テレパシー。

 けど、これは幸の本心でもあるはずだ。

「なんで逃げないといけないんだ?」

「…………!(決まっています!)」

 もう泣き止んだかと思ったその目から再び涙が流れだし、顔を上げて俺を睨んできた。

「…………!(こんな……こんな普通じゃない人がいたら、普通は驚きます! 驚いて、怖くなって、巻き込まれたくなくて、逃げるんです! なのに……なんで!)」

「それはつまり、俺が普通じゃないって事になるんだろうな」

「――――」

 事実、俺は自分で言うのもあれだけれど普通じゃない。不幸体質でよく不幸な目に遭うし、小さいときには幽霊にだって会った思い出がある。

 だから始めて幸が俺にテレパシーを使ってきたとき、俺はそこまで驚くことはなかったんだろう。かなり昔から、理屈なんか考えないで実際に起こってしまう事は全部信じてることにしている。

「………………(……幸一さんは、優しすぎます)」

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