パート41
「幸ちゃーん!」
「……………いない」
「見つからんどす。どこまで行ったのか……」
三手に分かれて探すことになり、私は斎京先輩と京香ちゃんと一緒に探すことになった。
洋介は商店街の方に探しに行くことになり、幸一は一人で探すことになった。
誰がどこに探しに行くとき。誰よりも幸ちゃんのことを心配していたのは、当然のことかもしれないけど幸一だった。
本来なら二人ペアになって探そうとしたのだけど、洋介は考えがあるのか一人で商店街の方に行き、幸一も焦っていたのか洋介が商店街の方に行くと聞いたとたんに、勝手に一人で行ってしまった。
「……なんか、やだな」
幸一は、幸ちゃんが来てからどことなく変わってしまった気がする。
今までは洋介と幸一の三人でずっと過ごしてきて、ただそれだけの日常だった。可笑しなことはどこにもないし、でもただ楽しかった。
けれど、幸ちゃんと出会ってからその日常が徐々に壊れてきてる気がする。
もちろんそれは幸ちゃんのせい、とかそういうのじゃない。あたしだって幸ちゃんのことは可愛いと思ってるし、好きだ。
好きだけど……。
「……………」
それでも心の奥どこかで、幸ちゃんのことを認めていない自分がいた。
いや、違う、認めてないんじゃない。
幸一の傍にずっといる幸ちゃんに、嫉妬しているだけだ。
いつまで経っても素直になれない自分に苛ついて、幸一の傍にいることが出来る幸ちゃんに嫉妬して。そんな自分にまた苛ついて。
「……嫌な、女だなぁ。あたし」
「そんな事、あらへんよ?」
「わふゃっ!?」
いきなり後ろから言われて、つい変な声を出してしまった。
「今の真里菜はんは、女の子なら誰でも通る道どす。むしろ、そんなことを思わない女の子なんていないどすえ?」
「そ、そうですか?」
「真里菜はんも顔にモロ出るタイプどすなぁ。そんなんだと、幸一はんにバレてしまうどすえ?」
「そ、それは……!?」
「……今は、幸はんを探すのが優先どす。乙女の悩みは、そのあとでじっくりと考えた方が、自分の気持ちも整理出来るどす」
斎京先輩はそれだけ言うと、再び幸ちゃんを探しに大声を出し始めた。
「……………」
「…………真里菜お姉ちゃん、真っ赤」
「き、京香!? べ、別になんでもないからね!?」
「…………ん、知ってる」
京香にそう言って、落ち着くために大きく深呼吸を――。
「…………真里菜お姉ちゃんが、幸一のこと好きなの」
「ぶっ!?」
出来なかった。むしろ逆効果だった。
「私も、幸一のこと好きだから」
今日はそれだけ言うと、斎京先輩の後を追うかのように走って行った。その場にはあたし一人だけが残されて、手鏡を出して自分の顔を見てみると、京香に指摘された通り顔を真っ赤にしている自分の姿があった。
「……はぁー。ライバル、多いなぁ……」
けれど、それだけいろんな人から愛されているということなんだろう。
こんな非常事態というのに、こんな告白は卑怯だよ。京香。
「……でも、あたしだって負けてられないんだから」
両頬を思いっきり叩いて気合を入れなおすと、ケータイが震えた。見てみると、洋介からだった。
『幸ちゃんの居場所が分かった! 場所はこの町にある――』




