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パート35

「…………最後の最後まで、気づいて貰えないなんて思ってなかった」

「あーうん、ホントすまん」

「一瞬でも淡い期待持った俺が馬鹿だったよ」

「今回ばかりは俺が悪かったよ」

「そう思うなら、幸ちゃんを俺に――」

「お、見てみろ幸。夕焼けが奇麗だぞ」

「人の話聞けよ!」

 公園で思いつく限りの遊びをして、途中で真里菜が作ってきてくれた昼飯と菊恵先輩が持ってきてくれたシュプラン特製のプリンを食べ、日が暮れてきた時にそろそろ帰るかとなった時。俺達は一番最初にしたかくれんぼからずっと隠れていた洋介の事に気づき、それと同時に洋介が涙目になりながら戻ってきた所だった。

「まったく……。というか、気付かなかったの?」

「ああ」

「…………一番高い木の一番上にいたから、ある意味当然」

「そうどすなぁ。ようそんなとこまで登ったもんどす」

「その力が、他の事に活用出来たらいいんだけどな……。これが宝の持ち腐れってやつか」

「おい幸一。お前だけ酷い事いってないか?」

「え、何がだ?」

「自覚なしかよ!?」

 そんなふざけ合いながら帰っていると、隣にいた幸が少しふらふらになりながら歩いているのに気付いた。

「幸、大丈夫か? 少しはしゃぎすぎたのか?」

「………………(……え、あ、はい。幸は大丈夫です)」

「でもふらふらよね。幸一におぶってもらう?」

「いや、ここは俺に任せろ!」

「そうだな。アパートまでまだ結構遠いし、遠慮しなくていいんだぞ? 俺は結構休んでたから、体力ならまだあるし」

「………………幸一、私も疲れた」

「いや、お前は対して動いてなかっただろ」

「荷物なら私も持ってあげるから」

「……え、俺皆から無視されてね? されてね?」

 うるさい洋介の事は無視しておいて、幸に訪ねてみたけれど幸は首をフルフルと横に振った。

「…………(幸は本当に大丈夫です。ほら、まだ走る事だって出来ますよ)」

 そう言いながらそこまで早くない早さで走り出す幸。その様子を見て微笑ましかったけれど……。

(……なんだ? この胸のもやもやは……)

 俺は妙な違和感を感じていた。

 かなり前に、何回かこのもやもやを感じた事はあった。確かあの時は俺がまだ家族で暮らしていたときで……!

「幸! それ以上そっちに行くな!」

「幸一?」

 急いで荷物を放り投げて幸の元に走り出す。

 思いだした。確かあの時はこのもやもやを感じたその後に、飛び出してきた車に撥ねられて大怪我を負ったんだった。

 そして幸が走ったその先には道路があったはず。どうか俺の思い過ごしであってほしいが……!

 ププー!

 幸が立ち止まったその横から車の音が聞こえてきた。幸を守る事は出来ても、さすがにきついか。

 覚悟を決めて、幸の体を道路の向こう側に押す。これで幸はなんとか助かるだろうけど……。

「まあこうなるよな……」

 目の前には、もう目前にまでに迫っている車があった。

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