パート?(2)
「ねえ、幸はどこに住んでるの?」
どうして自分だけ、こんな目に遭うんだろうか。
そんな事を思い続けていた日々。
自分のせいで周りにも不幸が訪れて、一人で過ごしたいと願い続けていたのに幸と出会ってしまった。
けれど誰かと話すのは久しぶりすぎて、二人でブランコに座りながら俺は聞いていた。
「私はね……ここから離れてる、とおーい建物に住んでるの」
「へー。そこってどんな所?」
「私みたいな子がたくさんいて……正直、あそこに帰りたく、ない」
「幸も、僕と同じなんだ……」
「どういうこと?」
俺の話に興味が沸いたのか、幸はブランコを漕ぐのをやめて俺の方を向いた。
「実はさ……僕って、歩いてるだけで不幸な目に遭うんだ。今日も家で、ジュースを入れたコップを持ちながら歩いてたら躓いて、お母さんにかかっちゃって……。でもこれが今日が初めてじゃないんだ。昨日も、その前も、数え切れないくらいに」
「…………」
「でもこんなの、まだ軽い方でね。自分でも思いだしたくないくらい酷い事もあってさ……。こんなんじゃ家にいたら迷惑になるから、中学になったらアパートの部屋借りて、一人暮らしする事にしたんだ」
「それって、両親の人は許してくれてるの?」
「うん。うちの親結構、ノーテンキだからさ。むしろ子供は早めに一人立ちするものだーとか言ってる」
「へ、へえ。なんか凄いね……」
「まあね。だから、迷惑かけたくないんだけど……はあ」
すると幸はブランコから降りて、ため息をつく俺の傍にやってきた。
「ため息つくと、幸せ逃げるよ」
「多分、とっくに無くなってるよ」
「なら、私との出会いも不幸のせい?」
「え……あ、いや、それは違うよ!」
顔を真っ赤にさせながら慌ててそう言うと幸はふふふ、と笑っていた。
「あ……」
突然一羽のカラスがやってきて、幸の腕に止まった。幸はまるで話を聞いてるかのように、じっとカラスの鳴き声を聞いていると……。
「……もう、時間なんだ」
「え?」
「ごめん幸一君。私、もう戻らないといけないみたい」
カラスを空に飛ばすと、幸はそう呟いた。
「さっき言ってた、家に?」
「うーん……家っていうよりは施設、かな?」
「でも、帰りたくないんじゃ……」
「そうだけど、でもあそこには仲間がたくさんいるから」
少し悲しそうな顔で帰ろうとするを見て、俺は不安になりながらも尋ねた。
「また……会える?」
「多分、また会えると思うよ。その時はたくさんのカラスを連れてくるから」
「カラス?」
「うん。だって――」
――カラスは、私の友達だから。




