表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/61

パート10

 怒っていてあんまり手加減をしていなかったからか、俺はそのまま吹き飛ばされてしまった。

 その時に、吹き飛んだ方向が悪くて幸まで巻き込んでしまった。

「い、って……。わ、悪い幸、大丈夫か?」

「…………(うん、平気)」

 こくん。

 思いっきりぶつかったにも関わらず、幸は別に気にしている様子はなかったみたいだ。

「あ、幸ちゃん!? ちょっと幸一、あんた何してるのよ!」

「お前のせいだろが!?」

 まったく、これだから責任転嫁してくる幼馴染は……。

「そうじゃなくて! 今あんたが幸ちゃんにしていることよ!」

「え?」

 何って、お前に殴り飛ばされてそのまま幸も巻き込んじゃって……。

 ……あれ? 俺なんで幸を押し倒してるような格好になってるの?

「…………?(あ、あの、どうしました?)」

 く、やばい。

 さっき風呂の時も思ったけど、本当に幸は可愛い。これは十人中十人が頷くほどの美少女だと思う。そんな幸を事故とはいえ、こんな風に純粋な眼差しで見られると……。

「ついつい襲いたくなっちゃうんだぜ……」

「いやいやそんな事思ってませんからね香里さん!? いかにも俺がそう考えてるみたいに言わないで下さいよ!」

「え、思ってないの?」

「思ってねーよ!」

 香里さんはともかくとして、真里菜にもそう思われるとは……。普段の俺のイメージってそんなに変態なのか?

 ……まあ襲うまでにはいかずとも、その近くまで考えていたのは内緒だ。

 一緒に倒れてしまった幸を起こして、再びケーキを食べようとしたら、ある事に気付いた。

「………………(……あ)」

 おそらく俺が幸を巻き込んでしまった時と同様に、どうやら一緒に幸の食べていたケーキも倒してしまったみたいだった。そのせいでせっかくのケーキは床に落ちて、ぐちゃぐちゃになってしまっていた。さらに追い打ちをかけるように俺のコップも倒れていて、中身がケーキにかかっている。これじゃあもう食べられない。

 それでも無表情の幸だったが、どことなく悲しげな雰囲気があった。

「……悪い、幸。俺のせいだな。俺のはいいから、代わりにこのケーキ食べてろ」

「ちょ、ちょっと幸一!? どうみても悪いのはあたしでしょ! ごめんね幸ちゃん。あたしのケーキも全部食べちゃっていいから」

「…………(い、いえ。幸の事は別に気にしなくていいのです)」

 ふるふると首を振って遠慮する幸。

「変なとこで我慢しなくていいんだって」

「そうよ。というか主に幸一が悪いけど、あたし達のせいで幸ちゃんのケーキが食べられなくなったんだから、このくらい当然よ?」

 おいそこの幼馴染。さっき自分の方が悪いって言わなかったか?

 でもまあさすがに長い付き合いだけあって、考えている事は一緒だった。どちらが悪いにしろ、迷惑をかけてしまったのだから、このぐらいは俺たちの間では普通だ。

 昔はよく近所のおばさんとかに迷惑かけてたからなー……。子供の頃やんちゃばかりしていたのは、もう懐かしい思い出だ。今では頭が上がらないだけだけど。

「…………(で、でも……)」

「いいからいいから。ほら、あーん」

 遠慮している幸に、少し無理矢理にだけど真里菜が自分のケーキを食べさせている。でもまあ、多少はそうしないと幸はきっと最後まで食べてくれないだろう。

 そんな様子を香里さんはほほ笑みながらずっと、母親のように見守っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ