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理の勇者  作者: ELC


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0.

中学生の頃興味本位で小説を書いて以来になります。

あの時からもう10年経とうとしていますが未だに私は小説・物語が大好きです。

久しぶりに小説を書いてみたいという欲が出てきたので書いてみました。

気軽に読んで下さると嬉しいです。

今日も、何も変わらない一日だった。


 いつも通りの時間に起き、指示された仕事をこなし、取引先や上司に頭を下げ愛想笑いで相手の機嫌を取る。

そこに特別な意味はない。ただ、そうするのが最も効率的で無駄がないからそうしているだけだ。

 帰路につく頃には思考はほとんど働いていなかった。いや、正確には“働かせる必要がない”状態だった。明日も同じことを繰り返すだけなのだから考えること自体が無駄だ。


「ただいま」


玄関のドアを開け独りでに呟くも当然返事等はない。

高校を卒業しそのまま社会を出てからは今の今までずっと一人暮らし。

恋人も何人か出来たがある事件をきっかけに今は恋愛をする気も起きずここ数年はずっと独り身だ。

部屋に入り荷物を置いた後、最低限の食事を済ませ、シャワーを浴びる。時計を見ると、いつもとほとんど同じ時刻を指していた。

 規則正しい生活。合理的で、無駄がない。

 それは間違いなく“正しい”はずだった。

 ――それでも。

 ベッドに横たわり、天井を見つめたまま、思考だけがわずかに浮かび上がる。


(このままでいいのか?)


 問いとしては曖昧で、定義もされていない。

 だが、思考は自然と続く。

 “いい”とは何を指すのか。

 現状維持か、変化か。

 効率か、満足か。

 結論は出ない。出るはずもない。

 そもそも、この問い自体が非合理だ。

 測定できないものに価値はない。

 答えが存在しない問いに、思考を割く意味はない。


(……無駄だな)


 そう判断し、思考を切り捨てる。

 明日も仕事がある、それだけで十分だ。

 スマホのアラームを明日の早朝に設定し部屋の電気を消す。

目を閉じると意識は、抵抗もなく沈んでいった。


 ――そのはずだった。


 次に意識が浮上したとき、最初に感じたのは“違和感”だった。

 硬い。

 冷たい。

 背中に伝わる感触が、いつもの寝具とは明らかに違う。

 次に、音。

 ぱち、ぱち、と乾いた音が耳に入る。

 規則的で、しかし機械的ではない、不均一なリズム。

 焚き火に近い音だ、と頭のどこかで判断する。

 恐る恐るゆっくりと目を開ける。


「……何処だここは……」


 視界に映ったのは、見慣れた天井ではなかった。

 岩肌。

 不規則に歪んだ、暗い天井。

 薄暗い空間の中、少し離れた場所に二つの灯りが揺れている。炎の光が壁に影を踊らせ、そのたびに空間の輪郭がわずかに歪んで見えた。

 見知らぬ洞窟――そう判断するまでに、時間はかからなかった。


 一旦状況を整理する。

 眠る前、自分は確かに自室にいた。

 施錠も確認している。侵入経路はない。

 自発的に移動した記憶もない。

 ならば考えられる可能性は――

 夢。

 あるいは、認識の錯誤。

 しかし、背中の冷たさも、空気の湿り気も、音の揺らぎも、すべてが異様なまでに鮮明だった。

 夢と断定するには、情報量が多すぎる。

 結論は出ない。

 だが、現時点での最適解は一つ。

 ――観測を続ける。

 ゆっくりと上体を起こし、周囲を見渡す。

 未知の環境。

 未知の状況。

 そして、そのどれにも“意味”が見出せない。

 思考が一瞬だけ空白になり、やがて言葉として形になる。


「……意味がわからない」


 小さく、しかしはっきりと呟く。


「どこなんだここは、夢か?」


 問いは空間に吸い込まれ、返答はない。

 当然だ。

 答えがある保証など、どこにもないのだから。

 それでも、確かなことが一つだけあった。

 ――自分は、もう元の場所にはいない。

 そしてその事実には、理由も、説明も、与えられていない。

 ただ、そこにあるだけだった。

更新はゆっくりしていきます。

是非共にこの物語を最後まで見届けましょう。

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