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王国誕生祭イベントーラミア女の戦い③

会場のざわめきが、鈍い刃の重厚な打撃音にかき消される。


どかあん!!! 鈍刃がラミアの肩に直撃する──衝撃は鈍く、骨まで響く重さ。地面に振動が走るほどの衝撃。


「うわあ!」観客席から、悲鳴にも近い声が漏れる。

だがラミアは微動だにせず、視線はまるで鋭い矢のように、レヴィンとセレナを射抜く。


鈍刃の衝撃が肩を押し潰すかのように伝わる──それでもラミアの足は地面にがっしり食い込み、揺るがない。


「……負けない…!」

唸るような声が、心の奥底から湧き上がる。


相手の細身の剣士は驚き、踏み込みを一瞬躊躇する。

その隙に、ラミアは深く息を吸い、肩の力を抜く。次の一撃にためらいはない──体は自然と構えを作る。


観客席の歓声も、ラミアの気迫に圧されて一瞬、静まり返る。

レヴィンはセレナの手を握り返し、小さく声を上げた。

「行け…ラミア…絶対勝て!!」


セレナも胸を押さえながら目を輝かせ、固唾を飲む。

その視線の先で、ラミアは剣を握る手に力を込め、押されながらも決して後退しない姿勢を貫いていた──まるで揺るぎない岩のように。



まるで荒れ狂う嵐の中で、一本の松が耐え続けるように――ラミアの背筋は、観る者すべてに強さと凄みを感じさせる。


剣が光のように振り下ろされる。細身の剣士は防御に必死に構えるが、その刃筋は力強く、ほとんど揺るがない。


レヴィン(うわっ…これは本気だ…)

セレナ(緊張で手が…震える…)


ラミアは足を踏み込むたび、全身の筋肉がしなやかに連動し、竹刀が鋭く弧を描く。相手の竹刀を何度も受け流しながら、一瞬の隙も見逃さず、間合いをわずかに詰める。


細身の剣士は長身を活かして攻めるが、ラミアの目の奥に燃える炎に圧され、攻撃はどこか力なく見えた──まるで暴風に立つ葉のように。



「ぐっ…」細身の剣士の声が息を切らす。


ラミアの剣がついに相手の手元を強く弾き、体勢を崩させた。その隙に、ラミアは一気に踏み込み――


「これで決める!!」


剣が鋭く突き出され、相手の肩をかすめる。細身の剣士は迫力に耐えきれず、ついに場外に踏み出してしまった。


観客席から大歓声が巻き起こる。

「ラミア優勝ーーー!!!」


レヴィン「やったああああ!!ラミア!!すげえ!!!」

興奮のあまり、レヴィンはセレナとラミアの3人をぎゅうっと抱きしめる。


セレナ「きゃ…!!」

その目線は、思わずレヴィンへ向かってしまった…。



ブチッ……ラミアの血管が切れる鈍い音が響いた。

そのまま頭から血を流し、ラミアが倒れ込む。


レヴィン「うわあああああ!? ラミアーーーー!!」

シモン「ぎゃあああっ!!」

カイル「たんかたんかー!!」

セレナ「きゃあっ…!!」


ラミアは薄れゆく意識の中、レヴィンの胸にぎゅうっと身を寄せる、女性らしいセレナの姿を目に焼き付けたまま、その世界から遠ざかっていく――。



ーーー


ラミアは控え室で目を覚ました。腕や額には小さな血の跡があり、戦いの激しさを物語っている。


「……あれ…?」

まだ少しぼんやりしていたが、視線を動かすとそこには心配そうに見つめるレヴィン、シモン、カイル、そしてセレナの顔があった。


レヴィン「ラミアアアア!! 凄かったぞー!! 頑張ったなあああ!! 優勝だぞおおお!!」

勢いよくラミアをぎゅうっと抱きしめる。


ラミア「ぴゃ!?」

高い声が思わず出た。


ラミア「し、師匠…セレナさんが見てます…」

セレナ「とっても感動しました!! 私、泣いてしまいました!!」


ラミアはショックを受けた……。

なんて女性らしく、素敵な方なの…

私が戦っている間、この人は師匠の腕の中で、怖がっていたと言うのに...



勝利の喜びよりも、師匠の腕に飛び込み、怯えているセレナの姿が頭から離れない。心の中で、複雑な感情が渦巻くラミアだった。



レヴィン「どうした…?痛むか? 終わったら治癒かけてもらいに行くか」

ラミア「……なんでもないです」


優勝したのに……恋には負けてしまいました。

ラミアの目から、大粒の涙がポロポロとこぼれる。


少し休みたい、とラミアは告げ、4人は控え室をあとにした。


レヴィン「どうしたんだろうな…?」

セレナ「本当は怖かったのでは?」

レヴィン「そっかあ…相手、強かったもんなあ…」


カイル「少しそっとしておきましょう」

レヴィン「お…おお」


セレナ「あの…私はこの辺で。お父様が心配しますので」

レヴィン「ああ…送ってくか?」

セレナ「大丈夫です。外に迎えの者が来てくれたみたいなので」

レヴィン「そっか…楽しめたみたいで良かったよ」


シモン「また遊びに来てよー」

カイル「今日はありがとうございました」

セレナ「ええ…ぜひまた…」


セレナは丁寧にお辞儀をして、出口に向かって歩いていった。


しばらくして、ラミアが控え室から出てきた。

目はまだ少し腫れている。


レヴィン「お…ちょうど飲み物を持って行こうと思ってたんだ」

ラミア「…セレナさんって、おしとやかで可愛らしい方ですね」

レヴィン「ん? ああ…そうだな」


レヴィンはラミアに飲み物を手渡す。力なく受け取るラミア。


ラミア「師匠は、か弱い女性がお好みなんですか…!?」

レヴィン「え…? なんでいきなり?」

ラミア「知りたいんです!!」

レヴィン「俺の好み…?」


思わず脳内に、とある人物の姿が浮かぶ。


レヴィン「俺は…強い人が好みかなあ…」

ラミア「え!?」

勢いよく顔を上げるラミア。


レヴィン「泣いてたのと関係あんのか?」

ラミア「い…いいえ…何もないです!!」

にっこり笑うラミアの顔には、まだ少し疲れが残るものの、どこか晴れやかな光が差していた。


レヴィンは少し戸惑いながらも、にっこりと笑い返す。

「そっか…まあ、無理に答えさせるつもりはないけどな」


ラミアは小さく頷き、一口飲む。

「……師匠、今日は本当にありがとうございました」

レヴィン「いや、こっちこそ応援させてもらえて楽しかったよ」


ラミアは少し恥ずかしそうに目を伏せ、頬を赤く染めたまま小さな声で呟く。

「…師匠って…ずるいですね…」

レヴィン「え?」


ラミアは気丈に「なんでもないです!!」と笑顔を作り、傷ついた顔も少し隠しながら、優勝賞品のティアラを受け取りに足取り軽く向かっていった。


レヴィンはその後ろ姿を見送り、思わず息をつく。

「にしても…すっげえ迫力だったなあ…怖かったー」


控え室のざわめきや観客席の声が遠くに聞こえる中、今日の大会の熱気とラミアの勝利の余韻が、静かに胸に残っていった。



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