王国誕生祭イベントーラミア女の戦い②
審判の声が会場に響く。
「本大会で使用される試合用の剣について説明します!
今回の剣は、通常の戦闘用の剣とは異なり、刃は厚く重い“鈍刃”です。
切れ味は鋭くありませんが、その重さゆえに一撃ごとの破壊力は絶大です。
巧みに扱える選手にとっては、速度だけではない圧倒的な威圧力を発揮する武器となります。」
観客席からどよめきが上がる。
レヴィンたちの目には、選手たちの手に握られた鈍刃の剣が、ただの道具以上の“戦闘の象徴”として映った。
ラミアの目が鋭く光り、刀を握る手に力がみなぎる。
周囲の風まで彼女の気迫に反応して揺れ、空気が張り詰める。
一歩一歩の踏みしめが地面を震わせ、まるで背後から“闘気の壁”が立ち上がったかのようだ。
相手剣士の体が小刻みに震え、「こ…怖い…」と声を漏らす。
ラミアの一歩が近づくたび、相手は耐えきれず「無理ー!!」と場外へ逃げ出した。
「ラミアさん勝利!!」
歓声が一気に巻き起こり、会場が揺れる。
ラミアは息を乱さず、刃の先まで緊張感を保つ。
その冷静な視線の奥には、勝利の喜びだけでなく、「もっと強くならなきゃ…」という静かな覚悟が光っていた。
レヴィン「すっげえ!!ラミア!!気迫だけで…!!」
セレナ「私も対戦相手ではないのに、あまりの迫力に体が震えました…」
ラミアの背中には、まだ怒りの熱が残っているようで、刃を鞘に納める手つきも力強い。
レヴィンたちの目には、ただの勝利者以上に“戦士としての凄み”が映っていた。
その姿には、会場全体が一瞬息を呑むような威圧感が漂っている。
2回戦、ラミアは驚異的な速さと正確さで相手を圧倒する。
一閃ごとに空気が裂け、観客の視線が刃の軌跡に釘付けになる。
歓声が再び会場を震わせる中、ラミアの目は冷静に、しかし確実に相手の動きを捕らえていた。
レヴィン「すげえ…もう圧巻だ…」
カイル(師匠…ラミ姉さんの闘志に火を付けてる…)
準決勝を駆け上がったラミアは、動きに無駄がなく、刃の一振りごとに観客の心を掴む。
試合が終わるたび、会場の歓声と拍手がラミアの戦いぶりを称えた。
レヴィンたちも思わず体を乗り出し、「ラミア、次も頑張れ!!」と声援を送る。
その熱気の中、ラミアの目は冷静に、そして確実に勝利を見据えていた。
決勝戦の空気は会場全体をピリリと緊張で包む。
相手は長い髪をまとめた女剣士。静かにラミアを見据えるその姿からは、剣技への自信と、戦場に臨む冷徹さが滲み出ていた。
「……ラミアさん、覚悟はできてますか?」
冷静な声が場内に響く。
レヴィンはリュウの装備を纏った謎の女剣士の姿を探すが、それらしき人物は特定できなかった。
もし弟子のラミアより遥かに実力のある選手なら、すでに観客席は騒然となっているはずだ。
レヴィン(この人も…声が違う。あんな装備で戦えるのは、素人じゃ絶対にない…)
視線を決勝の場に注ぎ、戦いの行方を固く見据える。
胸の奥で、ラミアがどう立ち回るのか、心臓が早鐘のように打つ。
ラミアと細身の剣士の刃が、鋭い金属音を立ててぶつかる。
「カツンッ!」
火花は散らないが、その鈍い衝撃は観客席まで伝わり、空気を震わせる。
鈍刃の剣は軽やかに切れない代わりに、一撃ごとの重みで腕や体に圧力を伝え、放たれる瞬間ごとに戦場の空気が震えるのだ。
細身の剣士は一歩踏み込み、ラミアの鈍刃に強く押し付ける。
「くっ…!」ラミアは眉をひそめ、刃を斜めに受け流す。
剣と剣がぶつかるたびに、互いの呼吸が一瞬止まり、観客たちも息を呑む。
ラミアは冷静さと怒りを併せ持った表情で、次の動きを狙う。
細身の剣士はその隙を逃さず、素早く回転し、ラミアの側面を狙う。
だがラミアの動きも鋭く、鈍刃の重みを巧みに利用してかすかに擦れ合い、攻撃を弾く。
「カツッ…ガシッ!」
鈍刃の衝撃が二人の腕に響き渡り、緊張感が一気に高まる。
ラミアの眼光が相手を射抜き、観客席からも「おおっ!」と感嘆の声が漏れる。
剣と剣の交錯は、鈍刃特有の重厚な音となり、観客のざわめきにかき消されそうなほど会場に響き渡る。
ラミアは一歩一歩後退しながら、相手の攻撃をかわす。
「くっ…!」額に汗がにじみ、呼吸が少し荒くなる。
細身の剣士は動きが素早く、ラミアの防御の隙間を巧みに突いてくる。
一瞬の隙を突かれ、鈍刃の剣がわずかに弾かれ、後ろの線を踏む。
「ひっ…!」足元のバランスが崩れかけ、観客席からも小さなどよめきが漏れる。
ラミアは怒りと焦りを内に秘め、剣を強く握りしめる。
しかし相手の細身の動きは鋭く、斜め上からの一撃に押され、肩がわずかに後ろへ…
「くっ…負けるわけには…!」ラミアは渾身の力を込めて踏みとどまろうとする。
鈍刃の重みが腕に食い込み、一撃一撃の威力を痛感しながらも、彼女はその圧力に負けず、視界の端で観客の声援が大きくなるのを感じた。
汗と気迫で顔を紅潮させながらも、ラミアは鈍刃を握りしめ、次の反撃の機会をうかがう。
鈍刃の重さが腕に食い込み、一撃一撃の威力を意識させる中、緊迫した空気の中で二人の剣士の戦いは、一瞬も気を抜けない熱戦へと変わっていった。
レヴィン「ラミアー、踏ん張れ…!」
相手の方が格上か…まずいな…。
セレナ「すごい…!!私、こんなに強い女性がいるなんて…驚きです!!」
レヴィン「おお…!結構面白いよな!?」
セレナ「はい!!あの…今日は誘ってくれて…ありがとう」
さっき手を引いてくれたから、今度は私から…!!!
セレナは勇気を振り絞り、レヴィンの手をぎゅうっと握りしめた。
レヴィンは試合からしばし目を離し、セレナの方に向き直す。
レヴィン「おお!楽しめたなら良かったよ!セレナはこういうの、興味ないかなって心配してたんだけど」
セレナ「いえ…新鮮ですごく楽しいです…」
レヴィン「良かった…」
二人は微笑みあい、その空間だけがほんの一瞬、柔らかく包まれた。
カイル(うわあ…いい雰囲気だ…でも…こんな2人をラミ姉さんが見たら怒るだろうな…)
その瞬間、背筋がゾクッとし、嫌な予感がしてカイルは試合の方へ視線を戻した。
ラミアの視線が、戦場から離れたレヴィンとセレナに向けられた。
恐ろしい形相で二人を凝視し、その眼光には鋭い警告と戦士としての気迫が混ざっていた。
ラミア「!!!!!!!」
師匠の手を…握りしめ…てる…
レヴィン「うあ!?ラミア…来るぞ!?」
鈍刃の重みが一振りごとに威圧感を増す中、ラミアの眼差しは迷いなくレヴィンとセレナを捉えたままだった。
セレナ「きゃあ!!ラミアさん、危ない…!」
ラミアに迫る刃を、目で追えず、セレナは思わずぎゅっと目を閉じた。
相手選手の鈍刃が、空気を切り裂くようにセレナの目の前まで迫る。
その重厚な振動が地面を伝わり、胸の奥まで響く。
観客席の歓声も、瞬間、その一撃に息を呑んで止まったかのようだった。




