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王国誕生祭

王国の広場は、誕生祭のために華やかに彩られていた。

色とりどりの旗が風に揺れ、大勢の人々で賑わう。

行き交う人々の衣装は麗しく、金や銀の刺繍が光を受けて煌めく。

広場の中央には大きなステージが組まれ、王国の紋章が高々と掲げられていた。

遠くで祭の始まりを告げる花火が弾け、空を赤や金に瞬くように染める。


裏方では、聖騎士たちが赤と白のジャケットに剣を携え、正装していた。

その中で、ひときわ騒がしい人物がいた。


レヴィンだ。

顔出しNGの彼は、アーサーたちベテラン騎士の中で、重い装備を着せられていた。


「おんもおおおおおおおー!!!」

アーサー「慣れじゃ、慣れ!!」


金属がガシャンガシャンと鳴る中、レヴィンの腕や足の動きは明らかにぎこちない。

「ちょ、おんもー!こんな重いのムリですってー!」


レヴィンの視線は、赤と白のジャケットを着た比較的若い聖騎士たちに向いた。

「俺…あっちの方が良かったな…」


「しょうがないだろ!お前は顔出せんのだから!! 気にするでない!! 他にもいるぞ!!」

他の聖騎士たちは、顔にガッツリ傷のある者、極端にシャイな者、太っていて制服が合わない者など、個性豊かだった。


「…チッ」

アーサー「なんじゃこいつ!? 舌打ちしおったぞ」

聖騎士「ダメだろ!! レヴィンがそんなことしちゃ!!」


試しに歩いてみると、重装備の肩当てがガシャンとぶつかり、隣のアーサーに倒れ込む。


「わしの背中に乗る気か、レヴィン……」

「だってよく見えないし…重いんですもん。アーサーさんに寄りかかった方が楽ですよ…」

「う…うーむ……おんぶでもしてやるかのう…」


「ダメだろ!!」

複数の聖騎士からツッコミが飛ぶ。


「アーサーはレヴィンを甘やかし過ぎだろ…」


「......」

他のベテラン聖騎士達も同じだよ!?と若い聖騎士たちは心の中で呟くが、口には出せなかった。



「ししょー!!」

聖騎士たちが集まる中、さらに賑やかな声が響いた。


シモンだ。

カイルはぺこぺこと頭を下げながら入ってくる。


「ししょー!? ししょー!?」

若手の軽装備軍団の方を、ちょこまかと探すシモン。


「す…すいません…シモン、もう少し静かに…」

カイルは小声で、しかし必死に注意を促す。


「シモンー、こっちだー」

レヴィンの声に、カイルはキョロキョロと辺りを見回す。

「え…?どこですか…?」


ようやくレヴィンは、ガシャンガシャンと金属音を立てながら歩き出した。


「うわっ!? そんな重そうな装備で行進するんですか!? 大丈夫ですか!? 今にも潰れそうですよ!」

カイルは慌てて叫ぶ。


「そうなんだよおー、重くてさあ…」

泣き言めいた声で答えるレヴィンに、シモンは

「かっけーーーー!」っと目を輝かせた。



「しょうがないな…中の装備、少し外してやるか…」

聖騎士が中に付けさせられていたプレートを取り外すと、少し呼吸ができるようになったレヴィン。


「もう少し外してくださいよー」

「そうだそうだー!ししょーが死んじゃうー!」

シモンも無邪気に叫ぶ。


「大げさだなお前ら…」

聖騎士は苦笑いしながらも、さらに留め具を外す。


ガチャン、ガチャン――

また一枚、また一枚とプレートが外れていく。


「おお……!生き返る……!」

胸いっぱいに息を吸い込み、肩をぐるりと回すレヴィン。


「ほれ見ろ、ちゃんと立てるではないか」

アーサーが笑うと、

「いや、まだ重いですって!アーサーさん基準にしないでください!」

レヴィンは必死に抗議する。


シモンは目を輝かせながら、

「でもその鎧、めちゃくちゃかっけえええ!! 重装の暗黒騎士って感じで!」

「暗黒騎士って言うな!」

「ワッハッハ!! 確かにそんな雰囲気じゃのう」

アーサーもつい笑ってしまった。



若い聖騎士たちは内心で思う。

(……レヴィンの奴...どんな格好しても結局目立つな)


シモン「じゃあ、行進終わったら来てね!!ラミ姐の試合!!」

レヴィン「おう!!終わったらすぐ行くよ!!」

アーサー「ラミアは優勝候補だからのう」

カイル「いい席取っときますね」

カイルに手を引かれパタパタとかけていく2人。


行進の合図が鳴り、レンは重装備を身にまとったまま、ぎこちなくも列に加わる。

「おお……なんとかなるか……」



パレードがゆっくりと始まる。


まず王様と王女様を乗せた豪華絢爛な馬車が、きらびやかな装飾と黄金の輝きで街の大通りを進む。

沿道には市民が手を振り、歓声があがる。

「わあ……すごいな……」

皆が思わず小さな感嘆を漏らす。


その後ろには聖騎士団が整列。

赤と白のジャケットに身を包んだ若手聖騎士たちが軽やかに前列を歩き、重装備軍団はガシャンガシャンと音を立てながら勇ましく続く。


勇ましく歩く重装備軍団の中に、ややぎこちないレヴィンを目立たぬよう真ん中に挟む。


しかし、どういうわけか観客や他の聖騎士たちの視線は、なぜかレヴィンに集中してしまう。


「おお……なんか一人、面白い動きの聖騎士がいるぞ!」

笑い声が小さく起きる中、レヴィンは必死に胸を張る。


「なんで!? 真ん中に移動させたのに!」

聖騎士が叫ぶ。

「知りませんよおー!俺だって本気で歩いてますよ!!」

「それが更にぎこちなさを生んでるんじゃないのか!?」



「きゃああー」

黄色い歓声は、先頭のイケメン聖騎士長と若手軍団に集中する。


「羨ましいのう……聖騎士団長はいつもきゃーきゃー言われておるのう……」

アーサーが小さくため息。

「あんな時もあったな……」

ベテラン聖騎士が懐かしそうに呟く。

「わしらの時代も、あんな黄色い声援を受けたことが……」


その時、観客席から小さな声が聞こえた。

「わあ、重装備の聖騎士もかっこいい……!」


「……お、ワシらも注目されてるのか?」

だが、それは副団長だった!

逞しい馬に猛々しく乗る副団長に、野太い声援が送られる。


「俺たちは昔はあっち側だったな…」

ベテラン聖騎士たちが懐かしむ。

「え!? ワシはまだ若いんじゃが…」

アーサーが慌てて言うと、

「え!? アーサーさんって若かったんですか!?」

レヴィンがびっくりした顔をする。


ぶほっ、と重装備軍団に笑いが起き、少し列が乱れる。


「わしまだ26じゃ…」

アーサーが打ち明けると、

「まじっすか…すいません…俺てっきり40代くらいかと…」

ますます笑いが起きる重装備軍団に、副団長が「やかましい!!」と一喝。

笑いを堪えつつ、列はなんとか行進を続けた。


呼吸を整えようと装備を脱いでいる最中、団長が壁にもたれかかり、鋭い視線でレヴィンを見つめていた。


風に乗ってアイスブルーの髪が光を受けてきらめく。

切れ長の瞳が、軽くレヴィンを射抜くように向けられる。


その立ち姿は、静かでありながらも圧倒的な存在感。

威厳と美形の空気に包まれ、重装備のレヴィンも思わず背筋を伸ばした──


団長がそこに立っているだけで、場の空気が一瞬で引き締まる。



読んでくださり、誠にありがとうございます!!( ´꒳` )


王国誕生祭は、まだまだ続きますー♪


アーサーさんの一人称「ワシ」、語尾「じゃろう」、さらに貫禄のあるお顔立ち……紛らわしいですね笑


実はアーサーさん、単におじいちゃんっ子なだけなんです( ´꒳` )


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