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暗黒騎士の恋愛回路は休業中

レヴィンは口の中で咀嚼中だった…。

その場に沈黙が流れる。


見知らぬ人から飲み物を受け取り、口に含んだまま飲み込む。


「あ…レヴィンです…」と言いながら立ち上がる。

「やっぱり…!!」

セレナが輝いた目でレヴィンを見つめる。


頑張れよー、にいちゃん!」

レヴィン「ういっす!!」


レヴィン「今日はよろしくお願いします」

セレナ「はい…あの方たちはお知り合いですか…?」

レヴィン「いや、初対面です!!」


レヴィンは残ったパンを周りの人たちに配りながら

「じゃーなー!」と元気に声をかける。


そして二人は改めて向き合った。


レヴィン(なんかすげえ、この髪の毛…何がどうなってるのか、どこかに毛が上手く編み込まれた何か...)

レヴィンはセレナのハーフアップをまじまじと見続けていた。


セレナ「あの…?私の髪になにか…?」


レヴィン「いやあ…この髪、どうなってるのかなって…」


セレナ「嫌ですわ…レヴィン様…あんまり見ないでくださいませ。照れますわ」


レヴィン「しし…失礼しました…すごいなあって思って…」


セレナ(髪のアレンジに興味を持ってくれるなんて…素敵な方)


レヴィン(なんか控えめっつーか…大人しい感じだな)



少し二人は、目的もなく街を歩く。


「レヴィン様…お忙しい中、時間を作ってくださってありがとうございます」

「いいえ!! 今日は暇だったんで!!!」

「休日だったのですね…あのう、休日は何をしていらっしゃるのですか…?」


その質問に、レヴィンはふと立ち止まる。


(え…俺、休日なにしてんの…?

ドラゴンと遊んだり?

弟子たちと飯食ったり訓練したり…あんま仕事の日と変わんなくね…?)


「レヴィン様…?」

「ああ…いや、動物とか好きですね…よくかわいがってます」

自分でも、なかなかいい答えだと思う。


「まあ…私も動物は好きですわ!! なにか飼ってらっしゃるのですか?」

「いやあ…聖騎士なんでペットは禁止なんですよ…飼いたいですけどね」

「そうなんですの…今度、一緒に動物園も行きませんか?」

「いいっすね!」


通りを歩いていると、ふわりと甘く香ばしい香りが漂ってきた。

小さな木の看板が揺れる店が目に入る。

さっきあれほど食べたパンも、もうすっかり消化されてしまったようだ。


レヴィンの目がキラリと光る。

「ここ安いっすよ!セットがめっちゃお得です!」

「え…こういう店、初めて入りますわ…」

「入ってみましょうよ!!」


自然とセレナの手を引き、中に入るレヴィン。


セレナ(きゃ…いきなり手を握られました…なんて大胆な方…!)


店内は木のぬくもりがあって落ち着く雰囲気。

窓際の席に座ると、パンやスイーツの甘い香りが鼻をくすぐった。


「セレナはどれにします?」

セレナ(セレナ…!! もうそんな親しげな呼び方…なんだかドキドキしますわ…)


レヴィンは鼻をひくつかせ、メニューを凝視する。

目の前にあるセットメニューの写真を見るやいなや、視線が釘付けに。

「やっぱセットにしようかな…!」


香ばしいパンと甘い香りに包まれ、落ち着かないセレナと、食欲全開のレヴィン。

二人のテンションが少しずつ、街のカフェに染まっていく。


セレナ「え…ええっと…あの、私は…その…」


戸惑いがちにメニューを押さえるセレナ。


レヴィン「じゃあ…これとかどうっすか?小さいのいくつか頼んで、シェアする感じで!」

セレナ「し…シェア…ですの…?お皿を二人で…?」

レヴィン「うん!そっちの方が色々食べられるっしょ?嫌いだったら俺が食べますし!」

セレナ「は、はい…わかりましたわ…」


レンはにこーっと笑い、「よっしゃ!じゃあこれで!」と店員さんに注文。


セレナ(…笑顔が…なんて、なんて柔らかくて自然で…素敵な方…)

思わず見つめてしまい、手に軽く汗がにじむ。


お待たせしました、と運ばれてきたのは、大きなお皿に可愛く色とりどりのスイーツが並んだもの。


レヴィン「うわーすげえー、美味そう!」

セレナ「まあ…可愛らしいですわ…レヴィン様がこういう店に来られるんですの?」

レヴィン「いや、こういう店は入ったことないです」

セレナ「私に合わせてくださったんですか…?」

レヴィン「いや…俺が食べてみたかっただけですよ」

セレナ「まあ…」


レヴィンはさっそくフォークを手に取り、まずはチョコムースをひとくち。

「んまっ!!」


セレナ(美味しそうに食べる姿…無邪気で…見ていて楽しい…)

つい目が合い、二人で小さく笑い合う。


レヴィン「次はこっちのタルト!どれから行きます?」

セレナ「ええ…そうですね…では、これから…」


二人でスイーツをつまみながら、自然に距離が近くなっていく。


レヴィン「これ、半分こしてみます?」

セレナ「え!! 半分…!? いいのですか?」

レヴィン「はい!!」


半分に切ってセレナの皿に乗せるも、崩れてしまう。

レヴィン「あああ…俺こういうの苦手なんだったー。すいません…汚くなっちゃって」

セレナ「あ…いいんですよ…次は私が分けますね…?」


レヴィン「え!? マジですか!? じゃあお願いしますっ…!」


セレナがそっとスイーツを整え、フォークで二人分に分ける。

セレナ「こうすれば大丈夫ですわ…」

レヴィン「おお…完璧っす!ありがとうございます!」


レヴィン「フォークでこんなに上手に分けられるなんて…尊敬します!!!」

セレナ(レヴィン様、楽しそうに褒めてくださるなんて…なんだか私まで嬉しくなりますわ…)


セレナ「レヴィン…次は…あ…!! すいません…親しげに呼んでしまって…」


顔を赤くして俯くセレナ。


レヴィン「ああ!! 気にしてませんよ!! 俺、友達からレンって呼ばれてるんで!! レンの方が簡単だし、そっちでもいいですよ!!」


セレナ「レン…レンって、気さくな方ですね…?」


戸惑った表情のセレナに、レヴィンはふと、王様から「気を悪くさせないように」と言われたことを思い出す。


レヴィン「あ…あれ…?俺、図々しかったですか…?」

セレナ「そんなそんな…とても楽しいです…」

レヴィン「そ…そうですか…?」


見ると、セレナは俯いてしまっている…。


レヴィン(やべ…なんか変なことしちまったかな…???)

カフェの中で、自分の行動を思い返す。


待ち合わせ、すっかり忘れてパンを口の中に大集合させてたな…。

セレナの希望も聞かず、カフェの中に引っ張って来ちゃったな…。

スイーツシェアとか言って、色々食べさせちゃったな…。


なんかまずかったのか…?


頭の中で、レヴィンの思考がぐるぐると回る。


そしてハッとして、俯いたセレナを見た。

レヴィン(つーか俺、ほとんど食っちゃってたから…嫌だったのかも!!!)


(やべえ…これはデートミッション失敗なんじゃ…!?)


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