11/15
デートを見た妹は?
妹は何となく街を歩いていた。特に目的はなかった。なんとなく、気分が晴れないまま、歩いていると――
ふと目に入ったのは、楽しそうに笑う姉の姿だった。
妹:(お姉ちゃん……?)
公園のベンチに座る少女と、その隣にいる少年。2人は何かを話している。時折、少女が笑い、少年が何かを言っては、また笑う。
そして――歌っている。
楽しそうに、心から溢れるように、2人で声を重ねて。
妹:「……っ!」
なぜか、見ていられなかった。胸の奥が、ギュッと締め付けられるような感覚。その場から逃げるように、足が勝手に動き出していた。
妹:(なに、これ……なんで、苦しいの……?)
頬に触れると、指先が濡れていた。