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カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』  作者: たぬきち
救え! セーラン商店街編
98/124

98色 戦慄! 商店街に訪れた魔の手!

 商店街に慌ただしい足音が響く。 息をするのを忘れる程の全力で前を走る抹消さんの後を私達は付いて行くと、商店街の路地裏の入り口近くの場所に少し人混みができていた。


「あっちゃん!! つれてきたよ!」


 人混みを掻き分けて中に入ると、シーニと数名の友人達がいてその中心に仰向けに倒れている緑風くんの姿があった。 みんな彼を囲む様にしゃがんでいた。


「あ! マルたちがきたよ!」


 アカリがこちらに気が付くと、立ち上がりこちらに走ってくる。


「アカリ、これは一体……?」


 何故彼が倒れているのか状況を飲み込めずにいる私が聞くと、二人がパニックになりながらも少しずつ言葉を繋げ説明する。


「え、えっと、わたしたちがねスミレのお店に行こうと向かってたらね……クロロンが路地裏からふらふらと歩いてきたの!」

「路地裏からですか?」

「うん、しかも、左手で頭を抑えてたから、なにかがおかしいと思って急いでクウくんの前にいったんだけど……わたしたちになにかいう前に『倒れた』の」

「だからナニがあったのよ!」

「それがわからないからこまってるんだよ! それにクウくんが大変なことは変わらないし!」

「なら、早く救急車呼びなさいよ!」

「とっくに呼んでるよ!」

「二人とも落ち着いてください」


 私は半ばパニックになっている二人を止めるが、興奮状態の抹消さんにはあまり意味をなさない様です。


「落ち着いてられないよ」

「ですが、落ち着かないことには話が進みません。 ここはどうか冷静に」

「まあ、そうね、聞こえたでしょ? なら、叫び散らしてないで一度深呼吸をしなさい」


 スミレも彼女を落ち着かせる。


「……う、うん…………ごめん」


 私達の説得で少し落ち着いた抹消さんを確認すると、私は倒れている緑風くんの下に行く。 彼はシーニのであろう上着を枕代わりに頭を乗せていた。


(頭を押えていたということは頭に衝撃を受けたということでしょうか? それとも何かしらの魔法をかけられた可能性もありますね)


「すみませんシーニ、聞きたいことがありま…………」


 近くにいるシーニに話を聞こうとしたが反射的に声を止めた。 彼女の顔を覗くと彼女の顔は『一切表情がなかった』からだ。

 

「ん? なにかな? マル」


 しかし、私に気が付くといつもの優しい柔らかい笑顔で聞いてくる。 まるで何事もなかったように。


「あ、はい、緑風くんとみなさんは別々で来たのですか? てっきりカーミンから一緒に来ていたと思ったのですが」

 

 先程のシーニも気になりますが、私は目の前の問題に目を向ける。 私の質問に抹消さんが答えてくれた。


「わたしも一緒に行こうって言ったんだけど、先に行ってスミちゃんのお店の手伝いをしたいって言って、一時間ぐらい早くスミちゃんのお店に向かったみたいなんだ」

「一時間位早くですと、丁度、私達が開店前準備を始める時間ですね」


 緑風くんは商店街のイベントを手伝ってくれた日はアカリやシーニ達よりも前に来てくれていました。 それが今日は確かに来なかったのだ。


「確かに少し妙に思いましたが、今日はアカリ達と来るものだと思い込んでいました。 もっと早く気付くべきでした。 これは、私のミスでもありますね」


 私は顎に手を当てながら、眉を顰める。


「誰のせいでもないよ。 起きちゃったものは起きちゃったし、それに、まずはクウタの状況をみてもらわないことには何にもわからないしねぇ~」


 互いに後悔と反省をしていた私達にノワルが陽気にいい、彼なりの励ましをしてくれた。


「そうですね。 まずは、状況確認ですね」

「もぉー救急車まだー」


 私は緑風くんの前にしゃがみ込み彼の顔を確認する。


(改めて近くで見ると可愛い顔をしていますね。 …………まあ、それは関係ないので、まずは『頭部』の確認ですね)


 私は彼の頭に触れる。


「え!? マルちゃんなにをしてるの!?」

「何って彼の頭部を確認しているんです。 頭を押さえてたとのことなので、殴打された可能性がありますからね」


 抹消さんを含め数人が何故か慌てた様子でしたが、私は説明する。


「……そ、そうなんだ」

「はい、決して寝込みを狙って寝ている彼の可愛い顔を触っている訳ではありません」


 私の言葉にこれまた数名カラダをビクリと反応させますが、気にせず彼の頭部を確認する。


「…………なるほど」

「ナニかわかったの!?」


 立ち上がった私にみんなが注目する。


「はい、ですが、やっときたみたいですので話は後です。 それに私よりちゃんと説明してくれると思います」


 サイレンの音が近づいてきて私達の目の前に止まる。


 そして、緑風くんを急いで病院へと運んだ。


 私、シーニ、アカリ、抹消さん、ネム少年の五人で病院に向かい、残りのスミレ達にはお店に戻ってもらっていつも通り、営業する様に告げた。





 一通りの検査を終えて緑風くんは病室に運ばれ、私達もそこに集まる。


「命に別状がなくてよかったですね」


 私の言葉にみんな静かに頷く。 


 検査の結果、彼の容態は軽度の『脳震盪』みたいです。 今は意識がないみたいですが時期に戻るとのことでした。


「……ほんとうによかったよ」

「うん、そうだね」

「…………」


 アカリ達は安堵の息を吐いて話出すが、ひとりだけ、シーニだけが浮かない顔をしていた。 私はやはり先程の顔が気のせいではないことに気が付く。 シーニの先程の表情を思い出し、私が感じたのは、哀しみの様な怒りの様な絶望してるとも捉えられる顔をしていた。


「…………」


 私が顎に手を当て考えていると、病室のドアが開かれる音がし、反射的にそちらをみると二人の男性が入ってきた。


「!! ……社長さんとカレシーニさん」

「誰がカレシーニだ」

 

 入ってきた二人の名前を呼ぶと、カレシーニさんに何故かツッコミを入れられてしまった。


「カレシーニさんはともかく社長さんが何故こちらに?」

「わたしが呼んだんだ」


 素朴な疑問をぶつけるとシーニが答えてくれた。 それに続き社長さんが続ける。


「ああ、アオイとのラブラァ~ブデートプランを話にな」

「そういうウザイ冗談はいいからさ」


 社長さんは陽気にいうが、シーニはズバッと切り捨てる。 二人もシーニの様子がおかしい事に気付いたのか、少し驚いた顔をする。


「どうした? アオイ、いつものことだが今日は一段とドライだな」

「そうみえたなら、ふざけたこといわないでよ」


 シーニはいつもカレシーニさん達とは軽口で毒を吐きますが、今日は何だか違います。 まるで何かにイラついてる様な感じです。


 アカリ達もシーニの様子のおかしさに気が付いて彼女を静かに見つめる。

 

「……! ご、ごめんね、わたし達、外で話してくるね」


 アカリ達の少し怯えた視線に気が付くとシーニは慌てて笑顔をつくる。


「その方がいいな」

 

 カレシーニさんはそう一言だけいうと病室を出て行った。 それに続き二人も出て行く。 残された私達は静かにそれを見送った。


「…………シーニなんだか苦しそう」

「?」


 数秒の沈黙の後、アカリが呟いた。


「苦しそうですか?」


 私が聞き返すとアカリは頷き答える。


「なんかね、うまくいえないんだけど……この前からなんだかシーニは苦しそうというか哀しそうというか……なんというか……」


 アカリ自身も確信がないのか言葉を詰まらせながらいう。


「……やっぱり、ナニかあったんだよ」


 抹消さんも思い当たる節があるのか、下を向きながらいう。


「…………あの時、ですね」


 私も自分の記憶を辿りそこに行きつく。


「あの数日……あっちゃんが『鏡の世界』に行った時にナニかあったんだよ」


 数週間程前にシーニが行方不明になり、『鏡の世界』に飛ばされていたという話です。 あの時は私も必死でシーニの手掛かりを探しました。 ですが、数日後にシーニは『鏡の世界』から戻ってきたと聞いた時は本当に驚きました。 現実にそんな事がありえるのかと。 ですが、疑う余地はないと思いました。 何故なら私も神獣という存在と会った事があるのでおとぎ話の類ではないと。


「…………」


 私は顎に手を当てて考える。 もし、それと今のシーニの状況と関係あるのだとしたら……。


「もしかしたら、『似た状況に合っていた』ということでしょうか」

「え!?」


 三人の視線が私に集まる。


「あくまで可能性ですが、『鏡の世界』もとい『平行世界』に飛ばされていたのだとしたら可能性があります」

「この状況と似たような状況?」

「もしくはこれよりも最悪な展開だったかもしれませんね」

「最悪な展開って……」


 私の思った事を察したのか、抹消さんは緑風くんの方を慌てて確認して顔が青ざめる。


「いや……まさか……でも……」

「リーン?」


 突然顔色が悪くなって震えだす抹消さんをアカリは心配する。


「……今思えばたしかに、あっちゃんは鏡の世界でのことは詳しく教えてくれなかった気がする」

「いわれてみればそうかも、どうだったかきいても笑顔で『いろいろなことがあって楽しかった』しかいわなかったかもしれない」


 アカリも気付いたのか何かを考えはじめた。


「まあ、シーニが本当の事を話してくれなけば真相は分かりません。 ですが、今はこの状況をどうするかが先決です」

「そうだね」


 三人とも静かに頷き私は緑風くんの前に立つ。


「さて、情報源の彼がこの状況では話が聞けないので考察するしかありませんね」


 アカリ達から頂いた情報を私の頭の中で照らし合わせてみる。


「もしかしたら、『何かを見てしまった』のでしょうか」

「なにかって?」

「そうですね。 例えば、商店街に『害をなすモノ』でしょうか」

「害?」

「はい、実はここ数日商店街の別店舗でとある被害が多発しておりまして」

「ひがい?」


 首を傾げる二人に私は説明する。


「アカリ達には黙っていたのですが、実はスミレのお店以外でちょっとした『嫌がらせ』が多発していたんです」

「そうなの!?」

「はい、被害は小さなものなんです。 例えば、お米屋さんでは商品のお米の袋が数袋破られていたり、服屋では洋服が数着汚されていたり、私の実家の八百屋では果物と野菜が傷つけられていました」

「それって『犯罪』じゃない!?」

「はい、『犯罪』ですね。 それが『故意』なら尚更です」


 驚く二人に私は冷静に説明していく。


「黙っていたことは申し訳ないです。 ですが、手伝ってくれているアカリ達には黙っておこうとスミレ達商店街組と話し合ったんです」

「なるほど、それがこの結果か」


 今の話を聞いていたのか、病室の入口からカレシーニさんの声が聞こえてきて振り返ると、シーニ達が戻ってきていた。


「情報共有をしていれば、こいつへの被害は防げたかもしれないな」


 カレシーニさんに指摘されてしまい私はぐうの音も出ない。


「はい、その通りです。 私達の判断ミスが招いた結果だと思います」


 私は頭を深々と下げて謝罪をする。


「マルちゃんのせいじゃないよ」

「そうそう」


 頭を下げる私を二人がフォローしてくれる。 それに続き社長さんも口を開く。


「そうだな。 誰のせいでもないな。 どんな偉人や有名人も失敗から学ぶものだ。 このワタシもアオイへの告白を何度も失敗をしたからな」

「それって学んでないんじゃ」


 意気揚々いう社長さんにシーニはツッコミ、周りが笑いに包まれる。


「うん! クロロンのためにもがんばらないとね!」


 アカリはゲンキに宣言すると緑風くんの手を取る。


「はやくゲンキになってね」


 すると、突然アカリの言葉に反応するかの様に彼女の手がヒカリだした。


「うええぇ!?」

「!?」


 その光景にアカリ本人も驚き、私達も驚愕する。


「……おい……まさか」


 社長さんのとても驚愕した声がしたが、私はそれよりもアカリの方に注目してしまう。 しばらくすると、ヒカリが収まり辺りが静まり帰った。


「…………え? 今のナニ?」


 はじめに口を開いたのは、抹消さんだった。 彼女も全く状況を飲み込めてないみたいです。


「え? え? ごめん、わからない!」


 アカリ本人も驚いている。 すると、ベットから唸り声が聞こえてきて今度はそちらに視線が集まる。


「……うう……ん?」


 すると、さっきまで眠っていた緑風くんが目を覚ました。


「クロロン!」

「クウくん!」


 二人は嬉しそうに緑風くんに抱きつく。


「!? ひぐうぅ!!?」


 突然抱きつくかれた緑風くんは謎の奇声を発して驚く。


「え? ……え? ……んえ?」


 張本人が一番状況を理解出来ずに困惑している。


「……あの時のチカラか」

「…………やっぱり……そうなんだ……」


 その光景をみてカレシーニさんとシーニが呟きましたが、互いに別のことを考えてる様にみえた。 シーニは何故か泣きそうな顔になっている。


 私もアカリのこの謎のチカラを見たことがありますが、こんなことが出来るのに驚きを隠せないでいた。


「ご、ごめん……いろのさんとはーちゃん……えーと、その……」


 緑風くんは何かを云いたそうだったが、とても言いづらい感じみたいです。 それを察したのかネム少年が二人を緑風くんから引き離す。


「……二人ともはなれろ」

「あ! ごめん! クロロン、ついうれしくて」

「わたしはもっと抱きつきたいよー」

「あはは……ありがとうみっくん」


 引き剝がされる二人をみて緑風くんは苦笑いを浮かべながらお礼をいう。


「意識ははっきりとしてるみたいだな」

「?」


 わちゃわちゃとしているアカリ達の間にカレシーニさんが割り込み、それをみた緑風くんは周りをみて私達にも気が付いた。


「ここって、もしかして、もしかしなくても病院?」


 やっと自分の状況を理解したらしい緑風くんは何かを思い出した様な表情をする。


「早速で悪いが事情聴取だ。 何があった?」

「マコト、さすがにいきなりすぎるよ。 もうすこし落ち着いてからでもいいだろう」

「いえ、大丈夫です」


 いきなり事情聴取を始めるカレシーニさんをシーニは静止しますが、緑風くんは笑顔を作り返す。


「心配してくれてありがとうございます。 でも、大丈夫です。 それに早く伝えておいた方がいいと思ったので」


 そう言葉を続けると緑風くんは話はじめた。


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