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82色 鏡の中ではだれひとり3

 わたしはなぜ今この世界にいるのか、わたしからみたらなにもかも『逆』なこと、そして、二つの世界で明らかに違うことを話す。


「…………」


 一通り話終えるとクウタくんはもう一度空をみつめる。 一体彼はなにを考えているのか、なにをみつめているのかははっきりとはわからなかったけど、先程までとは少し違う感じがした。


「なあ、そっちのおれはどう思って生きているんだろうな」


 彼の質問の意図はわからなかったけど、ここでウソはいってはいけないと感じた。 だから、わたしは『真実』を話す。


「こっちのクウタくんも決して幸せではなかったかもしれない、今も心のキズは癒えてないかもしれない、だけど、今は信じられるトモダチもできて前よりも笑うようになったよ。 わたしはそれがうれしかったかな」

 

 わたしの言葉にクウタくんはしばらくなにもいわなかった。


「そっちのおれは『強い』な」

「!?」


 クウタくんのむけた顔にわたしは驚く。 クウタくんは笑っていたけど、とても哀しい眼をしていた。 わたしはその顔に見覚えがあったからだ。 それは、数年前みせた笑顔……無理に笑っている笑顔だったからだ。


「いろのあかりだっけ? おれも……出会いたかったな……」


 彼の心の底からの言葉はとても重かった。 なんで、こんな哀しそうな顔をするのか、目の奥から感じる深い深い哀しみがわたしの胸を針のように突き刺す。


「シーニさん」

「?」


 どこをみつめているのかわからなかったけど、今はしっかりとこちらをみつめていた。


「なにかな?」


 わたしは笑顔をむけて聞き返す。


「ありがとう」

「え?」


 突然向けられた感謝の言葉、そして、『笑顔』。 それは、心からの感謝が込められていた。


「『最後』にそれが聞けてよかったよ」

「『最後』?」


 わたしが疑問に思い聞き返した瞬間、


『クウタくんは倒れた』


「え?」


 わたしは一瞬なにが起こったのかわからなかった。 だけど、次の瞬間、頭で理解するよりも先にカラダがゾッとしてわたしは反射的に叫んでいた。


「クウタくん!!!」


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