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81色 鏡の中ではだれひとり2

「……ぐう!!」


 視界が切り替わりわたしたちは地面の上に転がる。 テレポートで移動した先は離れた森林の中だった。


「すまない、桃山助かった」


 マコトはカラダや頭についた葉を払いながらいう。


「詫びいる、空を切り裂く牙、凄まじい魔力故に魔導のコントロール乱れし我」


 ピンコはゆっくりと立ち上がりながらいう。


「大丈夫かシーニ?」


 マコトはわたしについた木の葉を払いながら、手を取って起こしてくれる。


「あ、ありがとう」

「おいおい、わたしの手は取ってくれないのか?」


 マコトの手を取ったわたしにジーニは飄々はという。 それをみたわたしは反射的にジーニの襟を掴み睨みつける。


「なんだよ? 放せよ」


 わたしに襟を掴まれながらもジーニは冷静にいう。


「なんてことをしてくれたんだよ」


 わたしも冷静に言葉を放つけど、静かに怒りをぶつける。


「わたしがなにかしたのか?」

「とぼけるなよ、なんで『あんなこと』いったんだよ」

「そうだな、『口が滑った』とでもいっておこうかな」

「!? ふざけるなよ! いっていいことと悪いことがあるだろ!!」


 なんも悪びれずにいうジーニにわたしは我慢ができなくなり怒鳴りつける。


「そうカッカするな天才にだって失言はある」

「なにが天才だ! キミはバカだよ!」

「なんだと?」


 わたしの言葉にジーニは判りやすく反応をすると、眉間に青筋を立てる。


「天才のわたしにバカと言い放つとはいい度胸だな」


 ジーニもわたしの襟を掴み返してくる。


「へえーこの程度の煽りに乗ってくるんだね? やっぱりバカと天才は紙一重ってやつかな?」

「いってくれるじゃないか、たかが失言のひとつでごちゃごちゃヒステリックを起こすとはな。 とんだじゃじゃ馬ちゃんだ」


 ジーニもわたしを煽り返してくる。


「キミ性格悪いね」

「それはもしかしてわたしにいっているのか? それとも自分自身にいっているのか?」

「わたしは真剣に聞いてるんだ、謝る気はない?」


 わたしは冷静を装いながら聞くと、ジーニはフッと笑い言葉を続ける。


「なぜわたしが謝る? わたしが謝らなければどうする気だ? 殴るのか? やってみろよ」

「…………口は災いの元とはよくいったものだよ」


 わたしは握り拳をつくるけど、手を下ろしジーニの襟を放す。


「解ってるじゃないか、天才美少女の顔に傷ができたら大変だもんな。 そりゃそうだできるわけないよな。 自分の顔なんだからな」


 ジーニもわたしの襟を放して自分の乱れた襟元を直しながらもわたしを軽く挑発してくるけど、安っぽい挑発に乗る必要はないとわたしは無視する。


「しかし、他人の為に怒りをあらわにするとは理解できんな、たかが『過去の人間』のことをいっただけなのにな」

「!?」


 ジーニの発言にわたしの感情が完璧に切れるのがわかった。 考えるよりも先にわたしはジーニに向けて拳を降り上げた。


 バチッーン!!


 周囲にとても鈍い音が響き渡った、しかし、それは、わたしの拳からでたものではなかった。


「!?」


 わたしを含めミズキ、あのピンコですら驚きの表情を浮かべる。


「…………おい、なんのつもりだ? 痛いぞ」


 ジーニも自分を殴った、正しくは『ビンタ』した相手をみる。 そう、ジーニの顔を叩いたのはマコトだったのだ。 


「お前、いい加減にしろよ」


 マコトはいつになく真剣な顔でジーニにいう。 その顔はわたしのよく知る『鏡の向こうの』つまり、わたしの世界のマコトの表情にそっくりだった。


「女性に手を上げておいてただで済むと思ってるのか?」

「構わん、どうなってもいいと思ったからお前を殴った」


 ジーニの煽りにマコトは冷静に切り返す。


「ジーニいい加減にしろ、さすがに言い過ぎだ。 今回は百パーセントお前が悪い」

「このわたしが悪いだと? 一体なにをいっているのかさっぱりわからないな」

「いつまでそんなガキみたいなことをいっている」

「なっ!? このわたしがガキだと!?」


 マコトの言葉にジーニははじめてたじろぐ。


「ああ、聞こえないなら、何度でもいってやるぞ?」

「こ、このわたしが……」

「ねえ……今のねえはすごい子供っぽくてかっこわるいよ」

目下もつかに移る貴殿はまるで餓鬼大将」

「くっ……!!」


 二人にもいわれてしまいジーニはカラダを震わせる。 すると、


「うえぇぇぇぇぇぇん!! わたしをバカにするなぁぁぁ!!!」

「へぇ?」


 突然泣き出したジーニにわたしはポカンと目が点になってマヌケな声をだしてしまう。


「わたしはぁわるくないもん!! 口を滑らせちゃっただけだもぉん!!! それにいたかったぁぁぁぁぁ!! うえぇぇぇぇぇぇん!!!」


 わたしは唖然としていた。 さっきまでのあの自信家なジーニはどこにいったのか? わたしの今目の前にいる彼女はまるで駄々をこねる子供だ。


「口を滑らせた自覚があるなら謝れ」


 泣き喚くジーニにマコトは冷静にいう。


「ヴェェェェェ!!!」


 泣きながら叫んでいるジーニを横目にわたしはミズキに顔を向ける。


「え? え? なにこれ?」


 わたしは頭の処理が追いつかなくてシンプルな質問しかでなかった。


「えーっと……ジーニねえはたまに……自分のプライドを傷つけられると……その……こうなるんだ……」


 ミズキが言いづらそうに答える。


「え!? それだけ!? コドモじゃん!?」


 わたしは反射的に突っ込んでしまう。


「天性の頭脳故に計算外の理対処不能」


 顔をぐちゃぐちゃにしながら泣き喚くわたし自身をみてわたしはかなり顔が引きつる。


「まあ、そういうことだ、俺からで悪いが謝罪をさせてくれ」


 隣で嗚咽を吐いているジーニの代わりにマコトが頭を下げて謝ってくる。


「こいつは俺らでなんとかする。 だから、シーニ、お前はあいつのところにいってやってくれ」

「え?」

「少年の瞳に映るは深き闇、我らは及び難くても異世界の訪問者なら成せるかもしれぬ」

「シーニねえ、おねがい! 昔のクウタはもっと笑ってた! あいつともう一度話がしたい……」


 みんなクウタくんの哀しい眼に気づいていたのだ。 だけど、どうすれば彼が救えるのかわからなかったんだ。 だから、もう一人の『わたしの世界のクウタくん』を知っているわたしならもしかしたら、彼と話ができるかもしれない。


「うん、わかった……わたしもう一度クウタくんのところに行ってくる」


 わたしはその場を後にしてクウタくんの元へ走った。




 先程の空き地の入り口に戻ってきたわたしはもう一度中を覗こうとした。 すると、中から何かが聞こえてきて歩みを止める。


「~~~~~♪」 


 これって歌?


 わたしは目を閉じ耳に手を当ててもう一度じっくりと聞く。


「~~~~~ご~ろごろ♪」


 なんの歌だろう? 聞いたことのない歌だ。 だけど、なんだか少し心が安らぐ感覚がした。 しかし、歌声は途中で途切れてしまった。


「また、きたのか」

「!?」


 中から声をかけられ、わたしは空き地の入り口からもう一度彼の姿を確認する。 


 クウタくんはさっきわたしがきた時と同じように空をみつめていた。 まるで『なにかを待っている』かのように。


「えっと、クウタくん、さっきはごめん! わたしはキミと話をしたいだけで決してキミのお母さんをバカにしにきたんじゃないよ!」


 わたしの口からでたのは謝罪の言葉と言い訳だった……。 その言葉を口走った瞬間やってしまったと思った。 こんな言い訳を並べても事態を悪化させるだけだって。 しかし、彼の口から放たれた言葉は意外なものだった。


「しっている」


「え?」


 意外な返しにわたしは聞き返してしまう。


「しってるってどういうこと?」

「わざわざこんなところにくるなんておれにケンカを売りにきたか、物好きなやつだけだ。あんたはその物好きだろ?」


 クウタくんは空をみつめたままいう。


「物好きかはわからないけど、うん、わたしはキミと話がしたくてここにきたんだ」

「そうか、なら都合がいい」

「え?」


 空から目を放しこちらに目線をむける。


「おれもあんたと話たい」

「!?」


 思いもよらない一言をいわれわたしは驚く。 それを知ってかしらずかクウタくんは言葉を続ける。


「あんたはだれだ?」


 クウタくんは深く暗いけど純粋な瞳をわたしにむけてくる。


 わたしは一呼吸して息を整えると彼にむけて自己紹介をする。


「わたしの名前は『天海葵あまみあおい』、みんなからは『シーニ』って呼ばれてるよ。そして、キミからみたら『鏡の世界の人間』だよ」



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