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70色 幼馴染は救いたい

「テレポーテーション」


 マモが呪文を唱えた次の瞬間、わたしたちはシーニの研究所にいた。 そして、レータのカラダからマモの魂が飛び出て、倒れるレータをクロロンをおんぶしているシアンは肩でフラウムは両手で受け止める。


「ええ!? いきなりなに!?」

「ほう、これはなかなか珍しいものを見れたのう」


 突然現れたわたしたちをみてシーニと魔女のおねえさんは驚く。


「すみません、シーニさん、二人を寝かせる場所を借りてもいいでしょうか?」


 フラウムは真っ先に二人の安全を確認する。


「うん、事情は後から聞くよ」


 シーニもただ事ではないことを察して二人を寝かせる場所をつくる。


《キサマラの荷物と履き物もついでに転移させておいたぞ》


 マモの言葉にわたしたちの靴もあることに気がつく。


「めちゃくちゃ気が利くのう」


 それをみて魔女のおねえさんは感心する。




「なるほど、とりあえず、みつけることはできたんだね」


 シーニにクロロンの家でのことを伝える。


「でも、この後どうしたらいいか分からなくて……」

「ねえ、もしかしてキミはしってたりする?」

《…………》


 シーニはマモに聞くけど、マモはなにもいわない。


「もし、しってて黙ってるならマコトに報告しちゃおうかなぁ~?」

《チッ……メンドクサクナルことをするな》


 シーニがイタズラっぽくいうとマモは口を開く。


《先程もいったが、ワタシは全ての魔法に詳しい訳ではない。 だから、今からいうのはあくまでワタシの知識の範囲の情報だが、メモリ一族の記憶操作魔法の解除方法は前もいった様に突然解けることもあれば条件付きで解除することができる》

「その『条件付き』の解除方法を試すんだね」

《ああ、その条件は記憶を入れたメモリーから記憶を本人に移すことだ》

「つまりこのカセットを使えばいいんだね」


 モリメさんは手に持っていたカセットをみる。


《お前は解除の呪文を知ってるのか》

「あ……それは……」


 呪文がわからないのか、モリメさんはうつむいてしまう。


《はぁ……相変わらずメンドクサイ魔法だな》

「どうにかわからないの?」


 モリメさんが訴えるように聞くと、すこし考える様な間の後、マモは答える。


《そうだな、解除の呪文がわからないなら、《無理やり解く》しかないな》

「無理やり?」

《カギをなくした時にカギを壊して無理やり開けるだろ? それと同じで呪文を使わず魔法を解除するんだ》

「そんなことができるの?」


 シーニは驚きながら聞くと、魔女のおねえさんが答える。


「まあ、理論上は可能じゃのう。 じゃが、それはかなり魔法に精通していないと難しいがのう」

《キサマは出来ないのか? 魔女の一族だろ》

「そう簡単にいいなさるな、もしかしたら、おばあちゃんなら簡単に出来るかもしれんが、わたしゃはそんな高度なことやったことないのじゃ」

《やり方はしっているようだな》

「うぐっ……痛いところをおつきなさるな……」


 マモに指摘されておねえさんは目を反らす。


「じゃあさ、やり方だけ教えてよ」

「え?」

「やり方が分かればさわたしがちゃちゃっとそれができる機械造るからさ」


 困っていたおねえさんにシーニはいう。


《ハア!? ナニをいっている? そんな簡単にそんなモノが造れるものか!》

「それが出来てしまうんじゃがな……」

《ナニ!?》


 シーニの発言になんの疑問を持たずに返すおねえさんにマモは驚愕する。


「では、お願いするかのう。 さっそくやり方を説明するがいいかのう?」

「オーケイ」


 おねえさんはシーニに魔法の説明をはじめるが、わたしはいっていることが難し過ぎて終始目を回していた。 そして、説明を聞き終えたシーニは「オーケイ、ちょっとまっててね」というとすこし離れた場所に移動して作業をはじめる。


「おまたせーできたよー」


 数十分後、シーニは数個の機械を持って戻ってきた。


「これがメモリ解除装置と記憶転移装置だよ」

《本当に作ってしまうとは……》


 シーニの発明をみたマモは唖然とする。


「じゃあ、さっそく試すけどいいかな?」

「あ、うん!」


 モリメさんはシーニにカセットを渡す。


「カセットをこれに入れてこっちをクウタくんの頭に被せるっと」


 シーニは機械のセッティングをはじめる。


《これ程までの天才がこの時代にいたのか……》

「かなり抜けているところはあるがシーニさんは紛れもなく天才じゃよ」


 そんなシーニをみて驚愕しているマモにおねえさんはいう。


「よし、これでオッケイっと、じゃあ、起動するね」

「うん!」


 頷くわたしたちを確認すると、シーニは機械のスイッチを入れる。 すると、カセットの指した機械から魔力の光がして、そこから繋がった電線みたいなモノをつたってクロロンの被ったヘルメットの様なものに流れていく。


 しばらくして、光が収まるとシーニはクロロンから機械を外す。


「よし、これで完了だと思うよ」

「え? 終わったの?」

「うん、後は目覚めるまで待てばいいよ」


 意外とあっさりと終わってわたしたちは唖然とする。


 そして、クロロンが目覚めるのを待つことになった。 わたしとフラウムとモリメさんは心配で落ち着かなくてずっとそわそわしていた。



「……うぅ」


 しばらくして、唸り声が聞こえてわたしたちは駆け寄る。


「クウくん!?」

「……おや? 僕はなぜ寝てたんだい?」


 クロロンではなくレータが目を覚ました。


「なんだ……メガネくんか……」

「もう少し寝てていいですわよ」

「なんだい、冷たくないかい?」

「相変わらず扱いが雑いのう」


 落胆するモリメさんとフラウムにレータは悲しそうな顔をする。 今回ばかりはすこしかわいそうだ。


「大丈夫? レータ」


 わたしはレータがかわいそうになったので心配する。


「心配してくれるのはありがたいが、同情する様な目はやめてくれ」


 なぜか逆にレータをキズつけてしまったようだ。



 またしばらく待つと、今度はクロロンから唸り声が聞こえる。


「クロロン!?」


 わたしたちは口々にクロロンを呼ぶ。


 クロロンは左手で頭を押さえてすこし唸りながらゆっくりと上半身を起こす。


「大丈夫ですか? 緑風さん」

「……大丈夫か?」


 みんな心配の声をかける。


「……クウくん?」


 モリメさんはすこし不安のこもった声でいう。


「……!?」


 その声を聞いたクロロンは、モリメさんをみつめると頬をかきながらいう。


「……あはは……なんでこんな大切なこと《忘れてた》んだろうね」

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