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68色 幼馴染と愉快な家族

 クロロンの家に着いたわたしたちはさっそくクロロンの家におじゃまする。


「ただいま」

「おじゃまします」


 わたしたちは口々にいいながら家におじゃますると家のリビングからドタバタと足音が聞こえてきて、ひとりの女の子が出迎えてくれた。


「お帰りクウくん、ありゃ? お友達いっぱいだね」


 その女の子は背が低くて(たぶん140センチぐらい?)キレイだけど、かわいらしい女の子だった。


(この子はクロロンの妹さんかな? あれ? でも、妹さんがいるなんていってたっけ?)


 なんて考えているとモリメさんがその女の子に話かける。


「ひさしぶり! ユウちゃん」


 モリメさんに話かけられて一瞬ポカンとしていたけど、すぐにハッとなって驚いたような声をだす。


「ふえぇぇぇ!? はーちゃん!?」


 驚きというか、奇声にも近い感じの声を出した。


「ひさしぶりだね! あれ? もしかして、身長伸びた!?」


 女の子はモリメさんに近づくと、背伸びをしながら片手を上げて身長を確認する。


「可愛らしい方ですわね。 緑風さんの妹さんですか?」


 その光景をみていたフラウムがクロロンに聞くと、クロロンは首をかしげながら驚きの一言をいう。


「え? かーさんだよ」


 その一言にモリメさんとシアン以外が目を見開いて驚いていた。 わたしもだけどね。


「あ、ごめんね。 あいさつがまだだったね。 わたしクウくんの母の緑風夕子みどりかぜ ゆうこです。 いつもクウくんと仲良くしてくれてありがとうね」


 クロロンのお母さんはペコリとお辞儀をしてあいさつをする。 それに続きわたしたちもあいさつを返す。


「大変失礼しました! 妹さんだなんて失礼なことを!」

「ううん、気にしないで間違われるのはなれてるから、それにこの前だってクウくんと歩いてたら夫婦だって間違われたこともあるからね」


 フラウムは慌てて謝罪するけど、クロロンのお母さんは笑顔で返す。


「へぇーそれはうらやましいなー」


 その言葉にモリメさんは反応する。


「はじめまして、わたしいろのあかりです。 クロロンといつも仲良くさせてもらってます」

「クルルン?」


 わたしはクロロンのお母さんにあいさつをすると、首をかしげてながら聞き返してくる。


「クロロン」

「クリリン?」

「ぼくのことだよ」


 クロロンが説明するとお母さんは納得したみたいだ。


「あ、クウくんお友達にクルリンってよばれてるんだね」


 クロロンのお母さんはわたしたちをひとりひとりみて確認していく。


「もしかして、あなたがイ(↓)ロ(↑)ノ(↓)サン?」

「はい、そうです」


 ちょっとアクセントが変だったような気がしたけど、わたしは元気に返す。


「あなたがキノセイサン?」

「気のせいではなく、黄瀬きのせですわ」

「そして、あなたがレイニャニャン?」

「なんだい? レベルの高いボケかい?」

「ううん、かーさんは人の名前を覚えるのが苦手なのと、かなり天然なんだ」

「君がいうとなかなかレベルが高いとみた」


 クロロンの説明にレータは納得する。


「あっ! ごめんね。 玄関で立ち話しちゃって、とりあえず入っていいよ。 部屋すこし汚いけど」


 玄関で話していたことに気がついたクロロンのお母さんは中に入るようにいってくれる。


 わたしたちがリビングに入ると奥の廊下のほうからバタバタと音が聞こえてきてひとりの男性が姿を現した。


「おい、クウタ! みてよ! 新しい変身ポーズ覚えたぞ!」


 テンションが高く勢いよく現れた男性は腰におもちゃのようなナニかを着けていた。 そして、わたしたちの姿をみると一瞬固まるけど、すぐに気を取り直して口を開く。


「トモダチくるならくるっていってくれよ! 腰におもちゃのベルトを巻いた変な奴って印象ついちゃうだろう」

「ごめん、急遽くることになっちゃって」


 男性はすこし恥ずかしそうにするけど、気を取り直してわたしたちに話かける。


「よお、ミズキひさしぶりだな」

「……ん、ひさしぶり」


 シアンに一言いうとわたしたちに目をむける。


「それとキミたちはクウタのトモダチかな?」

「はい、クロロンと仲良くさせてもらってます」

「クロロン?」

「ぼくのニックネームだね」

「ああ、そういうこと」


 説明すると、すぐに納得してくれたみたい。


「クウくんクルリンって呼ばれてるんだって」

「オーケイ、かーさんは理解してないことを理解した」

「クウタ、彼はもしかしてお兄さんかい?」

「うん、そうだよ」

「おっと、ごめんごめん自己紹介してなかったね。 オレは緑風大空みどりかぜ たすくだよ。 いつも弟がお世話になってるね」


 この人がクロロンのオニーさんなんだね。 クロロンに似てる気がするけど、すこし違う感じがするな、 しゃべり方はすこし似てるけど、一人称が違うし、なにより『髪がクルクルしてない』。 クロロンはテンパって感じだけど、オニーさんはストレートって感じだ。 それと、目がクロロンと比べてキリッとしていた。


「ひさしぶり、たっくん」


 モリメさんにひさしぶりといわれて、オニーさんはすこし首を傾げるけどすぐにハッとなった。


「もしかしてはーちゃん!?」

「そう! ハヅキだよ」

「おお、ひさしぶりだね! 昔と少しかわってて気がつかなかったよ!」

「逆にクウくんたちがあまりかわってなくてわたしは驚いてるけどね」


 オニーさんもモリメさんのことを思い出して懐かしそうに話す。


「やっぱり、かーさんとオニーも覚えてるんだね……」

「?」


 クロロンの言葉に二人は頭にハテナを浮かべる。


「実はね……」


 モリメさんはすこし気まずそうに話はじめた。


「というわけなの……ごめん! ユウちゃん! 知らなかったとはいえ、クウくんにこんなことをしちゃって!」


 モリメさんはクロロンのお母さんに深く頭を下げた。


「そうだね……まあでも、やっちゃったものは仕方ないね」

「え?」


 クロロンのお母さんはやさしい言い方で続ける。


「クウくんが死んじゃったわけじゃないし、それに記憶も戻せるんだったら、いいんじゃないかな?」

「あの、ワタクシの言える立場ではありませんが、失礼ながら怒らないのでしょうか?」


 クロロンのおかあさんの反応が意外だったので、フラウムが聞き返すとすこし困った顔をしたけど、答えてくれる。


「うーん、本来ならガツンと叱るべきなんだろうけど、わたしは人を叱るのが苦手なのもあるけど、なによりはーちゃんが『ごめん』を言えたからいうことはないかな」


 クロロンのお母さんはすこし困った顔をしながらもやさしくいう。


「謝ることはなにより大切だからね」

「悪いことをしたら謝るそれって当然のことじゃないですか?」


 レータは疑問に思ったのか聞く。


「まあ、当たり前じゃない奴もいるからいってるんだけどね」

「え?」


 オニーさんは真剣な顔になり話はじめる。


「昔な、クウタのことをいつもコソコソと影でいじめてるやつがいてな、そいつはオレにはしっぽを振るんだけど、オレがいなくなったらクウタのことをボロクソいじめてたんだよ」

「!? なに!? その話!?」


 驚くモリメさんを気にしながらも、オニーさんは続ける。


「そりゃオレとかーさんもやめるように注意を何度もしたんだけど、なかなかそいつの根が腐っててな、学校では自分のしたことをクウタに擦り付けたり、クウタの者を壊したり沢山の嫌がらせをしてたんだよ」

「……なるほど、『あの事件』に繋がるんですわね」


 オニーさんの話にわたしを含めモリメさん以外があることを察する。


「え? なに?」

「まあ、これ以上いうとクウタに嫌なことをまた思い出させちゃうから、結論をいうと、そいつは謝ることが『できない奴』だったってことだな」

「つまり、かーさんの言いたいことはその当たり前が『できない』人もこの世にはいてその当たり前が『できる』モリメさんはすごいってことだね」


 オニーさんの言葉にクロロンは言葉を付け足す。


「悪いな、クウタ、例えにあいつを出して」

「ううん、大丈夫」


 謝るオニーさんにクロロンは笑顔で返す。


《キサマラさっさと探したらどうだ?》

「!?」


 突然、わたしたちにテレパシーのようなものが聞こえてきてクロロンのお母さんとオニーさんは周りをキョロキョロとする。


「え!? なに!? もしかして、しばすけしゃべった!?」

「いや、しばごろうかもしれん」


 二人はイスの上に置かれていた人形に駆け寄る。


「しばー」

「しばー」


 謎の言葉を二人はいう。 その光景にわたしたちはポカンとしてしまう。


「しばしゃべった」

「うんうん、なるほど今のは天より授かりし言葉だね」


 二人は人形に話かけ続ける。


「これは?」

「あ、うちの家族のノリだよ」


 謎の光景をクロロンが説明してくれる。


《……ワタシはこっちだ》


 レータのカバンの中からカワウソの人形ことマモが姿を現す。


「ふえぇぇぇぇぇ!?」

「うえぇぇぇぇぇ!?」


 本当に動く人形をみた二人は奇声にも近い叫びをあげる。



「なるほど、しばすけなっとくしました」

「まあ、ボクたちもしゃべってるからキミがしゃべってもおかしくないしばよ」

「コンさんデース(ねっとり)」


 マモのことを説明して納得してくれたみたいだ。 だけど、なぜか三人はひとつずつ人形を顔の前にもって話を続ける。 クロロンに至ってはなぜかめちゃくちゃいい声でいう。


「カワサキチャチャ、キミはクウくんとお母さんが名前をつけた、つまりカゾクもどうぜんだよ」

「そうさ、例え、生産工場が違ってもしばたちはカゾクしば」

「カゾクハラゾクマゾクハノゾク」

《……こいつの血縁はみんなこんななのか……?》


 謎のファンシー空間にマモは人形だから出ないはずだけど冷や汗を流す。


「……傍からみたらホラーだな」

「相変わらず、緑風さんの世界は独特ですわね」


 その光景をみていたレータとフラウムはすこし驚愕する。


「でも、楽しそうだね」

「人形遊びをするみんななんだかかわいいね」

「……見慣れると結構おもしろい」


 わたしとモリメさんとシアンの三人はむしろ楽しめた。


《……とにかくだ!》


 マモは気を取り直して続ける。


《キサマラ目的を忘れてる訳じゃないだろう?》

「あっ!? そうだった!」


 マモにいわれわたしは当初の目的を思い出す。


「クロロンの部屋ってどこかな?」

「カムヒアー」


 クロロンは人形越しにそう一言いうと部屋まで案内してくれた。

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